句会より

　松永典子選(高点句含みます。◎は特選)
◎冬ざれの焼け跡パチンコ玉ひとつ（真弓）
　寄鍋が終はつた後の流し台（らてん）りん、ふく
　とりあへず鈍行に乗り冬休（真弓）らてん
　雪原を大蛇這ふごと川流る（凡）乃の
　流行のスカート丈や開戦日（ふく）
　流れ着くところが居場所冬の雁（らてん）りん

（高点句）◎は特選です。
三点句
　河内野の枯れて遠嶺を引き寄する（典子）◎ふく、◎乃の、◎らてん
二点句
　切り株の真新しさや年の暮(ふく)　らてん、真弓
　去年今年わが強情を持て余す(典子)　りん、ふく
　落葉乗せて次の木馬の廻りくる(典子)　らてん、乃の
　賄ひにおまけのチキン聖夜なる(真弓)　りん、らてん
一点句
　出来すぎて期待はづれの福笑ひ(典子)　◎真弓
　末枯に影を落としてゆくリフト(典子)　乃の
　冬日差すソファに植木鉢の影(ふく)　真弓
　暖冬やクレーンが吊る流し台(典子)　ふく
　一人なる厠の窓にオリオン座(真弓)　リン
　訳ありの方が甘しと蜜柑むく(真弓)　乃の
　マフラーにちらりイヤホン雲流る(乃の)　らてん
　あと何度会へるだらうか冬夕焼(ふく)　りん
　口元に落ち葉寄りくる露天風呂(凡)　乃の
　みかん焼く匂を夜の八幡宮(乃の)　ふく
　疫病の星を見下ろし冬の月(らてん)　真弓
　明日へと流れる雲や除夜の鐘(真弓)　りん
　灯の点る古書店街や漱石忌(乃の)　真弓
　転びし日いい日なりしか日記買ふ(りん)　真弓
　記録する朝の体温氷踏む(りん)　ふく
　義実家の長方形の炬燵かな(ふく)　らてん
その他
　むささびの飛ぶや風音ひとつ無く(らてん)　

参加者　　　井上真弓　影山らてん佐々木ふく　中村りん　田窪乃の
　　　　　　松永典子　山内　凡(欠席、投句のみ)
　　　　　