<12月>

<2011年12月~2020年12月>
2021年12月11日
◎冬ざれの焼け跡パチンコ玉ひとつ(真弓)
 寄鍋が終はつた後の流し台(らてん)
 とりあへず鈍行に乗り冬休(真弓)
 雪原を大蛇這ふごと川流る(凡)
 流行のスカート丈や開戦日(ふく)
 流れ着くところが居場所冬の雁(らてん)

◎◎◎河内野の枯れて遠嶺を引き寄する(典子)
 切り株の真新しさや年の暮(ふく)
◎去年今年わが強情を持て余す(典子)
 落葉乗せて次の木馬の廻りくる(典子)
 賄ひにおまけのチキン聖夜なる(真弓)
◎出来すぎて期待はづれの福笑ひ(典子)
 末枯に影を落としてゆくリフト(典子)
 冬日差すソファに植木鉢の影(ふく)
 暖冬やクレーンが吊る流し台(典子)
 一人なる厠の窓にオリオン座(真弓)
 訳ありの方が甘しと蜜柑むく(真弓)
 マフラーにちらりイヤホン雲流る(乃の)
 あと何度会へるだらうか冬夕焼(ふく)
 口元に落ち葉寄りくる露天風呂(凡)
 みかん焼く匂を夜の八幡宮(乃の)
 疫病の星を見下ろし冬の月(らてん)
 明日へと流れる雲や除夜の鐘(真弓)
 灯の点る古書店街や漱石忌(乃の)
 転びし日いい日なりしか日記買(りん)
 記録する朝の体温氷踏む(りん)
 義実家の長方形の炬燵かな(ふく)
 むささびの飛ぶや風音ひとつ無く(らてん)

2020年12月19日
 松永典子選
◎寒風やメニューひとつのラーメン屋(らてん)
 子と歩く駅までの道息白し(真弓)
 粕汁が一番うまい一口目(らてん)
 冬うらら紙飛行機の離陸する(ふく)
 スーパーの改装開店年の暮(真弓)
 手袋をしようちよつと手をつなごう(らてん)
 花柊約束ひとつ違へけり(らてん)
 井上真弓選
◎しもた屋の貼紙猫が見て師走(典子)
 粕汁や一番うまい一口目(らてん)
 木犀と土星がであふ寒夜かな(らてん)
 柊の花のむかうに母がゐる(典子)
 読みかけの頁に親指除夜の鐘(ふく)
 鬼の腕ほどの大根届きけり(典子)
 佐々木ふく選
◎鬼の腕ほどの大根届きけり(典子)
 寒風やメニューひとつのラーメン屋(らてん)
 人の目の高さに浮いて雪ぼたる(典子)
 花柊約束ひとつ違へけり(らてん)
 柊の花のむかうに母がゐ(典子)
 どこまでも陸なき海や鯨飛ぶ(らてん)
 影山らてん選
◎数え日やフォークリフトに乗る社長(真弓)
 湯船には大陸ほども柚子浮かべ(真弓)
 まだ固き皮をなぞりて柚子湯かな(ふく)
 人の目の高さに浮いて雪ぼたる(典子)
 読みかけの頁に親指除夜の鐘(ふく)
 鬼の腕ほどの大根届きけり(典子)
 中村りん選
◎読みかけの頁に親指除夜の鐘(ふく)
 子と歩く駅までの道息白し(ふく)
 寒風やメニューひとつのラーメン屋(らてん)
 まだ固き皮をなぞりて柚子湯かな(ふく)
 鬼の腕ほどの大根届きけり(典子)
 どこまでも陸なき海や鯨飛ぶ(らてん)

2019年12月24日
雪が降るここはここではなくどこか(秀子)
日本が地図の真ん中お正月(美雀)(共選)
冬の日や六人室に繭めいて(洋子)
甘口の酒と葱入り卵焼(美雀)

冬日向本のカバーに樹の写真(秀子)
煤掃やわからぬままの螺子一つ(洋子)(共選)
グローブを胸に走る子冬夕焼(すずめ)」

早口の博士がわが子聖夜劇(清吾)
人形の胸押せば泣く寒暮かな(秀子)
蜂蜜を匙にからめてクリスマス(布香)
マンションは火災訓練開戦日(海峰)
毛皮着て明日は狐に化けようか(美雀)
口笛吹ける遺伝子の欲し日向ぼこ(清吾)
マネキンの服脱がされて冬の蠅(美雀)
連結部の電車の軋み寒に入る(莊太)
数へ日やジムの明かりの煌煌と(布香)
セーターの袖口伸ばすギプスかな(布香)
呼び込みは濁声が良し年の暮(莊太)
父母の遺影最後に拭ふ大掃除(海峰)
微笑みを招くほほえみ冬薔薇(莊太)
山茶花のわつと泣き出すやうに咲く(秀子)
口角を上ぐる練習受験の子(清吾)
冬晴や飛行機雲はふる里へ(海峰)
友待つや改札口の小晦日(莊太)
窓に峰置き猪鍋の一口目(美雀)
椅子深く冬の銀河を見た身体(秀子)
一口づつの珈琲香る去年今年(莊太)
鯛焼の何か言ひたげなる口よ(すずめ)

歳晩や舞台に紙の雪降らせ(雄作)
喪服着てコンビニに入る十二月(典子)

2018年12月24日
橙が少し曲つて鏡餅(秀子)
炉話やかんころもちを切り分けて(清吾)
ハルカスを仰ぐ麒麟や春近し(すずめ)
冬山のキャンプ手足を折り曲げて(清吾)
取り残す付箋いくつか古暦(清吾)

冷蔵庫のプリンに名前クリスマス(布香)(共選)
雪兎小さき水となりにけり(秀子)
白湯吹いてさまして年を逝かせけり(秀子)
ヨーグルトの発酵進む寒の夜(美雀)
冬銀河葬式の日の走り書き(美雀)」

冬座敷墨の匂ひを閉ぢこめて(啓子)
背中から懐炉ぽろりと曲芸師(美雀)
風花や汀に沿つて曲る道(秀子)
チョコの香のハンドクリーム風花す(布香)
善哉を薄めにつくる一葉忌(美雀)
マスクして曇る眼鏡と頭かな(布香)
まだ紅の似合はぬ舞妓事始(美雀)
時雨きて右に曲がれば京町屋(清吾)
定食の冬至南瓜の甘きかな(清吾)
忘れゆく叔父の姿や冬桜(洋子)
石蕗咲くや曲がりくねつた島の径(啓子)
癒ゆる日の待ち遠しきや去年今年(莊太)
ままごとの欠けたお茶碗初氷(洋子)
曲尺をバシャと畳みて冬に入る(莊太)
寒波来ぬをさなき猫のさくら耳(洋子)
「イマジン」やレノン忌は又開戦日(海峰)

曲家に嘶き聞こゆ冬の月(雄作)
裸木は父子のジャンパー吊るところ(典子)

2017年12月23日
冬めいて妻の歩幅に追ひつけず(すずめ)(共選)
ライナスの毛布たまには洗はうか(美雀)(共選)
日溜りに煤逃げらしき猫のゐて(布香)
思し召しほどのドンペリ聖菓切る(清吾)
湯たんぽを蹴りだしてまた引き寄せる(美雀)

冬深し血圧計の台に本(布香)
脱衣所の籠積み上げて去年今年(清吾)(共選)
寒茜鉄路は曲りつつ伸びて(秀子)
冬あをぞら龍の墓標の如き古樹(すずめ)」

ダウンコートの羽根はみ出して終電車(清吾)
冬あたたか市場の中をとほりぬけ(秀子)
寒鴉スパイの如き面構へ(すずめ)
召集の大叔父のこと冬銀河(海峰)
風花やお召車はゆつくりと(秀子)
着ぶくれや根性なしのまま長けて(美雀)
さあ召し上がれ熱燗とぶりしゃぶと(布香)
枯れすすむ回転木馬回るたび(秀子)
冬泉父の言葉の蘇り(秀子)
数へ日やメタボ脱出叶はずに(海峰)
オーブンに鯛焼きふたつ日脚伸ぶ(布香)
冬日和御召の袖にナフタリン(美雀)
狐火や家出少女になりそこね(洋子)
花八手外からズック脱ぎはじめ(洋子)
湯宿の名足裏に当たる夜の紅葉(美雀)
人の灯といふ静寂へ除夜の鐘(莊太)
四温晴れボンボン時計まだ生きて(莊太)
窓の奥の雪女知る召使(すずめ)

煮凝りや小さき幸をつつき合ひ(雄作)
ビー玉に赤チンの色春を待つ(典子)

2016年12月22日
空港の五人がかりで組む聖樹(秀子)
冬の夜の明けゆく母の呼気吸気(秀子)(共選)
体温をみな使ひ切り六つの花(秀子)
酌ばかり達者になつて木の葉髪(すずめ)
坊さんのバイクが冬蝶噴き上げる(すずめ)

プレパラートにそつと切片雪催(清吾)
牡蠣剥くや小島に隠れ切支丹(清吾)
水仙花おのおの意志のあるごとし(布香)
年の果て茶渋のつきしマグカップ(清吾)

食べ頃は親指が知る吊し柿(美雀)
待つ時の壁白すぎる冬灯(秀子)
三日目はこんにやくばかりおでん鍋(碧)
煤払ひ仏の螺髪ほぐしたし(木屋)
もう行くと言ふ母雪の降りさうな(秀子)
北風や猫が我が家を出て八日(すずめ)
白足袋をぬぎて踵の美しき(洋子)
御堂筋の光の並木年忘れ(木屋)
水際の木の椅子鳰の声近き(清吾)
切干の味に馴染めばしみも殖ゆ(碧)
銭湯のくちあけ待つて冬至の日(洋子)
スノードームを時々揺らす聖夜なり(布香)
決戦は明日のリング冬銀河(すずめ)
マスクして目力かくも物を言ふ(美雀)
冬の朝「行ってきます」と居ぬ人に(洋子)

まだテロの起こらざる国根深汁(雄作)
チワワ用おむつポンカンほどの嵩(典子)

2015年12月26日
折皺がちやうど口元福笑(美雀)
仏壇の灰のみ買うて年の市(美雀)(共選)
まだあるよ駅のフェンスに手袋が(布香)
家の秘密それはそれとし竈猫(美雀)

MRIの穴より出でて年の暮(秀子)(共選)
風冴ゆる実家跡地のタイル片(布香)
笑ふたび皺を増やして冬日向(秀子)
父と義父あの世で並び日向ぼこ(美雀)」

着ぶくれて実家跡地に立ちにけり(布香)
叱りつつ目元の笑ふマスクかな(清吾)
冬至湯や祖母の話を母として(秀子)
冬深し急ぐともなく終電に(輝代)
妻逝きぬとの葉書あり十二月(海峰)
くしやみして辺り見まはす大男(洋子)
煤逃げ同士春画展見ることに(清吾)
つまづきし吾にはら立て年の暮(洋子)
暦果つ逢ひたき人に逢はぬまま(輝代)
三寒四温母の笑顔の減りたるも(木屋)
重なりし僧の読経と我がくさめ(和樹)
石蕗の花遺影の父の笑むばかり(鉄人)
水しぶきに心の締まる出初式(竜平)

河豚ほどに怒らば心地良いだらう(雄作)
水木しげる連れて行つたかカマイタチ(典子)

2014年12月27日
柚子ひとつゆつくり回る足湯かな(布香)
真中の駱駝が吾が子聖夜劇(清吾)
表札は古び私は着ぶくれて(秀子)
副作用隠す明るき冬帽子(美雀)

蛇口から水滴冬の旅に出る(清吾)
こんなにもふくれてしまひ古日記(啓子)
探梅のまづ甘酒を始めとす(清吾)
寒雷や鴨居にかかる鬼の面(啓子)」

傷痕は薄きもも色葛湯とく(秀子)
しぐるるや質屋に母のバイオリン(清吾)
海鼠腸や横長に書くお品書(美雀)
夕凍みて神経質な猫の髭(秀子)
毛糸編母の病の進みゆく(啓子)
上質の国であれかし新年は(海峰)
朝湯して今年の煤を払はねば(輝代)
行く年や閉幕あとの猿之助(洋子)
隔世遺伝かも冬の雷つまびらか(布香)

耳垢のほろりととれて初昔(雄作)
雪こんこ太郎次郎はもうゐない(典子)

2013年12月28日
投げ独楽の石に当たれる火花かな(清吾)
スコップが突き立つたまま冬菜畑(秀子)
仕舞ひ湯の妻にはふりて柚ひとつ(茂)
焚火より立ち去る袖の匂ふかな(清吾)
物干しの竿のたわみや暮早し(海峰)

御神渡り竜神ならば尾を立てて(美雀)(共選)
昭和とふ反故くべ足して庭焚火(秀子)
隣人のごとポスト立つ小六月(秀子)
天窓に星の留まるクリスマス(秀子)」

トラックに白菜の尻かがやけり(洋子)
浮き寝鳥浪に揺れつつとる間合ひ(木屋)
戸籍課に明治の扉時雨くる(茂)
お喰ひ初めにかませし小石春隣(布香)
本閉ぢて数へ日の世に戻るなり(清吾)
かん袋パンとはじけて開戦日(海峰)
大寒の海と真向かひモノレール(布香)
カピバラは訳知り顔に冬至の湯(海峰)

音立つるレールの継ぎ目雪しんしん(雄作)
夕暮はレントゲン色冬木立(典子)

2012年12月22日
熱燗の待つ我が家へと急ぎけり(和夫)
鶴折れば一人の卓の寒さかな(秀子)(共選)
対岸の工場の灯や冬の靄(布香)
枯山に対ふわが枯れ深めつつ(秀子)

宝くじ買ふ列にゐるサンタかな(布香)(共選)
石けんのタイルを走る十二月(布香)
凩やひと固まりの喪服来る(秀子)
凩やたつぷりと沸く薬缶の湯(洋子)」

冬ざれや手術同意書署名欄(清吾)
年の夜の歯磨きあとのスクワット(茂)
風花や乗合バスで山越えて(秀子)
二人でも団欒といふ根深汁(美雀)
冬至湯や手術の痕をなぞりつつ(海峰)
襟巻の狐が噛みし尻尾かな(美雀)
嚏してピエロ屈伸はじめけり(茂)
年迎へとも老い支度とも本を捨つ(海峰)
のど飴を一つ含みて寒波来る(洋子)

倖せの色がもうない毛糸玉(雄作)
老いゆくに上手下手あり日向ぼこ(典子)

2011年12月24日
縄跳びのタタンタンタン春よ来い(美雀)
雪晴や僧の無駄なき足はこび(美雀)
老眼の少しすすみて暮早し(木屋)
重ね着や魂迷ひ出ぬやうに(秀子)

森の樹でありし仏像雪こんこん(秀子)
制服は洗ひたてなり弓始(洋子)
夜届く雪のにほひの宅急便(秀子)
ローソンの外の灰皿初時雨(秀子)」

結び目の堅き土産や悴める(木屋)
本郷は銀杏散るらむ漱石忌(清吾)
凩や電柱多き伊予の国(美雀)
年の瀬の豆腐に添へて銀の箸(布香)
煮凝の底に小骨の沈みたる(清吾)
和菓子屋の端の小さな聖樹かな(海峰)
初霜や洗車すみたるあとの屋根(和夫)
枯木道となりて青空深かりし(英人)
つくばひに水のあそびぬ石蕗の花(不二子)

雪だるま上目遣ひでありにけり(雄作)
埋み火や蕪村の雪は和紙の色(典子)


<2006年12月~2010年12月>
2010年12月25日

しまひ湯に柚子もうひとつ加へけり(啓子)
冬ざれやかりかりと噛むタブレット(秀子)
暴君はネロと冬帝そして君(美雀)
枯葉降り積む右側は君の場所(秀子)
君子蘭支ふるものの多かりき(啓子)

大寒の外海と空押し合へり(布香)
桟橋を訪ふ人のなき冬芽かな(美雀)
寒凪や軍艦島と名付けられ(秀子)
北風や胸板のごと帆を張れり(美雀)」

三毛猫の君子のごとく日向ぼこ(美雀)
俎板の柾目こすりて年用意(啓子)
君が代の歌詞はうやむや卒業す(啓子)
冬空に煙突ひとつ残りけり(海峰)
君と呼ぶときは旧姓青木の実(布香)
初雪や車窓に見たる君の顔(海峰)
英検を終へし体を柚子風呂に(洋子)
山柿の落ちるものかと枝の先(和夫)

泣き虫もほどほどにせよ雪兎(雄作)
征露丸ほどの糞置き嫁が君(典子)

2009年12月26日

原つぱに据わる浴槽雪蛍(共選)(秀子)
出身は陸奥と言ひけり雪女郎(啓子)
靴音の空より返る初氷(秀子)
叱られに職員室のストーブへ(豊)
凩の夜やボールペンかすれ初む(秀子)

大陸は海に抱かれ今朝の春(布香)
凍る夜の束子に残る米の粒(共選)(布香)
初雪や二基のシーソーXに(秀子)」

マンションに貼り紙のふえ年の暮(海峰)
摩り減りし靴の修繕日短し(木屋)
ここよりは立入禁止初氷(美雀)
初心者の絵のクラスなりラ・フランス(布香)
公園に将棋指す日々春近し(豊)
手アイロンをかける風呂敷風花す(布香)
橋脚の残されてゐる冬の空(海峰)
五大陸の太古はひとつ寒波来(木屋)
重さうな書類鞄や十二月(洋子)

愛日やシーツに柔軟剤効かせ(雄作)
邪馬台国どこであらうと冬菜畑(典子)

2008年12月27日

数へ日の注ぎ口欠けし醤油瓶(木屋)
表札にひとり加はり冬麗(啓子)
百年の杉のベンチや日向ぼこ(洋子)

口重き父に寄り添ふ冬木の芽(共選)(美雀)
根深汁がんばらないを口ぐせに(布香)
省略のきはみ校舎も裸木も(サブリナ)
凩やポストは口を閉ぢられぬ(美雀)」

ふろふきや笑ひ上手な子に育ち(美雀)
冬星の満ちて影絵は終りけり(啓子)
一斉に出て行く営業鴨の陣(西港)
老犬の天に昇りし日のオリオン(海峰)
冬籠猫用出入口より猫(サブリナ)
寒雷や叫びさうなる丸ポスト(布香)
木の叉に冬の帽子の忘れもの(海峰)
湯たんぽの湯で顔洗ひ母の顔(洋子)
明日できることは明日やる花八手(布香)
夕星に添ふ冬の月ケーナ吹く(サブリナ)

冬の蜘蛛ひとり遊びをしてゐたり(雄作)
ケイタイを木簡のごと立てて冬(典子)

2007年12月22日

冬菫黙れば寂しさうな顔(サブリナ)
銀杏落葉せつに待つ事なくなりぬ(サブリナ)
飛行機の腹を見上げる冬の朝(海峰)
神棚の上の「空」の字煤払(布香)
落葉焚首を覚悟の提案書(西港)
足首の蠍のタトゥー冬銀河(サブリナ)

スリッパに左右のありて年用意(海峰)
トルソーの首のあたりの寒さかな(美雀)
寒オリオン久しく父の手に触れず(サブリナ)
初空や機首は東へ向かひをり(布香)
牛に子の生るる話日向ぼこ(啓子)」
しぐるるや眉にまじりし白きもの(啓子)
奥付の奥に落款歳の暮(美雀)
遠回しにほめられてゐる葛湯かな(布香)
ぺコちゃんの首を振り振りクリスマス(美雀)
桜落葉ひろふ園児と蹴る園児(洋子)
納骨の壷の重たし小六月(木屋)
綿入を遺影に着せてやれぬこと(雄作)
九冬や巾着型の右心室(典子)

2006年12月23日

一人居の母万両の鉢殖やす(啓子)
釉薬の流るるままを去年今年(啓子)
秘めごともあつけらかんと冬花火(西港)
一日の薬をならべお正月(洋子)
投薬の始まり母の年暮るる(啓子)
踏台の丈足らぬらし煤払(啓子)

口出しのできぬ氷柱の育ちやう(サブリナ)
角砂糖崩す一人のクリスマス(布香)
冬深み詩人の遺す黒電話(サブリナ)
子の泣く夜魴ボウ深く眠りけり(美雀)
花の芽を蓄へており猩々木(海峰)
砂時計に蜂似のくびれ初明り(布香)
定年の日のやせ我慢浮寝鳥(海峰)
仏足石一歩踏み出す初日かな(美雀)
年の瀬の雑踏にゐて独りかな(悦子)
シャンプーの泡尖らせて春を待つ(洋子)
校庭にまどろむラッパ冬ぬくし(木屋)
禿頭の五線譜揺らしクリスマス(西港)
老人の摺り足のごと年来る(サブリナ)
冬銀河駅から千鳥足仲間(西港)
石棺に予報はずれの時雨くる(典子)


<2001年12月~2005年12月>
2001年12月8日
凍みとほる風にこたへよ中也の碑(美雀)
パンダの卵デパ地下で買う十二月(布香)
一斉に裸木になる今朝の空(サブリナ)
携帯の電源切ってより寝酒(西港)
着膨れが吸ひ込まれゆく始発駅(青鵬)
おしゃべりな手話の後にサンタ居て(布香)

死を知らぬままの三年賀状書く(西港)
流星に千の願いをぶちまける(海峰)
藻屑喰ふ鯉にも寒き月夜かな(美雀)
いちょう降るどっと降る降る御堂筋(山佐)
新宮の生まれし師走光満ち(布香)
初霜や五段階評価の冬来たる(美雀)
鬼上司送る小春日の葬儀(青鵬)
胎内に冬の海ある更年期(松ちゃん)
繭ごもるやうな人の灯白障子(松ちゃん)

2002年12月21日
手の甲におしぼり当てて十二月(西港)
打身痕の青ひろがりぬ雪催(雄作)
雪吊に律儀な雪のかかりけり(雄作)
空き缶の灰皿一つ日向ぼこ(青鵬)
顎だけで相槌を打つ掘炬燵(美雀)
電飾の一つ躓く聖樹かな(サブリナ)

ぐうたらは母の遺伝子古暦(海峰)
空き缶の灰皿一つ日向ぼこ(青鵬)
白鳥の卵老人のポケットに(サブリナ)
神さまのおもちゃに凧を揚げるかな(布香)
冬ざれやコートベルトの立て結び(布香)
第九奏でるための打楽器管楽器(翔)
木枯しや竿のパジャマの片寄りぬ(洋子)
陽だまりに集ふ野良猫年の暮(平助)
寒燈下サンドバッグをひたに打つ(典子)

2003年12月20日
冬夕焼口縄坂を下校せり(西港)(共選)
一人来て座る聖夜の麺処(サブリナ)
シャッターの並ぶ元町虎落笛(サブリナ)
背広着てピッケルを買ふ師走かな(サブリナ)
鴨鍋や未だ娶らぬ奴のこと(布香)
臘梅の三本残る売地かな(海峰)

着包みの顔のよごれも年の市(サブリナ)
ナプキンのメモ廻り来る十二月(布香)
本棚の真鴨のデコイ寒波来る(サブリナ)」
蒸飯の上にチリメンジャコの顔(美雀)
寒き夜のはしつこにゐる美少年(西港)
柚子熟れて日を呼ぶ朝の籬かな(きよし)
着ぶくれのエレベーターに弾かるる(豊)
冬木立低空飛行のカラスなり(翔)
冬菫くつ下に付くくず無数(洋子)
にほんおほかみ終焉の札悴めり(雄作)
おもひでの掛かりやすくて裸木は(雄作)
弾痕を大写ししてクリスマス(典子)

2004年12月25日
風花や鮭の頭をぶつ切りに(布香)(共選)
練炭の灰の崩るるほどの雨(雄作)
もがり笛シートいちまいあれば家(雄作)
もみの木に赤い毛糸の忘れ帽(洋子)
山盛りのビタミン剤と三ヶ日(洋子)
足払ひかけられてゐる寒げいこ(啓子)

何やかや用作りだす大晦日(きよし)
冬うらら海底みえて島伝ひ(啓子)」
去りゆけるものの足音ぼたん雪(布香)
柚子入れて長湯の母の遊ぶらし(サブリナ)
母の喪やつがいで浮かぶ都鳥(海峰)
凍て星や足音メトロノームめく(サブリナ)
寒鰤にわさびの青さ載せにけり(海峰)
居酒屋に不揃ひの下駄寒北斗(西港)
童謡も焚火の夢も無き子らよ(きよし)
雪原を肺あかあかと戻りきし(雄作)
蜘蛛の囲に夕日のかかる冬野かな(典子)

2005年12月24日
とこしへに婆にはなれず雪女郎(サブリナ)(共選)
寒に入る金剛力士の腹筋も(雄作)
何も置かぬ畳の室の淑気かな(布香)
健康保険証に一人載る年の暮(洋子)
昼火事に映画の筋の吹き飛びぬ(布香)
川筋に沿ひて薬屋しぐれけり(啓子)

風花や一筋道をまちがへて(サブリナ)
冬ざれや橋の上なる停留所(悦子)
マラソンの目印結はる冬木かな(啓子)」
蓮根の穴大きくてお正月(洋子)
閉店の連鎖のやうに冬の月(美雀)
境内に箒目のあり冬うらら(啓子)
手袋の染みの古びしカプチーノ(海峰)
廃校の硝子に映る一冬木(美雀)
柿吊るし終れば帰る娘なり(きよし)
韓流にマフラーふはと巻いて俺(西港)
霜の夜のクラリネットの舌甘し(雄作)
水槽の魚の回遊年詰まる(雄作)
干し物をくぐれば近き冬の山(典子)

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