<1月>

<2011年1月~2020年1月>
2021年1月24日
◎隣席の人生相談春近し(真弓)
 初電話たぶん家族となる人へ(らてん)
 餅を焼く炎をぢつと見てをりぬ(らてん)
 眠る子の呼吸たしかむ細雪(ふく)
 冬萌や口角上げてマスクして(真弓)
 美術館帰りのカフェにある葛湯(りん)

◎芹洗ひ夕焼色のしづく切る(典子)
 霜晴れに白き日陰の細りをり(凡)
 大根煮るいつも通りを変へやうと(りん)
 霜焼の太つた小指なだめつつ(真弓)
 胎の子のしやつくりひびき蜜柑剥く(ふく)
 眠る子の呼吸たしかむ細雪(ふく)
◎初電話たぶん家族となる人へ(らてん)
 どすこいとせり上がり来て初日の出(らてん)
 隣席の人生相談春近し(真弓)
 成り行きの進言の後冬夕焼(真弓)
 人日の改札口を駆け抜ける(らてん)
 餅を焼く炎をぢつと見てをりぬ(らてん)
◎初電話たぶん家族となる人へ(らてん)
 餅を焼く炎をぢつと見てをりぬ(らてん)
 着ぶくれて祖母の病室見上げをり(ふく)
 冬の海すべて口内炎のせい(ふく)
 突然の入院告ぐる冬の月(ふく)
 命継ぐDNAのわざ冬木の芽(凡)
◎夕野火に漂ふごとき人ふたり(典子)
 餅を焼く炎をぢつと見てをりぬ(らてん)
 どすこいとせり上がり来て初日の出(らてん)
 眠る子の呼吸たしかむ細雪(ふく)
 突然の入院告ぐる冬の月(ふく)
 冬萌や口角上げてマスクして(真弓)
◎どすこいとせり上がり来て初日の出(らてん)
 美術館帰りのカフェに葛湯あり(りん)
 着ぶくれて祖母の病室見上げをり(ふく)
 冬の海すべて口内炎のせい(ふく)
 胛を大きく広げ初稽古(らてん)
 悴みてどちらに向かおか御堂筋(りん)

2020年1月25日
耳朶のうぶ毛の剃られ春隣(美雀)(共選)
毛糸編むカレー煮る鍋くつくつと(洋子)
ぷくぷくと歌ひ始める豆乳鍋(布香)
籤を引く子の目まつすぐ初天神(すずめ)
乳母車より抱き上げて春着の子(清吾)

凍つる夜の時を告げざる砂時計(布香)
枯るる音たてて私も野の草も(秀子)
繕はぬままの生垣日脚伸ぶ(秀子)」

ごまめ炒る母の手順を辿りつつ(秀子)
羊日のコーンスープをなめらかに(すずめ)
立春大吉アンパンマンの鼻齧る(美雀)
駅前の小さき判子屋日の永し(布香)
葉牡丹やしばらく留守にいたします(美雀)
春の雪乳房のごとき山容に(清吾)
乳房ひしと支へて含む寒椿(洋子)
春を待つ話す人形膝にのせ(布香)
心地よき搾乳の音春隣(莊太)
祖父の顔たたいて赤子梅の花(洋子)
寒卵たんなるたまごではないか(清吾)
赤本の表紙冷たき深夜かな(すずめ)
春風やこぞりて覗く乳母車(秀子)
初弘法古き絵葉書買ひしのみ(清吾)
工事現場の隅に空缶雪ちらつく(洋子)
初旅の途中に干支のストラップ(清吾)
乳呑児の香がセーターに残さるる(布香)
たぷたぷと注ぐ牛乳春きざす(すずめ)
寒夜床に就けばあれこれ思ひ立つ(秀子)
鳥小屋に裸電球寒に入る(美雀)

水仙や風に押されて岬まで(雄作)
哺乳瓶みるみる空に冬の萌(典子)

2019年1月26日
牡蠣船へ太鼓持ちから先に乗る(美雀)
年越しの蕎麦に海老天無職なり(美雀)
大寒や夫があつけなく転ぶ(秀子)
釣竿の反りに眼のゆく懐手(清吾)


枯園や眼鏡ケースの中真っ赤(秀子)
春待つやうつすら透けて貯金箱(清吾)
待春や膝に広げる色見本(秀子)
指切りの小指の力義仲忌(すずめ)
水道水飲める日本お正月(洋子)」

剥製の鹿の眼差し冬の雷(すずめ)
板張りをたたんと踏んで初稽古(清吾)
熱燗や縮緬雑魚に二つの目(美雀)
冬の靄阿蘇カルデラに蓋をせり(恒義)
初東風や土器飛ばす竹生島(清吾)
九年母や地震で崩れし塀の内(恒義)
お好み焼の鰹ゆららら春を待つ(すずめ)
日脚伸ぶ百均眼鏡あちこちに(布香)
「をぢさん」と我を呼ぶ母四温晴(莊太)
歯がためはきりんの形春を待つ(啓子)
一月十七日以後枕辺にコンタクト(布香)
東風吹くや尾根なめらかに近江富士(莊太)
忘年会写真に一人こはい顔(洋子)
凧糸の風の重みや春よ来い(莊太)
初詣恋の目くばせさとらるる(海峰)
煮凝りに閉ぢ込められし魚の目(啓子)
大寒や工場の煙砕け散る(布香)

眼鏡屋の看板猫も恋らしく(雄作)
脱ぎ捨てる物のもうなし枯木山(典子)

2018年1月27日
雪積まぬ右手よ平和祈念像(清吾)(共選)
順番に嘘つく遊び春炬燵(秀子)(共選)
春めきて嘘八百の露天商(布香)
弁慶の泣き所なき雪達磨(美雀)


春待つや塗り絵は枠をはみ出して(秀子)
水鳥や一眼レフは砲に似て(清吾)(共選)
雪原に埋めたき嘘のありにけり(布香)」


嘘をつくたびマフラーを弄ふ癖(すずめ)
梅東風や嘘から出づる恋あらむ(清吾)
しんしんと冬星降るよ林住期(秀子)
国生みの島が背ぞ凧(清吾)
深雪晴空が剥がれて落ちさうな(秀子)
人日の丼飯にたれの染む(すずめ)
朝北風やカラーコーンのあつちこち(布香)
職辞して時に冬眠膝に猫(美雀)
嘘だろが出ると恐かろ雪女郎(海峰)
嘘泣きの父逃げまはる鬼やらひ(清吾)
鯉の吐く泡も凍て付きさうな夜(美雀)
大寒や音叉の響く部屋の奥(布香)
大いなる嘘も良きかなオリオン座(布香)
作業着のままで聖菓を食ふといふ(すずめ)
嘘つきとはマスクの中で舌出す事(美雀)
嘘百回つけば真に冬ざるる(莊太)


嘘から出た実の如し龍の玉(雄作)
猟銃の逸れて空気の折れる音(典子)

2017年1月28日
周期律に欠番のこる冬銀河(木屋)
日脚伸ぶ予選通過の葉書来て(清吾)
鉛筆の母の字薄る茶が咲いて(秀子)

パン種に指の窪みや春隣(美雀)(共選)
友達は四五人が良しふぐと汁(美雀)(共選)
薄焼の玉子の穴や春待つ日(秀子)

恵方へと押して双子の乳母車(清吾)
虎落笛さらはれぬやう子を抱き(啓子)
電柱の監視カメラや虎落笛(すずめ)
おでん酒律義に卓を拭くをとこ(清吾)
ケロリンの桶の転がる初湯かな(美雀)
獅子舞の裾を絡げて次の村(美雀)
亡き母のケイタイ鳴りぬ冬の月(秀子)
雪まろげ小さなうそに嘘かさね(洋子)
五年連用日記未使用日脚のぶ(布香)
初場所や綱取りの肌張り切つて(清吾)
旋律をメロディーと読む春隣(美雀)
旋律の研ぎ澄まさるる氷柱かな(秀子)
夕星や凍て付くほどに輝きて(木屋)
綿虫やみぎぎんざんの道標(清吾)
串かつを齧りこれより初戎(すずめ)
牡蠣すするその背に滲む寂しさよ(秀子)
戒律の厳しき国へ春よ来い(海峰)
春光や耳の大きな調律師(布香)
寒いねとまた言ひ合うて一周忌(すずめ)
風花や夫の背に添ひ言葉なし(洋子)
義母九十初めてお節買ひにけり(碧)

捨て猫の箱に貼られし紙懐炉(雄作)
茅屋根の切り口揃ひ春を待つ(典子)

2016年1月23日
炭はぜて鳴子こけしの無表情(美雀)
睫毛まで煙のにほふとんどかな(美雀)(共選)
鍋焼の先づ卵黄を突きけり(栄樹)
日脚伸ぶおくれて返事かへす猫(秀子)
育児休暇を探梅に使ひけり(栄樹)

半分に月はちぎれて寒施行(秀子)
船底の牡蠣も太りぬ寶船(清吾)
ゆきうさぎ育つことなく死にゆけり(和樹)
宵戎どの鯛高く跳ねさうか(和樹)
ガラス製イルカを失くす冬座敷(柚子子)

けものらの出払つてゐる氷柱かな(徳将)
献体の恩師見送る冬薔薇(布香)
雪降れば街は街ではなくなりぬ(柚子子)
たこせんに薄き紅雪催(徳将)
身の丈の暮らしの中に日向ぼこ(啓子)
雪しまく横から磨く大臼歯(清吾)
腹筋をきたへなほして根深汁(洋子)
冬うらら短足の犬連れて出る(海峰)
夫の留守寝酒にワイン二杯だけ(碧)
故郷に兄弟揃ひ大福茶(一筋)
とんど火の夢追ふごとく舞ひ上がる(鉄人)

白鳥に逢ふための髪刈つてきし(雄作)
出荷葱波のごとくに寝かされて(典子)

2015年1月24日
藪椿やがては土の色となむ(啓子)
袖口にぽつと解れ目雪催ひ(秀子)
ブルゾンや親権持たぬ子等と会ひ(清吾)
片隅に積まるる煉瓦春隣(啓子)

田の神はまろき石なり小正月(啓子)(共選)
待春やとくんとくんと土の息(秀子)」

廃材で沸かすわが風呂石蕗の花(清吾)
狐火や鏡の我は年とりて(洋子)
モロッコの砂の土産や風光る(布香)
折鶴の首すぢつつと寒九の水(輝代)
大寒や鉄人大地に踏ん張つて(布香)
正月や父より長く生きてをり(海峰)
鮟鱇のげつぷと不満はききつて(美雀)
玄冬の汚染土詰めしドラム缶(清吾)
ストーブの火のあかあかと誰もゐぬ(秀子)
片方の靴下増ゆる四温かな(布香)
禅僧の大きな歩幅冬ざるる(洋子)

浅春の海のいろして土耳古石(雄作)
鯨幕のうらで寒紅引きなほす(典子)

2014年1月25日
料峭や心は読まぬエックス線(美雀)(共選)
糸底のざらり寒波の来るといふ(啓子)
解体の跡へ尖りし冬の月(啓子)
白髪の寝癖整へ春隣(美雀)

沖を行く船に日の束卒業す(清吾)
湖見えて探梅らしくなつてきし(秀子)
潮鳴りへ降りる径あり水仙花(清吾)
鳥帰る指のまがりの母に似て(洋子)
束なして届く海光水仙花(秀子)」

読初や付箋の増えし唐詩選(清吾)
若者にならひて買ひし毛糸帽(海峰)
珍味とは便利な言葉むつごろう(布香)
イヤホンに左右の印春待てリ(秀子)
重ね着は犬とお揃ひ汽笛鳴る(木屋)
機織の口紅淡し春の来る(洋子)
集まれば女系家族や春灯(美雀)
春日傘平戸の海のかがやける(洋子)

ごまめ噛むもう少し歯の持ちさうな(雄作)
やまびこに音階のある遠雪嶺(典子)

2013年1月26日
村ひとつ攫はれさうに虎落笛(啓子)(共選)
啓蟄や背中掻くなら物差しで(美雀)
風花やごみの置場に大畳(布香)
初暦まづ診察の日に印(海峰)

山眠る原つぱの機関車もまだ(布香)
植木鉢重ねて伏せて春待つ日(秀子)
雪こんこ廃墟の島に鳥の影(美雀)
大寒の味噌蔵に日矢とどきけり(清吾)」

白梅の万の蕾や小祥忌(啓子)
沖を行く北前船や菜の花忌(清吾)
芽吹山ゆびでつぱうに射抜かれて(秀子)
布団干す赴任地は坂多き町(清吾)
初春や母の匂ひの姫鏡台(啓子)
父がよく歩きしあたり冬木の芽(秀子)
乗り継いだバスを見送る寒茜(西港)
老い母の看取りしづかに寒に入る(木屋)
待春や進みがちなる掛時計(洋子)

風邪の神のとりつきさうな項なり(雄作)
千両を山の寒気がみがくなり(典子)

2012年1月28日
双六のさびれた宿もありにけり(美雀)
英訳も仏訳もされ雪女郎(啓子)
真つ向に海を割るべし初稽古(清吾)
風よりも冷たき医師の打診かな(豊)

雪を見る哲学者にしてゴリラなり(清吾)
直訳の文のぎくしゃく厚氷(秀子)(共選)
しぐるるやチラシの裏の走り書(布香)
喪の家の万両万の実をつけて(啓子)」

旗日には旗の出る家お正月(洋子)
通訳の一語に詰まり霙ふる(木屋)
うす墨の雪の影ふる障子かな(布香)
深呼吸して寒風の中へ出る(海峰)
民話聴きゐて眠くなる軒氷柱(西港)
米つぶをいつもどこかに赤スエタ(洋子)
一周の見渡せる島冬銀河(西港)
遺影なき四人の生徒寒桜(美雀)
福笹に産地の表示震災後(豊)

猫の仔のやうにかたまり蕗のたう(雄作)
ぽたと猫落ちてそのまま日向ぼこ(典子)

2011年1月22日
風花や釣果まだなき池の端(木屋)
ステッキの持ち手ひんやり冬青草(秀子)
海鼠腸をすすり男の独り言(美雀)
千両や掌に汲む山の水(秀子)
短日や団地の駅に灯がともる(木屋)

春近し水の裏側日を溜めて(秀子)
跳ねながら生るる水音春隣(秀子)
枯蘆や水と水とが打ち合つて(秀子)
A3の表の数列寒波来ぬ(西港)」

待春の窓にゆらめく水の影(布香)
嫁入に祖母の和箪笥実南天(洋子)
大寒の鏡の冷えに息を吹く(海峰)
自転車を押して歩くや藪椿(布香)
水甕を打てば増える輪四温晴(布香)
月冴ゆる書類鞄の重たさよ(洋子)
手鏡に光の春をふはり受け(美雀)
水をくださいと書きしあの日も凍てまさる(布香)

足元の怪しき鬼もやらはれし(雄作)
飛龍頭に味のしみたる寒波来(典子)


<2006年1月~2010年1月>
2010年1月23日
初昔ポットの底に湯のさめて(共選)(秀子)
逆立ちの足のゆらゆら春隣(美雀)
背筋は人並みにあり霜柱(美雀)

梅三分日課に加ふスクワット(共選)(啓子)
一跨ぎできさうな川春隣(秀子)
春待つや画面に蝶を閉ぢ込めて(啓子)
咳くや浅川マキの赤テント(豊)」

大寒の夜の靴音鋭がりくる(布香)
粉雪やみるみる空の膨らんで(秀子)
組み立ててばらすブロック四温晴(布香)
芹薺仏の座まで道遠し(美雀)
初場所や番付の字はまだ細し(木屋)
定位置を確保してをり初暦(海峰)
嚔してぽつと灯のつくラブホテル(西港)
「犬猫は禁止」と書かれ初詣(洋子)
連凧をジャック登って行きそうな(豊)
鳩が来てつついてをりぬ初氷(海峰)

肩組んでうたふ歌なし冬夕焼(雄作)
うつむいて働くめがね寒椿(典子)

2009年1月24日
風花や三角に折るレジ袋(共選)(布香)
手袋のだんだん私の手の形(啓子)
畝床の黒々として春を待つ(木屋)
世に疎し海鼠しつかり噛み締めて(サブリナ)

冬たんぽぽ地べたがあればすぐ遊ぶ(共選)(サブリナ)
水温む東京もまた地方なり(布香)
三和土までついてきてゐる春の泥(啓子)
風邪の神咽のおくに居座つて(洋子)」

初恋のやうに張りつめ薄氷(海峰)
風花や咽に刺さりし魚の骨(美雀)
冬日向船長ひとりモップがけ(西港)
電線に鳩うづくまる寒さかな(海峰)
大寒のねぐらへ鳥の暗き群(啓子)
冬麗ショパンの楽譜横抱きに(美雀)
ドトールのコーヒーの耳春を待つ(西港)
白息を豊かに有難うと言ふ(サブリナ)
鏡餅自分の腹と並びけり(和夫)

この家の跡取のなし粥柱(雄作)
スロープで柩かたむく竜の玉(典子)

2008年1月26日
貸花壇にあき地の木札ひあし伸ぶ(布香)
はとバスの寅さんツアー春近し(西港)(共選)
首埋めてだるまのやうな冬の鳩(布香)

普請場の備品のひとつ室の花(啓子)
爪先で机打つ音霜の夜(布香)
父母の歳を確かむ初暦(海峰)」

壜で選ぶオードトワレや春隣(布香)
雪催ロッカールームの小さき窓(サブリナ)
生真面目な字の備忘録年送る(サブリナ)
日脚伸ぶ縁に広げし置薬(豊)
枯芙蓉備忘録またふえている(海峰)
ララバイや団塊世代着ぶくれて(サブリナ)
去年今年メビウスの輪に連なれリ(美雀)
大寒の背筋正して男舞(木屋)
深雪晴京都一日乗車券(西港)
犬看取る霜降る音を聴きながら(サブリナ)
冬菫土曜日ごとの映画会(洋子)
冬至の夜秒針重く動きけり(きよし)

日脚伸ぶ本に附箋のあまた生え(雄作)
順番に星がおとづれ火事の跡(典子)

2007年1月27日
ひとつまみの塩と妻あり小豆粥(美雀)
獅子舞にまづ長男を噛ませおく(啓子)(共選)
初旅や鞄の底の常備薬(啓子)

一番も二番もなくて蕗のたう(布香)(共選)
複写機の閃光浴びて初仕事(西港)
八重桜子どもの影はふつくらと(サブリナ)
納豆汁男顔して啜りけり(美雀)」

囀りに枝捕らはれてしまひけり(啓子)
腕休めたるショベルカー冬の萌え(木屋)
喝采は波のごと退く夜の桜(サブリナ)
三角のおむすび並び山笑ふ(洋子)
初景色九州捨てし母とあり(西港)
春闌くやまほろばといふ駅の道(サブリナ)
冬至の夜秒針重く動きけり(きよし)
父の時間ゆくりゆくりと初湯かな(美雀)
あたたかや人工浜を歩ききて(布香)
測量の計器を覗く冬帽子(啓子)
玉せせり火照る褌を雨打てり(啓子)

くさめしてきのふと屹度別れけり(雄作)
菜箸の先のくたくた冬ぬくし(典子)

2006年1月28日
建国日首から吊るす社員証(西港)(共選)
啓蟄や靴下のゴムゆるゆるに(布香)(共選)
正直に春の蚊出でて叩かるる(布香)
絵屏風を折目正しく仕舞ひけり(布香)
裾ちらと股引のぞくラッパ吹き(木屋)
きんと雲のやつて来さうな春節祭(布香)

囀りや地べたに図面ひろげれば(サブリナ)
ぽんこつの自転車漕ぎて海市まで(サブリナ)
臘梅を挿し妙薬の話など(啓子)」
早蕨を踏み来て靴の右左(サブリナ)
松過ぎて市長の式服干されけり(美雀)
立春やビルの上より一番機(海峰)
年明けの大橋が空跨ぎけり(きよし)
父に似る手のずんぐりと寒椿(洋子)
煮大根波瀾なかりし主婦でよし(悦子)
雪卸後の背伸びする古家かな(美雀)
立春大吉モンブランのやうな雲(雄作)
雪だるま休み時間に太りけり(雄作)
髪染めて衿を汚しぬ久女の忌(典子)


<2002年1月~2005年1月>
2002年1月19日
くに遠く暮らす軽さよ小豆粥(サブリナ)
朝の駅手袋だけが発車せり(青鵬)
法被着る父凛凛と出初式(青鵬)
亡き父の分も焼いてる雑煮餅(海峰)
世界地図拡げてみれば小雪舞ふ(西港)
子規の顔ボールに見えて初句会(布香)

繰り言を犬に少々日向ぼこ(西港)
UFOの近づく音で焼いも屋(布香)
凩を駅に残して怒り肩(美雀)
居残りの寮の広さや三が日(青鵬)
アフガンを地図で探せば春の雪(海峰)
帰りには無口になりぬ黒ショール(西港)
寒晴れの星空宅配便を待つ(サブリナ)
寒林を盛りて壷型古墳なり(松ちゃん)

2003年1月26日
元日の鼻緒の締まりとんと蹴る(青鵬改め豊)
小包を振ってみる癖日脚伸ぶ(雄作)
寒泳のこどもは水を弾きけり(雄作)
寒雀幼女となりし伯母と会ふ(海峰)
落し物係に餅の一包み(豊)
孟宗の爆ぜてどんどのさかりかな(豊)

寒見舞苺のへたの青きこと(美雀)
日脚伸び未来の古典読み終える(布香)
助手席に犬納まりて春隣(サブリナ)
山茶花に夕陽を乗せて食べたしよ(西港)
新しき年がまたくる古屋号(ベアトリス)
母の手に母のクリーム日向ぼこ(洋子)
ふところの鰭酒と観る競技場(翔)
薬師寺に割れ鐘の鳴る冬茜(平助)
女帯きりり鶯餅を買ふ(きよし)
水仙のほころび一つ朝日射す(豊山)
病み抜けの髪に餅花触れにけり(典子)

2004年1月24日
雪だるま庭いちまいを剥がしけり(雄作)
音たててシャッター初日切り取りぬ(サブリナ)(共選)
待春や汽車の灯りのひよこ色(雄作)
守唄の音の外れて雪をんな(雄作)
大寒の鈍色の海動かざり(布香)
水洟や先遣隊長髭吹かれ(サブリナ)

眠たげな床屋の鏡外は雪(西港)
大寒のてのひら赤き実を包む(サブリナ)」
今日も来て窓辺の席の冬帽子(美雀)
石段の奥にモネの絵春を待つ(布香)
戒名に俳号の入る春の雪(きよし)
眠られぬままにジャズ聴く寒昴(翔)
冬紅葉人のあひだを親子猿(木谷)
若者の足のにぎわい掘炬燵(洋子)
木の家の瓦の屋根の玉霰(雄作)
雪来るかカマンベールを大ぶりに(雄作)
灯の箱は人の塒よ春の雪(典子)
人の死や木の瘤に雪降りつもる(典子)

2005年1月22日
赤い実がついて眠れず雪うさぎ(雄作)
大榾や絵本の中に橇の音(雄作)
鬼打豆にビービー弾の援護かな(布香)
風の水仙傷つかぬほど打ち合へり(雄作)
高層より降りてきし声鬼やらひ(布香)
六畳に炬燵とパズルそして君(西港)

鉛筆に木の香のたてり雪の朝(サブリナ)
元日の「沈黙」の丘沖に日矢(きよし)
地下鉄の地上に出でて冬終わる(布香)
待春や工事現場の旗真白(サブリナ)」
初夢に八十四の父と逢ふ(海峰)
老人を追い越す登り坂は雪(木屋)
軒の雪滴となりて奏でけり(洋子)
大寒や喫煙室はビルの地下(木屋)
文を書く母ひとりゐる冬座敷(啓子)
人逝きて籠の蜜柑の傷みけり(サブリナ)
麦踏んで頑固親父でありにけり(雄作)
どこへ浮かびても茜さす鳰(典子)

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