<10月>

<2011年10月~2020年10月>

2021年10月16日
◎ぐづる子のうなじのしめり秋の風(ふく)
 無縁墓の角のまるみや烏瓜(ふく)
 クレーンの休む隣に昼の月(乃の)
 きちきちばつた追ふ少年のぴよこぴよこと(ふく)
 真四角に切り取つた空雁渡る(真弓)
 窓際の席引き当てて鰯雲(真弓)

 秋雨や静止画となる瀬戸の海(乃の)
 みどり児を秋気ごと抱く父の腕(真弓) 
 サヨナラはたつた四文字月涼し(らてん) 
 秋の昼ベンチの烏と目は合はず(りん) 
 焼き芋の半分測る指の先(真弓) 
 葉陰より名乗るがごとく青蜜柑(乃の) 
 月だけの道ふるさとへ続く道(らてん) 
 教会のネオンライトや月の舟(ふく) 
 秋うらら対面式の乳母車(典子) 
 放浪の果ての定住にごり酒(らてん) 
 新総理大臣現る胸の赤い羽根(ふく) 
 看板の「新酒入荷」の文字太し(りん) 
 雨傘を傾げて秋とすれ違ふ(乃の) 
 荒武者がコーヒー運ぶ村芝居(典子) 
 国際ニュース齧るリンゴの噛み応へ(りん) 
 満月と云ふ秘めやかなこはれもの(らてん) 
 窯の火のしぶきのやうな実南天(典子) 
 片足は時の狭間に秋の暮(真弓) 
 柿熟れてザラ紙色の日暮れ来る(典子) 
 雀蛤となる金輪際動かぬと(典子) 
 木星と月の輝き切り取りたし(りん) 
 命数は天にまかせて根深汁(らてん) 


2020年10月24日
◎一服も脚立の上で松手入(らてん)
 秋灯にまた読み返す手紙かな(らてん)
 靴底の右ばかり減る草の花(ふく)
 木犀の花持ち帰る靴の底(真弓)
 秋晴や実験棟の壁白し(真弓)
 秋灯のひとつとなりてペダル踏む(真弓)

◎鳥渡る靴底厚き竜馬像(典子)
 秋曇面接官の赤いペン(真弓)
 胎動のヴァリエーションや栗ごはん(ふく)
 マスクよし検温よしと秋風へ(典子)
 月代やチョークで印す柱跡(典子)
 秋灯のひとつとなりてペダル踏む(真弓)

◎月代やチョークで印す柱跡(典子)
 秋灯にまた読み返す手紙かな(らてん)
 一服も脚立の上で松手入(らてん)
 胎動のヴァリエーションや栗ごはん(ふく)
 熟柿の瓦にとんとついてをり(ふく)
 炊きたてのごはんに絞る酢橘かな(らてん)

◎秋灯のひとつとなりてペダル踏む(真弓)
 鳥渡る靴底厚き竜馬像(典子)
 木犀の花持ち帰る靴の底(真弓)
 菊日和向き合はぬやう椅子置かれ(典子)
 秋曇面接官の赤いペン(真弓)
 案内の声の混み合うふ初時雨(典子)

◎秋曇面接官の赤いペン(真弓)
 秋灯にまた読み返す手紙かな(らてん)
 一服も脚立の上で松手入(らてん)
 木犀の花持ち帰る靴の底(真弓)
 長電話終わった後の夜寒かな(らてん)
 炊きたてのごはんに絞る酢橘かな(らてん)

 吉野山上千本より黄落す(凡)
 長電話終わった後の夜寒かな(らてん)
 稲妻や缶コーヒーの甘すぎる(ふく)


2019年10月26日
土産物屋ばかりの街を秋しぐれ(清吾)
体操のためのラジカセ草の花(清吾)
神の留守母の遺影は首かしげ(美雀)
鰯雲詩人になれと木のベンチ(すずめ)

犬の舌の獰猛な赤冬木道(すずめ)
聖堂はひかりの器小鳥来る(清吾)(共選)
初恋の人も古希なり金木犀(海峰)
秋しぐれ線路の砂利の錆増して(清吾)
文化の日一人一つの楽器提げ(清吾)

揺り籠の微かな軋み秋あかね(美雀)
運動会やや空へ向く拡声器(すずめ)
尻はしよりの町役走る秋まつり(洋子)
マネキンのやや俯いて冬隣(すずめ)
秋澄むや受け継がれきて銀食器(莊太)
捨案山子空を見上ぐる目鼻無し(すずめ)
鳥風や棒線で書くシフト表(布香)
共に酌む友も古希なる秋ともし(莊太)
茎一本大きな菊花支へをり(布香)
台風来胡椒は赤い実をつけて(莊太)
遺言は大器晩成ちちろ鳴く(海峰)
秋の山器楽室からヴィヴァルディ(美雀)
花すすき砕石場より発破音(清吾)
家丸ごと流すなげきの秋出水(莊太)
飼主を待つ犬の背も秋思らし(布香)
屈強な男のさはやかなるお辞儀(布香)
コスモスや帰りは時間かけてゆく(美雀)
水炊きの締めのおじやを心待ち(海峰)

てのひらの器に木の実一つづつ(雄作)
衛星の飛んで林檎の齧りかけ(典子)

2018年10月27日
ワイパーに違反切符のごと枯葉(美雀)(共選)
兵役なき国に生まれて文化の日(布香)
メビウスの帯に裏なし秋麗(莊太)
いつまでも風に吹かれて穴まどひ(秀子)

身に入むや黒タイと数珠ロッカーに(布香)(共選)
虫すだく文字の薄れし将棋の歩(莊太)(共選)
捨案山子遊び足らざる顔をして(秀子)
秋風や碑の裏側の粗削り(秀子)
地球儀の北極は青冬用意(洋子)」

父母の居ぬふるさとの宮日かな(海峰)
捨案山子落ち武者狩りに遭ひしごと(清吾)
病院のすべての窓の秋夕焼け(秀子)
兵隊のからくり時計暮れ早し(啓子)
寄り道をしてきた証ゐのこづち(啓子)
綱引きの股の筋肉秋高し(洋子)
友だちが町内会長秋祭(海峰)
身に入むや琥珀は蝶をとぢこめて(秀子)
踊らせず煮込むや栗の渋皮煮(布香)
鹿の顔一人称はきつと儂(すずめ)
飛び出し注意の看板折れて野分あと(すずめ)
倒木を断つチェーンソー秋澄めり(すずめ)
たつぷりと採血されて冬支度(清吾)
遡る家系図秋の深まりぬ(啓子)
対岸のそこは保養所秋澄めり(清吾)
胴上げの誰かはサボる体育祭(布香)

出来秋や一兵卒が金となり(雄作)
ばつたんこ鳴る花札の雨が出て(典子)


2017年10月28日
二人にはほどよき間取冬支度(秀子)(共選)
人待ちのバックミラーを蝗飛ぶ(清吾)
救急車の静かに戻る秋驟雨(布香)
一族の大顔ばかり冬支度(洋子)
南朝の武士の碑すくと秋晴るる(すずめ)

秋日和鳩が己の羽へキス(すずめ)
秋の夜や卓にカップの影二つ(秀子)
秋澄むや砥石三つを使ひ分け(布香)
熟成のワインとチーズ虫の夜(秀子)
双子にも姉と妹鳳仙花(美雀)

ホームに佇ちて膕の冷えにけり(布香)
ぎしぎしと鳴る蝶番鳥渡る(美雀)
木道にすべりし跡や草紅葉(洋子)
歩道橋時をり揺れて秋夕焼(秀子)
青空をまづ称へたり運動会(啓子)
跡取りは大器晩成鵙鳴けり(美雀)
さびしさや花野に色の多すぎて(秀子)
南瓜と見舞の手紙厨口(美雀)
むちむちと太る蓑虫揺れながら(秀子)
台風よ柿熟すまで待つてくれ(海峰)
友来る生成り袋に柿詰めて(布香)
水琴窟の音の間遠や秋の暮(清吾)
鳥渡るリュックを前に持ち替へて(莊太)
田じまひの煙一筋石仏(啓子)
久びさに夫に誉めらる柿なます(海峰)
高校の柵の隙間を冬の蝶(すずめ)
亀虫のどこかに残り居着くらし(海峰)
昼の虫鳴く近道は造成地(清吾)
駐車場に登る紅葉のグラデーション(布香)

草の花犬のリードを長くして(雄作)
秋思かもドレッシングの分離帯(典子)


2016年10月22日
ヨーグルトの蓋に牛の絵天高し(徳将)
六甲山は切り絵のごとく秋の暮(木屋)
銀漢へ夫の短所を列挙する(すずめ)
客待ちのタクシーの列冬ざるる(秀子)
生意気な意見も一理新酒酌む(美雀)
俳優の名前忘るる昼の月(洋子)

犬を飼ふ家族会議や文化の日(布香)
混ぜるたび湯気新たなる茸飯(紅里)
天牛のまへに靴紐結びけり(徳将)
シャガールの空飛ぶ馬も太りけり(美雀)
ずつしりと四角ばる猫金木犀(秀子)

秋雨や岩塩の桃色を挽く(栄樹)
炊出しの列に湯気立つ雁の空(栄樹)
新松子花嫁道具に飾紋(美雀)
皆が皆細目のこけし初時雨(布香)
シンバルの長き残響九月尽(秀子)
温め酒妻の好みのあてに慣れ(清吾)
飛石の濡れて音なき秋の雨(啓子)
木犀の香やブルドッグ顔しかめ(清吾)
芒原風のしつぽを追ひかけて(秀子)
秋の噴水思ひ出に穴あいて(秀子)
蟷螂に鋭き声を返しけり(啓子)
煮魚のゆるゆるほぐれ秋土用(栄樹)
子の列が子の輪となりて運動会(紅里)
あつちむいてほいは苦手か案山子立つ(布香)
一列に並んだ新酒婿を取る(美雀)
秋うらら一匹の蟻列離れ(木屋)
抱くやうに萩を括りて尼なりし(啓子)
長き夜の列車ダイヤのサスペンス(布香)
磔像の耳元に寄る秋の蝶(啓子)
童謡のハスキーボイス芋煮会(徳将)
どんと岩あれば静かな居待月(紅里)

去つてゆく足跡ばかり刈田風(雄作)
凡庸な爪の三日月梨を剥く(典子)
2015年10月25日
台秤小さき鰯の足されけり(清吾)
粒胡椒かりと噛み当て今朝の冬(秀子)(共選)
胡麻和への芋茎の苦み母老ゆる(美雀)

慌てふためくさま見たし大海鼠(布香)
青九谷沈め秋水澄みにけり(秀子)
星月夜湖底の村の時止まり(美雀)」

寒暁の目覚し震へ鳴りにけり(布香)
秋の夜の茂みへ猫の尾がひらり(和樹)
秋灯となりて客船橋くぐる(清吾)
去ぬ燕日に七便の飛行場(啓子)
横断の鹿品行の悪さうな(清吾)
登山小屋の和式トイレに脚震ふ(一筋)
湯気のたつ一杯の白湯冬初め(洋子)
父の声探し当てたる運動会(海峰)
大和柿すがた描かうか齧らうか(狐狸庵改め鉄人)
もみぢ狩帰路に悔みし薄着かな(竜平)
まるくなる夫の背中冬隣(洋子)
出世などせぬとも庭に木の実生る(美雀)
七五三袴にのぞくズック靴(碧)
和菓子屋の奥の奥まで冬日差(秀子)
呼べば来る昭和タクシー文化の日(布香)
両陛下のスロージョギングさわやかに(海峰)
秋晴の干さるる靴の子沢山(啓子)

和毛に血はらぺこ狐出てきしか(雄作)
雁の列空の座標にはまりけり(典子)

2014年10月25日
松手入終れば伸びて松の影(美雀)(共選)
小鳥来るまはりまはつて戻る場所(輝代)
六甲の紅葉且つ散る道の駅(木屋)
朝霧や詩歌の都きつとある(布香)

朝顔の種採る路地の子だくさん(美雀)
オーボエのリード噛む癖そぞろ寒(清吾)
繕ひし網干されあり野紺菊(清吾)」

青林檎皇后の手の美しき(海峰)
仏壇の柿艶めける忌日かな(啓子)
ブレーカーは静かなる箱龍淵に(秀子)
駅ビルに語学教室鳥渡る(清吾)
銀杏黄葉散つて太古の朝のやう(秀子)
天窓を猫が渡りぬ秋の朝(秀子)
開け放つアトリエの窓小鳥来る(啓子)
父となり母となる子ら稲の花(輝代)
どんぐりやわらしべ長者になれさうな(布香)
イソジンの量をきつちり十三夜(輝代)

鵙日和スープ掬へば透明に(雄作)
秋鯖を筒切りにして老いゆくか(典子)

2013年10月26日
託すなら父母のこと神渡(美雀)
新走ノーベル賞と聞けばなほ(布香)
銀木犀迷子石ならこのあたり(美雀)
亡き母にまづは献盃今年酒(布香)
蕪村忌の歴女の長きつけ睫毛(美雀)

見えぬもの見えるてふ母鵙猛る(啓子)(共選)
履歴書の余白たつぷり秋うらら(秀子)
小鳥来る昼得切符買ひにけり(布香)
神輿待つ人に斜めの秋日差(秀子)」

乗り越して一駅もどる虫の声(木屋)
実石榴の朱の寂しき母の家(美雀)
爽涼や馬は気化するまで走る(秀子)
折りじわの多き日の丸文化の日(啓子)
台風来列島をぶん殴るごと(清吾)
秋刀魚食ふ父の話のながかりし(洋子)
枯葉散る越路吹雪の嗄れ声(木屋)
おむすびは俵形なり柿の秋(洋子)

竹伐るやゆさゆさと空揺すぶつて(雄作)
蓑虫に糸こども等に帰る家(典子)

2012年10月27日
松手入梯の上に人と雲(美雀)(共選)
担ぎ手を募るちらしや在祭(木屋)
ポケットの多き鞄や小鳥来る(啓子)

窯出しの器のぬくみ穴まどひ(啓子)(共選)
神留守の実印で押す宅配便(茂)(共選)
秋うらら大福餅の粉はたく(奈々枝)
ダンボール潰す拳骨冬隣(奈々枝)」

虎も麒麟もまだ緑なり菊人形(清吾)
秋澄むや浮かべたきもの何もなし(布香)
菊花展浮雲の影通りけり(清吾)
「あれ」や「それ」で巡る会話や秋深し(木屋)
月光を浴びて浮力のつきにけり(布香)
小春日の小川に浸ける鎌と足(茂)
小鳥来る年長組の鼓笛隊(啓子)
冬の葱ピンと空気を押し上げる(海峰)
二階より粽受け取る秋祭(美雀)
風船かづらおさななじみの顏忘れ(洋子)

鯔跳んで大阪湾のこともなし(雄作)
水占に浮いてくる文字秋深し(典子)

2011年10月22日
不機嫌に綿入れを着て麗子像(美雀)(共選)
落葉降る音の真ん中母のゐて(秀子)
秋深しシャッター街の招き猫(豊)

尾つぽまで猫は曲線秋ともし(秀子)
十字路は島の真ん中寒日和(秀子)
教会に畳敷きの間冬に入る(秀子)」

富有柿同じ顔して並びけり(美雀)
家中の闇鎮まりて茎の石(秀子)
アキレス腱伸ばして熟柿見上げけり(美雀)
猫車押してぐらりと秋の空(木屋)
新蕎麦の香りはじめの翡翠色(木屋)
神無月掘られて薄きアスファルト(布香)
いなびかり猫いつせいに振り向いて(布香)
ひきなほす眉の形や秋の空(洋子)
総領として負けられぬ木の実独楽(豊)
大豆干す筵新し祖母のゐて(洋子)
カフェラテのセピアのハート秋深む(木屋)

柿吊すはじめは影の重さうな(雄作)
文楽のめつむる頭秋灯(典子)


<2006年10月~2010年10月>
2010年10月23日
家付きの嫁をもらひし通草の実(共選)(美雀)
木の実降る夜や落書の家に窓(共選)(秀子)

蘆原や千年生きてきた心地(秀子)
園児みなミルクの口ひげ秋うらら(布香)
禁煙外来ざくろの実たわわなり(海峰)」

小鳥くるチョークで書きしお品書(木屋)
御柱の裏の傷跡冷まじき(布香)
夜学子の合はすラジオの周波数(啓子)
ゴンドラは止まつて見える紅葉山(西港)
長子つよく叱りしあとの芒原(美雀)
雪止めを持たぬ家なしななかまど(布香)
月の光浴びたしと泣くか子よ(啓子)
膝掛けをすすめたるカフェ諏訪平(洋子)
地中より戻りて仰ぐ後の月(啓子)
国会の猫も杓子も赤い羽根(美雀)
銅鏡は土にうもれて後の月(秀子)
休耕田巨人の王の案山子らし(西港)

はにかんでをる角伐を終へし鹿(雄作)
家苞にせよと干柿日向ごと(典子)

2009年10月24日
羽衣のよごれぬ不思議新松子(共選)(秀子)
建売の粗品となりぬ今年米(豊)
クレーンのひつぱつてくる鰯雲(啓子)

稲光救命胴衣古りにけり(共選)(布香)
厚紙の星座盤古り虫の声(秀子)
鳥渡る回転ドアの暇なく(豊)
木犀や暇をつぶすといふ仕事(秀子)」

踊るのは誰月光の石舞台(秀子)
野分立つ口を割らないピスタチオ(布香)
山高帽載せて「宮日」の顔となり(海峰)
秋深し阿修羅は軽く足ひらき(美雀)
口金の大きな鞄鳥渡る(秀子)
風見ゆる大きうねりの泡立ち草(啓子)
ご破算で願いましては吊し柿(布香)
冬の星邪鬼の涙として光る(美雀)
秋涼し立喰ひそばの暖簾ゆれ(木屋)
久し振りに妻の手にぎる運動会(和夫)

ばつたんこ次の一手をうながしぬ(雄作)
非通知の記録の残る雁渡し(典子)

2008年10月25日
妹がいつか友達赤のまま(サブリナ)
リハビリの最初の一歩鳥渡る(豊)
コスモスも母性も風にゆれにけり(布香)

仏壇の中が窮屈豊の秋(サブリナ)
十年の背広つるして冬支度(共選)(洋子)
風葬の途中の雀大花野(共選)(サブリナ)
飛竜頭に百合根銀杏豊の秋(美雀)
秋の道折れて千恵子の空に逢ふ(美雀)
コスモスは風吹くたびに鮮しく(サブリナ)」

黄落やきつとどこかに落し穴(豊)
おつぱいのやうな鬼岳空高し(布香)
三人でひつぱつてゐる通草蔓(啓子)
小春日や猫の退屈ことのほか(啓子)
ドロップのやうなブローチ小鳥来る(サブリナ)
柚風呂や今日は屈託なき一日(美雀)
石榴の実老人会の笑ひ声(海峰)
木犀や朝一番の深呼吸(豊)

バファリンが鞄の底に神の留守(雄作)
秋うらら子が屈み見る大工さん(典子)

2007年10月27日

締込みの尻の鮮し秋祭(美雀)
太眉の家系とみたり七五三(啓子)
それぞれのベンチ決まりて秋澄みぬ(海峰)
角のミラーに動くものなし暮の秋(布香)
ピノキオの鼻伸びてゆく文化の日(美雀)

牡蠣すする死んでもびっくりされぬ歳(サブリナ)
着ぶくれて躰迷子になりさうな(サブリナ)
二次会は向かひ合はせに十三夜(西港)
押し花にほのと紅秋ともし(サブリナ)」
朝寒や苺の味の水薬(サブリナ)
色鳥やフランスパンを斜に切り(布香)
青蜜柑末期の深き一呼吸(木屋)
山へかへる鮭の記憶の薄紅に(布香)
百姓を捨てコスモスの風の中(啓子)
抜き胴を決めた瞬間天高し(西港)
パパはいつも僕の味方だ赤トンボ(美雀)
味噌汁の濃さは母より暮の秋(洋子)

初鴨のまだ安穏の数ならず(雄作)
敷石に歩幅のあはぬ水引草(典子)

2006年10月28日

到来の文旦ありぬ二七日(雄作)
鉄棒にナイフのごとく折れて冬(雄作)
消しゴムを何度も使ふ秋思かな(西港)
熊の仔のばら色の舌雪来るか(サブリナ)
鵯の聲今日の仕事を終りけり(美雀)
登り来て枯野の先の大枯野(啓子)

産み月や鯨は海を押し上げて(サブリナ)
晩秋やギプスに文字のぎつしりと(布香)
冬に入る坂の上まで白手摺(布香)
空っぽの箱積みあげる深雪晴(サブリナ)」
青空やじゃがいもの皮厚く剥き(洋子)
あふむきて星を数へる捨案山子(サブリナ)
折り皺の残るブーツを磨きけり(布香)
喪の家の柿の実あまた残さるる(啓子)
おなもみや母に頼みし祭寿司(美雀)
やや寒や過ぎる電車のもどり風(木屋)
残照の雁来紅の天下かな(きよし)
千振を掘るや信濃は母の国(悦子)
鳥渡るころの電波の混み合へる(雄作)
穂絮とぶ川の蛇行のはじまりに(典子)


<2001年10月~2005年10月>
2001年10月27日
秋曉の雨の匂ひと帰り来る(サブリナ)
秋日和ボルドー色に髪染めし(海峰)
鶏頭喉元黒き種を掻く(青鵬)
単線の両側遠くまで刈田(青鵬)
アールグレーの葉のひろがりし良夜かな(布香)
秋澄むやヒマラヤ杉の九十年(西港)
隅っこで喧嘩始まる夜長かな(西港)
振り向けば母の白髪とコスモスと(サブリナ)

み仏もひとりっきりの月夜かな(美雀)
秋天に手招きしたり四隅餅(青鵬)
木犀の匂ひ濃くなる雨催ひ(布香)
洟啜る人も混じりて紅葉狩(サブリナ)
天高しビルの隙間に雲ひとつ(西港)
霧深き「潮騒」の島今過ぎし(青鵬)
胸にある憂き事うすれ秋の山(布香)
冬の雲延期が並ぶ予定表(ベアトリス)
斧傷の一樹が霧を増やすかな(松ちゃん)

2002年10月26日
木犀や今日も上巻貸し出し中(布香)
毬栗のばさつと落ちるトタン小屋(青鵬)
ゴッホ展出てきて酒と鰤大根(海峰)
望郷や飯屋の棚の蜜柑箱(青鵬)
特選のリボンも菊や菊花展(布香)
点描のひとつとなりて花野ゆく(布香)

秋茄子や持ち重りする赤ん坊(美雀)
万屋を発つ午後のバス山の秋(西港)
雨後新秋仏壇裏の仄暗し(サブリナ)
母の愚痴受け流し来て黍嵐(海峰)
煮返して鍋の内外暮れ早し(サブリナ)
秋の陽や湯屋の射的にグリコ立つ(西港)
干し柿の影豹柄に軒深し(美雀)
秋晴れの空に向ってボール打つ(翔)
いとどゐる校長室の靴拭ひ(松ちゃん)

2003年10月25日
渡り鳥おのころ島に糞落す(雄作)
店に人いなくなりまた鰯雲(西港)
議事堂は石の塊神の留守(雄作)
石橋の影を落して水の秋(美雀)
厠より独りの月を眺めけり(きよし)
縄電車の一駅とばす秋の暮(雄作)

父を待つ釣瓶落しの石の段(サブリナ)
秋夕焼袋一つを子に持たす(西港)
霜降やハンドクリームひしと塗る(海峰)
上賀茂の神馬の毛並秋日和(きよし)」
見通しのつかずしゃがめば葛の花(サブリナ)
秋麗やブーツずらりと躙口(洋子)
田に古自転車を待たせをく(海峰)
松茸の残る一本如何せむ(お茶の水博士)
あしたには伐らるる木透く秋没日(サブリナ)
鵙の贄五風十雨に仕上がりぬ(雄作)
田仕舞の煙浴びたる名無し山(雄作)
試供品ほど木犀の花はじめ(松ちゃん)

2004年10月23日
投網打つ音のさみしき草の絮(雄作)(共選)
秋時雨卓球台の二つ折り(律子)
大鳥居塗り終へ秋の深まれり(律子)
秋冷のきつちりと置く鑿鉋(サブリナ)
熊の食ひあませし木の実拾ふべし(雄作)
伯母の死の一年後も白木槿(海峰)

秋の水千の味蕾のそよぎけり(サブリナ)
Gジャンの胸に草の実サガンの訃(サブリナ)
燃えさしに秋風来たる燐寸棒(サブリナ)
嗽して声をあらひぬ貝割菜(雄作)」
少年のすぐ投げたがる青蜜柑(布香)
椋鳥の樹が倒されて天に星(美雀)
日溜りを動こうとせず菊人形(西港)
虫の音や遮断機の鉦鳴りわたり(木屋)
朗報や金木犀の風吹いて(啓子)
町役がずらりとそろふ秋祭(洋子)
あれやこれ思ひ通じず胡桃割る(悦子)
ずつしりと片手を使ふ太鼓山コッコデショ(きよし)
三越に自転車で行く野分雲(律子)
籾焼のけむりの折れて村会議(典子)

2005年10月22日

角茄子のひょっとこ顔に似てゐたり(布香)
十月の外階段を五階まで(豊)(共選)
太郎より次郎の匂ふ柚子打って(雄作)
秋蝶を付けてくれたる形見分(雄作)
天高し昼まで地下の会議室(西港)

宵闇や大楠伐られたるにほひ(サブリナ)(共選)
波音へ押し寄せ泡立草咲けり(啓子)
秋天にマンモスタンカー進水す(豊)
次の間も月光の入る島の宿(啓子)」
十月やフランスデモも忘れたる(西港)
塗り絵本の平積みされて冬隣(布香)
磨る墨の形整ふ夜の秋(啓子)
流れ藻の秋の渚に寄るばかり(きよし)
フランベの炎の高し文化の日(布香)
秋風に幟の吹かれ海の駅(美雀)
秋夕焼それぞれ違ふ帰路のあり(サブリナ)
やうかんの栗のぽろりと秋しぐれ(雄作)
だし昆布のくらりと返る神渡し(典子)

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