母の手に火傷の痕や猫の戀(美雀)
山国の雪解見たし蕗の薹(清吾)
春炬燵死ぬなら二人きりのとき(和樹改めすずめ)
春月を天ぷら種に加へたし(布香)
植木鉢の底よりひげ根風光る(秀子)
手加減を少しはせぬか春一番(木屋)
国生みのはじめは淡路若布刈船(清吾)
歯みがきのチューブ押し出し春よこい(海峰)」
待春や人丸さんの亀の水(木屋)
暮れ方の空に染めむら梅の花(秀子)
春光やスイス国境棒一本(布香)
春の雪老いても凛とサユリスト(美雀)
春一番暗証番号変へ時か(布香)
永き日の猫の餌つつくすずめかな(洋子)
母の如雨露父の苗札滲ませて(清吾)
遠巻きに見てゐる涅槃図の嘆き(秀子)
水ゆする千羽の鴨の引き支度(啓子)
のりかへのホームに蕎麦屋春近し(洋子)
子も積むてふ教会の石野水仙(美雀)
美瑛町哲学の木や雪の果(洋子)
美酒のごとき雨きてひらく鬱金香(碧)
背番号無しにもつとも春の泥(雄作)
蝶の翅つまめばこつと固き筋(典子)