<11月>

<2011年11月~2020年11月>
2021年11月20日
 凩やパトカーの今日三台目(ふく)
 石段を上から飛んで七五三(ふく)
 自転車の落葉一枚踏んでをり(ふく)
 掘割を吹き抜ける風冬めきぬ(らてん)
 割算の百ます計算文化の日(ふく)
 月食の影に吾もゐる冬の路地(ふく)りん

 小春日の油の匂ふ自転車屋(典子)
 塊の砂糖をほぐす神無月(典子) 
 セーターの虫に喰われて割れおかき(乃の) 
 子の作るべつこう飴や冬うらら(真弓) 
 出囃子は今か今かと冬将軍(らてん) 
 雪割のずしつと重き青キャベツ(凡) 
 割算が出来なくたつて小春空(真弓) 
 割下にまで口を出す鍋奉行(典子) 
 マスクにも三原色の自己主張(らてん) 
 院内に産声聞こゆ冬木の芽(凡) 
 立冬のあんかけにする中華そば(らてん) 
 耳栓に冬の鼓動を確かめる(真弓) 
 夕暮れは夕暮れ色の落葉かな(りん) 
 獅子の如くせ毛に白髪けさの冬(乃の) 
 月食の影に吾もゐる冬の路地(りん) 
 指先の寂しさを知る手袋よ(真弓) 
 月食の暗褐色の吾に向く(ふく) 
 冬の星山小屋の窓スクリーンに(凡) 
 公民館のでこぼこ壁へ石蕗の花(ふく) 
 小春日のどこ曲がりてもいい散歩(らてん) 
 木の葉ふる窓際今日のAランチ(真弓) 

2020年11月28日
◎敷き詰めてパッチワークの落葉たち(倫子)
 贅沢は冬青空のカップ麺(真弓)
 冬すみれ新聞記者でありし母(らてん)
 加湿器のAIと会話する夜更け(真弓)
 屋上の稲荷の鳥居石蕗の花(真弓)
 ともかくも湯豆腐のある夕餉かな(らてん)

◎生きてゐるぞと海たたく鯨の尾(典子)
 吊り橋を渡るふたつの冬帽子(らてん)
 ボルゾイのしづしづ通る冬うらら(典子)
 柏手を打つて礼して懐手(らてん)
 躾糸一気に抜いて年詰まる(典子)
 しぐるるや郵便受けに請求書(らてん)

◎冬すみれ新聞記者でありし母(らてん)
 風冴えて女子高生のふくらはぎ(ふく)
 生きてゐるぞと海たたく鯨の尾(典子)
 ボルゾイのしづしづ通る冬うらら(典子)
 小さき手に小さき手の来て夕焚火(らてん)
 躾糸一気に抜いて年詰まる(典子)

◎躾糸一気に抜いて年詰まる(典子)
 風冴えて女子高生のふくらはぎ(ふく)
 あつ電車行ってしまつた神の留守(ふく)
 ボルゾイのしづしづ通る冬うらら(典子)
 托鉢に包むつめたき小銭なり(典子)
 枯園の木彫の鳥の親子かな(ふく)

◎吊り橋を渡るふたつの冬帽子(らてん)
 中吊りの広告変へる冬の朝(凡)
 雑炊や会話全ても吸ひ込みて(倫子)
 ボルゾイのしづしづ通る冬うらら(典子)
 躾糸一気に抜いて年詰まる(典子)
 ともかくも湯豆腐のある夕餉かな(らてん)

◎年老いて円くなりしや吊るし柿(凡)
 中吊りの広告変へる冬の朝(ふく)
 生きてゐるぞと海たたく鯨の尾(典子)
 小さき手に小さき手の来て夕焚火(らてん)
 跳ねたとこ辿ればアート寒雀(真弓)
 小春日の胎児うねうねぐゎんぐゎん(ふく)


2019年11月23日
面取りに力む親指神の留守(すずめ)(共選)
悪妻に憧れ少し根深汁(布香)

街灯が葬列のごと冬の霧(すずめ)
消しゴムの滓舐めゐたり冬の蠅(清吾)
池の端の背中ぬくしよ返り花(清吾)
ゴッホなら描きたき空冬木立(美雀)《

終ひ弘法縄で括れる皿小鉢(洋子)
鉄棒の鉄の匂ひや冬はじめ(美雀)
喫茶店の新聞の皺冬の雨(洋子)
枕木の下はバラスト霙降る(清吾)
粕汁や一人暮しの朝寝坊(洋子)
お歳暮の大鋸屑散らす車海老(布香)
ラガーマンの厚き胸板冬ぬくし(莊太)
悪童の面差のこり鍋奉行(美雀)
口笛を吹けないままに木の葉髪(すずめ)
恋は神の悪戯なのか六花(布香)
銀杏散る緑の屋根の国技館(清吾)
ホットサンドのチーズ溶け出し冬に入る(海峰)
かたはらにシャンパングラス室の花(清吾)
烏は悪雀は善や神無月(海峰)
悪友にして親友とおでん酒(すずめ)
つるし柿ぐらつく椅子にのる子供(洋子)
朋友も白髪はみ出る冬帽子(莊太)
孫持たぬ夫婦のハロウィーンケーキかな(海峰)
うしろからまた悪友の雪つぶて(清吾)
牡蠣船や母との話題父の事(美雀)
静けさへ余韻嫋嫋アカショウビン(平介)
寄鍋や悪役顔で箸伸ばし(莊太)
冷蔵庫の値札はがして年の暮(海峰)
クレヨンの跡が机に小六月(洋子)
大水槽のサンタへ寄りて子と魚(布香)

ありがたきもの荒星も悪友も(雄作)
冬うらら自転車籠に葱立てて(典子)

2018年11月24日
補聴器側にヘルパーの添う師走(布香)
眼鏡にも二軍ありけり冬の月(布香)(共選)
飼育員の赤い長靴冬の朝(布香)

雪うさぎ無認可保育園の前(すずめ)(共選)
コート脱ぎふつと男の目が弱気(秀子)
鶏鳴や土の育む霜柱(秀子)《

筆箱の中は賑やか冬ぬくし(啓子)
折り鶴の折り線ゆるき冬日向(莊太)
寒鴉駐車禁止の標識に(すずめ)
顔見世や紙皿に盛るオムライス(洋子)
寒空や駅のベンチの向き変はる(布香)
冬あたたか畑の土を揉んでみる(洋子)
煩悩も無ければ憂しと除夜の雪(美雀)
リハビリの掛け声通る小六月(啓子)
葱畑の晴や頑張らんばと老母(莊太)
おでん酒浪花の町に育てられ(すずめ)
悴みぬ月の兎もわたくしも(秀子)
太極拳の指の鋭し今朝の冬(すずめ)
紅葉狩育メンらしく背に赤子(海峰)
初雪や心音を聴く手のぬくみ(洋子)
冬暖か尾をひらひらと麒麟の子(すずめ)
国道のここは終点日の短か(啓子)
四辻に育つ綿虫黄昏るる(啓子)
塗装屋に褒められてゐる冬薔薇(美雀)

鯛焼きの御頭付きで祝はうか(雄作)
工事場の隅に落葉を掃く箒(典子)

2017年11月26日
あの紐があればよかつた年用意(啓子)
留守電の声の後ろの聖歌かな(布香)
門の鋲は乳房の形神の留守(莊太)
古書店の親父うごかず冬の雷(すずめ)

ミルフィーユ仕立ての記憶冬暖か(秀子)
置炬燵夫も私も少し古り(秀子)《

翌日のおでんの昆布ほどけをり(布香)
元マドンナすこんすこんと大根抜く(秀子)
数へ日のワインに浮かぶコルク片(布香)
トンネルのおまけのごとき冬の海(布香)
ポインセチア窓際で赤くなれ(海峰)
妻留守のことこと煮込むおでんかな(清吾)
留袖に母方の紋冬ぬくし(啓子)
茎漬けの水の上がりぬ長き留守(秀子)
咳をする毎たましひが零れおつ(すずめ)
身の内の骨を感ずる寒さかな(すずめ)
枇杷咲くや路面電車で港まで(洋子)
たつぷりと寝たる勤労感謝の日(清吾)
重箱を優しく拭いて年用意(海峰)
Jアラート冬の漁港に鳴り渡る(啓子)
トイレの絵シャガールに変へ冬始め(洋子)
局留めの干し柿幾重にも包む(美雀)
きちきちが母校の塀をよぢ登る(すずめ)
蜜柑ぽんと受く恋心なくはなし(美雀)
車椅子のダンス冬日の渦巻けり(布香)
展覧会の絵の中の虹冬空に(海峰)
雑巾の縫い目きつちり年用意(美雀)
聖樹飾りゆく広窓の絵のやうな(洋子)
留守番に慣れ冬薔薇の水を替ふ(莊太)

冬の蠅と同じ日差を浴び留守居(雄作)
ドロップ缶ひと振りほどの冬の雷(典子)

2016年11月26日
綿虫と思ふ白さのよぎりけり(布香)(共選)
胸焼けの烈し狐火見しよりは(清吾)
雪囲ひせむと禿頭勢ぞろひ(すずめ)
志ん朝の「付き馬《少し風邪をひき(美雀)
夕凍みやビスクドールはやや眇(秀子)

付き人の髷まだ結へず水仙花(木屋)
庫裡裏に猫も集へる十夜かな(啓子)
老眼鏡いつもさがして小六月(洋子)《

小春日や鴉のつつく猫の餌(洋子)
日溜りに猫の餌残る小春かな(木屋)
電柱の錆びたるボルト虎落笛(すずめ)
丹波路に古窯のけむり柿熟す(碧)
干し柿や戸の開いたごと日の差して(秀子)
新年号の付録豪華なバッグなり(布香)
点滴をひねもす眺め秋うらら(海峰)
としごろの娘いつまで置炬燵(洋子)
柴漬けをからめるパスタ文化の日(清吾)
黄落のはずが大樹の伐られけり(啓子)
小春日の目の玉ぐるり鬼瓦(美雀)
万年筆の軸の太さよ冬座敷(清吾)
梟の動き絡繰り仕掛に似(木屋)
燈火親し付箋の殖ゆる参考書(啓子)
食堂の暖簾片寄る神渡し(秀子)
採寸のくすぐつたくて小六月(すずめ)
売り家の木犀かをる冠木門(美雀)

付き添ひの方が年寄り霜あした(雄作)
寒林より静か子のゐぬ子供部屋(典子)

2015年11月27日
餅の罅甲骨文字に似たるかな(清吾)
花枇杷や行けばいつでも会へる人(秀子)
薬包の胃散の匂ひ漱石忌(美雀)
茶の花や末尾なかなか定まらず(輝代)

犬小屋を母屋に寄せる冬構(美雀)
煤逃げやきりんは鉄の柵舐めて(清吾)
関東煮今日もわたしは出かけます(碧)
山を背にご先祖様もひなたぼこ(碧)《

大阿蘇の大根すだれ夕日照る(美雀)
錆のうく放置自転車冬深む(洋子)
昼酒のまはり速しよ日短か(清吾)
金色の鴟尾の統べたる枯野かな(秀子)
とろろ昆布のごときが浮いて冬の池(輝代)
欠け仏並ぶ堂裏冬ぬくし(啓子)
神棚にいつまでもある千歳飴(美雀)
店先の饅頭の湯気そぞろ寒(木屋)
角痕の大きな鹿や冬初め(洋子)
アル・カポネ風の帽子や酉の市(秀子)
時雨聴きグリーグを聴き浅き夢(輝代)
始末書を出すも勤労感謝の日(鉄人)
人妻となる人送る落葉かな(和樹)

ハモニカと毛糸帽のみ残されし(雄作)
ぽつくり寺に詣でて風邪をもらひけり(典子)

2014年11月22日
顎埋む黒セーターといふ黙に(秀子)
ふるさとに待つ人なくて茸飯(美雀)
酒断つは来月からに神の留守(清吾)

牛飼ひの厚き手のひら冬うらら(啓子)
対岸に原発見ゆる神の留守(海峰)
すし桶の箍の緩びや小六月(啓子)
畳替歩き始めし子を下ろす(布香)
岸釣りの人影二つ日の短か(啓子)《

狐火や訳のわからぬ略図持ち(清吾)
老眼鏡ずれてゐるなり日向ぼこ(洋子)
砂浴びの象あとずさり北颪(清吾)
通勤の鞄にみかん抛り込む(輝代)
見上げよと我を掠める冬鷗(秀子)
いまどきの縦長レタス文化の日(輝代)
冬あたたか母に痛みのなき一日(秀子)
履きながら磨くよ軟らかきブーツ(布香)
寒蘭の葉をていねいに拭く夜かな(洋子)

襟巻を巻きなほしたる岸恵子(雄作)
ひとつづつ何か諦め葛湯溶く(典子)

2013年11月23日
人形と出窓に住みて冬の蠅(布香)
籾殻にまだ温かき寒卵(美雀)
千歳飴ひきずりながら太鼓橋(洋子)
序の舞の一歩踏み出す冬灯(美雀)

ソビエトのままの地球儀帰り花(美雀)(共選)
川音の磨きし冬の星ならん(秀子)
枯蘆や空と海とがせめぎ合ひ(秀子)《

会議室の奥まで夕日年詰まる(清吾)
新聞のチラシも冷えて今朝の冬(布香)
鳥の足あと干潟に残る神無月(木屋)
東電の役人言葉息白し(海峰)
居残りの事務所の窓に初時雨(木屋)
福助の耳は福耳年用意(清吾)
寒月光椅子には浅く腰掛けて(秀子)
白障子かごめかごめの聞こえくる(木屋)
小春日のちらと本音の出でにけり(布香)
山鳩の声の温しよ冬館(秀子)

受験子に切火とふものしてみたき(雄作)
切干を煮てぽかぽかと物忘れ(典子)

2012年11月24日
落葉ひらり人の吊前を思ひ出す(秀子)
譲られし席に戸惑ひ冬はじめ(木屋)
冬耕の一鍬ごとの三拍子(茂)
大鉤に鮟鱇の顎残りけり(清吾)
切つ掛けはポインセチアの茜色(茂)

風神の脛の筋肉冬の雲(洋子)
花柊縁は少しづつ薄れ(秀子)
シーソーにぶらんこの影日短(茂)《

風花や白寿の母が父母を恋ふ(布香)
木の葉散るすさまじきまで物忘れ(秀子)
肩の凝り叩くハンガー花八手(奈々枝)
大楠を見上げる庭師冬に入る(洋子)
搗き立ての餅のやうなり吾子眠る(美雀)
木枯や切らずにおこうパンの耳(奈々枝)
テレビジョン消して勤労感謝の日(海峰)
使ひ切る干支の切手や十二月(布香)
三回目のトイレ休憩冬紅葉(西港)

切株に兎を待ちて老いにけり(雄作)
灯台の絵の前で待つ寒さかな(典子)

2011年11月26日
法務局の隣はお城冬うらら(西港)
冬晴や屋根師三人屋根の上(秀子)
冬枯のここに上九一色村(豊)
粉飾を詫びる社長や年暮るる(海峰)
職安の番号札と冬に入る(西港)

粉つぽい夕日差し込む風邪心地(秀子)
山茶花を咲かせ気難しき一家(秀子)
紙のごと空は乾いて帰り花(秀子)
冬の鵙鞄の中身角張つて(秀子)《

秋深し環状線の下歩く(和夫)
ゼムピンにはさむレシート十二月(美雀)
配線のこんがらがつて寒い夜(啓子)
秋寒や伸びたわが影踏んで行く(清人)
色変へぬ松や談志は終の道(木屋)
ボロ市の値札はりかえ秋の暮(木屋)
着ぶくれて目鼻の見えぬ女の子(洋子)
太刀魚の銀の映りし箸の先(和夫)

米粉の焦げのほどほど十二月(雄作)
談志死す季節はづれのとんぼゐて(典子)


<2006年11月~2010年11月>
2010年11月27日
時々は飛んでもみせる冬の蠅(啓子)
渡し船戻り冬日は木の椅子に(美雀)
駅弁の堅めのごはん冬日向(啓子)
桃の木に残る袋やもがり笛(布香)

空つぽの船の吃水小六月(海峰)(共選)
日本一低き山より小春空(布香)(共選)
冬の虹湾の埋立て止めどなく(西港)
冬麗や高層群は波に生え(秀子)《

冬の波錆のきはだつパナマ船(洋子)
年の夜のレール駅舎を貫きて(秀子)
橋の裏ばかり見てゐる神無月(秀子)
神の留守乗船客は二人だけ(西港)
秋うらら橋より低き天保山(木屋)
搭乗にマスクの列の進みをり(啓子)
野良猫のほどよき間合ひ落葉道(布香)
冬もみぢ臍のかたちに天保山(美雀)
日本一低い山なり銀杏散る(西港)

天保山の十字踏みたり神の留守(雄作)
木枯を待たせて大阪港めぐり(典子)

2009年11月28日
楓落葉すすすと箒目を流る(秀子)
学童の足の細さや冬はじめ(木屋)
うしろにも目の有る教師小六月(美雀)
六畳に押入れといふ極寒地(豊)

ちりちりと喉が渇いて紅葉山(秀子)
槌・砧耳に骨ある寒さかな(美雀)
水音に沿ひて降りくる紅葉山(秀子)
飛石に靴の跡あり花八手(洋子)
野良猫の棲み分け上手小六月(豊)
鷹渡る灯台守の家の跡(啓子)《

どれほどの雪見て来しか緑青は(布香)
冬ぬくし同窓会の日にはなほ(海峰)
学校は創立記念日初紅葉(美雀)
しぐるるや句点読点明確に(啓子)
吟行に手頃な小径照紅葉(西港)
冬暖か白髪のごときポトスの根(木屋)
時雨るるやたんすの裏の古手紙(洋子)

鶺鴒に叩くべき石多すぎし(雄作)
日出づる処悪性の風邪はやり(典子)

2008年11月22日
冬帽子山鳩の声聞きたくて(共選)(サブリナ)
銀杏降る蕎麦屋の原付バイクにも(西港)
つまらないけんかをしたりとろろ汁(美雀)
ほか弁のお勧め勤労感謝の日(西港)
看病の合間のお風呂花八手(洋子)

初氷にほひは思ひ出しにくく(サブリナ)
故郷は奥まで透けて枯木立(サブリナ)
雪原を空まで続く靴の跡(サブリナ)
ビル街の湯屋の煙や一葉忌(啓子)《

山紅葉あかりいつしか寂しかり(美雀)
冬うらら横断歩道のまのび音(木屋)
裏庭は川に続きて木守柿(布香)
太つちょの犬沈みこむ落葉かな(海峰)
知らぬ吊を系図にみつけクリスマス(美雀)
楠の洞深かりし神の留守(啓子)
でもと言ひあとの続かず夜の霜(布香)
大根売る無人店舗の案山子かな(木屋)
裸木のさくらの膚のあたたかし(雄作)
裸木となるそれでいいそれがいい(典子)

2007年11月18日
Y軸はあなたとの距離クリスマス(西港)(共選)
ポインセチア共学となる男子校(西港)
冬帝といへど地軸にしたがひぬ(布香)
暖炉の火誰からとなく過去の恋(西港)

月面に浮かびし地球神の留守(啓子)
白毛布子供は手から眠くなる(サブリナ)
ぺん軸に我が吊古りゆく冬の月(サブリナ)《
光太郎の「手《に初雪の空があり(美雀)
ポインセチア願掛けのもう時間切れ(海峰)
割り勘の小銭ぎやうさん落葉道(西港)
ぎりぎりの皮の張力熟柿吸ふ(西港)
起重機の伸びきつてゐる日向ぼこ(啓子)
冬に入る地軸傾くままに星(木屋)
湯浴みせし母の細さや新松子(洋子)
捨てられぬ手紙の束や近松忌(海峰)
昭和もう遠くなりたる置炬燵(美雀)
味噌汁と飯炊く匂ひ汀女の忌(洋子)
犬の朊わがブルゾンに似てゐたる(雄作)
軸折れしマッチのしめり雪ぼたる(典子)

2006年11月25日
綿虫にいつもの角で出逢ひけり(啓子)
俎板の鱈に目蓋のなかりけり(美雀)
小雪や人形館に人の声(悦子)
ティシュペーパー途中で千切れ翁の忌(布香)
泣かぬ子に見えてゐるらし雪女郎(啓子)

炭火美し家蜘蛛の血はとだえずに(サブリナ)(共選)
耳たぶを触れば脈あり冬山河(布香)
寒の水嘘の金魚にそそぎやる(サブリナ)《
たつぷりと牛蒡のスープ冬深む(布香)
ストーブや老犬は夢反芻し(サブリナ)
梟の怒りて膨る夜の黙(サブリナ)
食初めの赤子ずつしり日向ぼこ(洋子)
板塀の裏も表もねずみもち(布香)
街の灯に雲の白さの寒暮なる(木屋)
工房に珈琲と待つ散紅葉(悦子)
堂守のくさめひとつを赤蕪(美雀)
狐火に耳を澄ませば手毬歌(雄作)
白鳥のはてなの頸の青空へ(雄作)
傾いてこぼるる星座干大根(雄作)
つぎはぎの土器にこげ跡雪ぼたる(典子)


<2001年11月~2005年11月>
2001年11月10日
どの花も仮分数にて菊花展(布香)
吊革の皸身上書のごとし(青鵬)
身のうちにたっぷりの水小六月(サブリナ)
カレンダー繰れば冬日の摩天楼(サブリナ)
雨音に耳を澄ませば秋の草(西港)
補聴器の柔らかき音冬帽子(美雀)
秋の日の老い母の背をなでて来し(海峰)
鹿の瞳に映りて海の小春かな(布香)

賑やかな記念写真とコスモスと(西港)
柿むいてアフガンの子の飢え思ふ(海峰)
滝紅葉吹かれて君の髪ふはり(西港)
身の丈に合はぬ着物も七五三(美雀)
ママチャリを止めて秋日を惜しみけり(サブリナ)
木枯一号千畳閣も突き抜けて(布香)
ぼそぼその話身に入む同窓会(西港)
雑炊を吹いて早寝の夫のこと(ベアトリス)
冬青空ひよこの雌雄わけられて(松ちゃん)

2002年11月30日
こぶこぶのこぶの木のある日向ぼこ(サブリナ)
くしゃみして圧縮顔の子猫かな(布香)
鳰二つ付かず離れず流されず(西港)
稽古場の主役脇役息白し(青鵬)
滝壷に白山茶花の飛び込めり(海峰)
柿盗む二の腕細く湖青く(西港)

大切に使ふ矩形の冬日向(サブリナ)
時雨るるやていねいに練る純ココア(布香)
編みかけの恋のおわりの毛糸解く(青峰)
菜食主義者寄鍋を仕切りけり(西港)
江ノ電のレトロ模様が動き出す(翔)
毛玉取ることに指先よろこばす(美雀)
学食の閉店間際の落葉かな(美雀)
柿をむきつつ入院の注意書(海峰)
短日の蔵書を減らす老い支度(松ちゃん)

2003年11月22日
窓に赤き三角印しぐれくる(雄作)
職退きし人に届ける暦かな(布香)(共選)
山に雪仮性近視をなほさねば(雄作)
冬晴や人待つ時は指を組み(サブリナ)
風晴れといふべき湖岸干大根(雄作)
明日香村遺跡の先は柿の空(翔)

冬近し極太のペン買ひにけり(布香)
裏庭の池埋めてあり山眠る(布香)
砂蒸しの首だけ出して神無月(翔)《
時雨から目をそらしてもまだ無言(西港)
手焙や何も語らぬ男の背(サブリナ)
コスモスの先もコスモス川に添ひ(海峰)
杜鵑草咲いて私は私なり(きよし)
うら若き遺影をかかげ冬銀河(西港)
法吊の付くや寒雀は空へ(海峰)
冬日向手術済むまで待ちゐたり(洋子)
冬に入る離婚話の振り出しに(西港)
進展のなき恋のまま菊人形(松ちゃん)

2004年11月27日
チェンバロに堂の寒さの集まれり(雄作)
喪の家の赤き塵取冬日向(サブリナ)(共選)
ポケットの底の小銭や冬に入る(布香)(共選)
下京の綿虫なれば覚えおく(雄作)
風呂吹の夕餉となれり文化の日(きよし)
松の根のごつんごつんと日向ぼこ(洋子)

鳥の影落ちて舗道の冬ざるる(サブリナ)
日向ぼこ膝の赤子の固太り(啓子)《
逆光に立ちかまつかの暮れ残る(きよし)
短日の特急通過してゆけり(海峰)
売る気なき地の棕櫚の皮剥ぐ父よ(美雀)
じんわりと汗ばんでゐる初紅葉(木屋)
掃除機を手懐けてゐる十二月(雄作)
冬波を聴かむと髪を短うす(雄作)
木枯の吹き残したる父の下駄(典子)

2005年11月26日
売り声の男前なり焼藷屋(雄作)
落ちる柿照る柿空の耀ける(きよし)
青頸の鴨と大根を煮いてやろ(雄作)
寒の月胎児に鰓の痕ありて(サブリナ)
綿虫もひとつふたつと数へたし(布香)
冬うらら「吉永小百合《と試し書き(布香)

新聞の一面から読む小春かな(美雀)
外套のポケットに去年残りをり(啓子)
自転車の影すれ違ふ冬日かな(啓子)
家中のガラス曇らすポトフかな(布香)《
割り込んで座るお尻や十二月(西港)
柿干して表札古くなりにけり(サブリナ)
傷ありてこその輝き冬木立(海峰)
鮟鱇や父の快気の酒を乾す(悦子)
傘かたく巻かれてゐたる菊の冷え(サブリナ)
老人がガソリンを注す紅葉山(西港)
早退の子の微熱過ぐ野菊かな(美雀)
冬耕の畝どこまでも交はらず(雄作)
ホットレモン窓を出でざる白い船(雄作)
深傷の樫は父の樹冬に入る(典子)

戻る