<2月>

<2011年2月~2020年2月>

◎春塵や墓石の文字の彫り深し(凡)
 囀りを忘れぬやうに囀れり(らてん)
 夏みかん急に転校して行く子(ふく)
 スタジオの鏡ひかりて春兆す(真弓)
 永き日の太さ揃はぬ微塵切り(らてん)
 湯掻きたるわかめの新たなる緑(真弓)
◎春昼の不意に食べたくなる餡子(らてん)
 蜆汁宍道湖出雲旅予習(りん)
 沈黙の車内四角に春の風(りん)
 まんさくやバスの切符を握りしめ(真弓)
 この町の入口となる春の虹(典子)
 永き日の太さ揃はぬ微塵切り(らてん)
◎風のほか訪ふもののなき半仙戯(典子)
 菜の花や仲睦まじき道祖神(凡)
 春塵や墓石の文字の彫り深し(凡)
 新生児たちのおしやべり山笑ふ(ふく)
 永き日の太さ揃はぬ微塵切り(らてん)
 春光に塵もきらめく朝の窓(真弓)
◎沈黙の車内四角に春の風(りん)
 ものの芽や明日へ明日へと力こぶ(りん)
 アパートの裏にこぼれる薄紅梅(真弓)
 春風がゆらすエプロン呱呱の声(典子)
 スタジオの鏡ひかりて春兆す(真弓)
 永き日の太さ揃はぬ微塵切り(らてん)
◎新生児たちのおしやべり山笑ふ(ふく)
 ものの芽や明日へ明日へと力こぶ(りん)
 初蝶の光の方へ消えにけり(らてん)
 春風や土木事務所に塵劫記(典子)
 春塵や墓石の文字の彫り深し(凡)
 あるか無きかの重さを持てり春の雪(典子)
◎ものの芽や明日へ明日へと力こぶ(りん)
 春風や土木事務所に塵劫記(典子)
 この町の入口となる春の虹(典子)
 湯掻きたるわかめの新たなる緑(真弓)
 夏みかん急に転校して行く子(ふく)
 産声のけほつとむせて春来る(ふく)


2020年2月22日
上靴の踵のつぶれ卒業す(ふく)
釣り堀の椅子の硬さや春深し(美雀)
埋め草も大事なたつき寒明くる(すずめ)
貝寄風や埋め立てられし茅渟の海(らてん)
褌の締め方習ひ追儺式(美雀)

臨月の髪切る決意風光る(布香)
義士祭背中のまがる武士一人(洋子)(共選)
猫の恋鏡の縁の欠けてゐて(秀子)
埋めた靴さがす馬鹿犬水温む(洋子)
人よりも牛多き地や風光る(らてん)
バレンタインデー鍋きらきらに磨き上げ(すずめ)」

龍天に上野の森の水溜り(秀子)
山笑ふ埋蔵金を秘めしまま(清吾)
「考える人」の顎の拳や地虫出づ(清吾)
ふらここのてつぺんで世界は止まる(ふく)
弦切れしあとの静寂花篝(清吾)
冬薔薇三面鏡を埋めつくす(布香)
アルバムの整理進まぬ春の雨(ふく)
浅春の破風を埋むる鏝絵かな(清吾)
コピー機に残る原稿水温む(洋子)
春愁やカップヌードルかき混ぜて(秀子)
ちゃりんこに親子三人山笑ふ(莊太)
鳥雲に弓引き絞るヘラクレス(清吾)
車椅子のパイプに光春初め(すずめ)
如月や柄杓の丸のうつくしく(すずめ)
啓蟄の差し水入れて麺をゆで(莊太)
蜥蜴出づ瑠璃色の尾を震わせて(秀子)
啓蟄や時計のベルトゆるゆるに(布香)
早春の光を掬ふ洗濯場(美雀)
埋れ木のすでに熊型うつすらと(平介)
モビールのふらふら揺れて鳥の恋(美雀)

朝刊の上に夕刊春ごたつ(雄作)
投函を迷ひてをれば春の雪(典子)

2019年2月23日
たんぽぽの駐輪場の隅にほら(海峰)
風船を五つ持たせば飛びさうな(美雀)(共選)
パソコンに使はぬ機能亀鳴けり(秀子)
永き日の埴輪手を挙げ口を開け(莊太)
風光る衿に徽章の傾きて(布香)


春の雲濃き鉛筆は詩を生んで(清吾)
亀鳴くや埴輪の口は歌ふごと(莊太)(共選)
廃校のすべてのガラス風光る(恒義)
草餅やけんかの強き次男坊(洋子)
赤ん坊の首据わりたる雛祭(清吾)」


図書館に小さな鼾山笑ふ(美雀)
啓蟄や補助輪二つ草の上(清吾)
合掌の指の節くれ冴返る(啓子)
野良猫と目の合ふ路地の余寒かな(美雀)
青き踏む玉子サンドと烏龍茶(布香)
姑のいかなご炊きの口伝かな(清吾)
卒業証書丸めて覗く母の顔(美雀)
夕空に濃淡のあり鳥帰る(秀子)
倒木となれど白梅芳しき(啓子)
春寒や濃き口紅の恐ろしく(秀子)
春泥につかまへられし靴の底(啓子)
亡き母の梅酒の色や朧濃し(恒義)
作家名薄れし箱や雛人形(布香)
マッコリの甕のふくよか春の宵(すずめ)
私の雛に祖母の雛母の雛(洋子)
通販の箱のすかすか余寒なほ(莊太)
海苔掻の媼のひとり海光る(恒義)
園庭に子ら見当たらず鳥曇(海峰)
教会を向いてペコちゃん春隣(すずめ)


干涸びぬものに初恋春炬燵(雄作)
朧濃しドナーカードを渡されて(典子)

2018年2月24日
飼い主に似て恋猫の直ぐ戻る(布香)(共選)
白梅や「青鮫」残し兜太逝く(清吾)
料峭や反則切符ワイパーに(布香)
反抗期持たずに育ち葱坊主(清吾)


うかうかと晩年ぽかぽかと春日(秀子)(共選)
歯固めのバナナのおもちや山笑ふ(美雀)
春一番ずぼつとドッジボール受け(秀子)
肘当ての花や小鳥や風光る(秀子)」

旅鞄開いたままや鳥曇(美雀)
ぶらんこを漕ぎて反抗期の最中(美雀)
飛花落花違反切符の貼られあり(清吾)
春めくや反り身の先の天井画(布香)
反芻の牛の尾の追ふ春の蠅(清吾)
兄を吊り出さんと反身春の風(秀子)
クレープも我もふんにやり冬麗(すずめ)
余寒なほ反戦詩人星になる(海峰)
反骨を隠す背広や新社員(清吾)
オムレツに菜の花ソテー代休日(美雀)
弁当の玉子ほろほろ鳥雲に(布香)
革靴に春泥大浦天主堂(美雀)
菜の花やチューブの辛子買ひ足しに(海峰)
待春の樹間ひろびろフリスビー(すずめ)
旅の予約一人となりし余寒かな(美雀)
天守の礎石整然として冬ぬくし(莊太)

汗臭き部室やバレンタインの日(雄作)
雪解靄町の匂の立ち上がる(典子)

2017年2月25日
石垣の石のざらざら鳥帰る(秀子)(共選)
言ひ訳も言ひ尽くしたり春の風邪(美雀)
梅園の石にすわりて握り飯(洋子)
梅見とは別にコンサートの群れも(海峰)
思ひ思ひに走る人々鳥の恋(木屋改め莊太)


梅真白谺を返しさうな空(秀子)(共選)
空濠は広き日溜り地虫出づ(清吾)
梅日和ジャグラーは球取り落とし(清吾)
真鍮の札の名愛でて梅見かな(清吾)」


郵便バイク観梅の列抜けて(布香)
それぞれの国の言葉でめでる梅(海峰)
石垣に隙間のあまた草青む(秀子)
亀鳴くや脳の画像をほめらるる(啓子)
空堀の河童はいづこ春の草(すずめ)
春一番腹筋マシン動きだす(啓子)
園をゆく二匹の犬の春の服(すずめ)
少年野球囀りに囲まれて(秀子)
亀鳴くやこのクッキーはシチュー味(すずめ)
雨ひと日苗札ばかり目立ちをり(啓子)
いかやきに二種類ありて長閑なり(すずめ)
雨音と読経重なる春障子(啓子)
塒より出て来し鳥か梅一花(秀子)
大道芸赤き風船ねぢられて(清吾)
黄梅の楽しき鳥を集めをり(布香)
春昼のにはか僧侶の笠は金(すずめ)
飛行機の吸ひ込まれゆく春の雲(布香)
蒼天や白梅の蕊そつと撫で(清吾)
コンビニのコーヒーの列百千鳥(洋子)


突つけば咲き出しさうな桃蕾(雄作)
糊色の雲ひとつある梅の花(典子)
2016年2月27日
母の手に火傷の痕や猫の戀(美雀)
山国の雪解見たし蕗の薹(清吾)
春炬燵死ぬなら二人きりのとき(和樹改めすずめ)

春月を天ぷら種に加へたし(布香)
植木鉢の底よりひげ根風光る(秀子)
手加減を少しはせぬか春一番(木屋)
国生みのはじめは淡路若布刈船(清吾)
歯みがきのチューブ押し出し春よこい(海峰)」

待春や人丸さんの亀の水(木屋)
暮れ方の空に染めむら梅の花(秀子)
春光やスイス国境棒一本(布香)
春の雪老いても凛とサユリスト(美雀)
春一番暗証番号変へ時か(布香)
永き日の猫の餌つつくすずめかな(洋子)
母の如雨露父の苗札滲ませて(清吾)
遠巻きに見てゐる涅槃図の嘆き(秀子)
水ゆする千羽の鴨の引き支度(啓子)
のりかへのホームに蕎麦屋春近し(洋子)
子も積むてふ教会の石野水仙(美雀)
美瑛町哲学の木や雪の果(洋子)
美酒のごとき雨きてひらく鬱金香(碧)

背番号無しにもつとも春の泥(雄作)
蝶の翅つまめばこつと固き筋(典子)

2015年2月28日
見せかけの無頼だらうよ猫の恋(輝代)
水温み蛍光色の疑似餌選る(布香)

歩くより遅き市電に乗つて春(布香)(共選)
エアバスのふはりと着地草青む(秀子)
放鳥の一羽出遅れ春うらら(秀子)」

雑巾はザクザクと縫ふ春の風(洋子)
たんぽぽや家族みんなで写真館(洋子)
人待つを忘れをりしよ水温む(清吾)
春の雪手書きの遅延証明書(美雀)
斜め掛けの帆布鞄や春一番(布香)
送り雛白足袋もたせやりたかり(輝代)
ミニチュアの汽車に鉄橋あたたかし(清吾)
課外授業の良く晴れ麦は踏み頃に(清吾)
食べるとき亡き父とゐる夏みかん(洋子)
余寒なほ南の窓を磨きつつ(美雀)
産声やきらきらきらと雪解川(秀子)
手紙待つやうな午後なるいぬふぐり(布香)

花粉症をまづ断りぬバスガイド(雄作)
ベビー服を掛けたき春の二日月(典子)

2014年2月22日
定位置に爪切のない余寒かな(布香)
霾るや鉄筋ツンと立ち上がる(啓子)

故郷の半歩遠退く春の雨(美雀)
反り橋の下に留まる余寒かな(清吾)
千年を木は伸びつづけ雪解風(秀子)
ぶらんこを揺する夜空が重たくて(秀子)」

潮引いて石蓴のあをの生まれけり(清吾)
受付に眼鏡三本木の芽時(布香)
地形図にすきま広々山笑ふ(啓子)
あかときの音吸ふごとく春の雪(清吾)
きさらぎの思はず触れてみる造花(木屋)
鬼やらふ声の迷ひて一七日(美雀)
門燈のつぎつぎともる春の雪(洋子)
アルバムの小さき手形百千鳥(布香)
春の雪ジンジャエールの泡ひかる(洋子)
ベーコンの焼きが足りない春の風邪(布香)
日曜は手づくりのパン風光る(洋子)

てきたうや五人囃子の並び順(雄作)
ほろ苦のほろが大切ふきのたう(典子)

2013年2月23日
公魚の隕石つつきをらむかと(清吾)
とんと打ち薬のかをる紙風船(美雀)
桃の日の一人のび太に似たるかな(清吾)
住吉さんへちんちん電車うららかに(海峰)
朝寝してラッシュアワーを思ふかな(清吾)

子犬のやうにセーターを洗ひけり(布香)
三寒の靴音ひゞく資料室(啓子)」

めでたさの集まる赤根菠薐草(啓子)
種びたし欠伸のやうに泡吐いて(秀子)
勾玉のやうなる胎児水温む(布香)
桐下駄の焼き目の浮きて春の風(秀子)
着信音「威風堂々」修司の忌(洋子)
立春や絵筆たつぷり墨吸つて(秀子)
恋ならば胸焼けはせぬ四月馬鹿(美雀)
啓蟄やスケジュール帳黒々と(洋子)
八橋の焼ける香ほのと柳の芽(布香)
霜柱しゃりりと足裏想ひだす(てるみ)

肉まんを買ふだけに出る二月かな(雄作)
春の星種井に泡の立ちはじめ(典子)

2012年2月25日
水温むボートに犬が飛び乗つて(布香)(共選)
啓蟄やヨガのクラスの列長し(布香)(共選)
名刺なき身の落ち着かぬ梅見酒(美雀)
隊列の一瞬崩れ鳥帰る(美雀)

底冷えの倉庫を閉づる鍵の束(啓子)
春雪の湧き上り来る切通し(清吾)
春眠し雲の駱駝はすぐ崩れ(秀子)
家猫の確かめにいく初氷(美雀)」

東風吹くや壁に薬のカレンダー(布香)
鳥帰る鏡のやうな水溜り(秀子)
母の愛ひとり占めして風邪籠(洋子)
卒業の列の崩れて出てきたる(啓子)
れんげ田の牛遠足を見送りぬ(清吾)
思ひ出は少し苦くて草を摘む(秀子)
墨壺の墨の端乾く四温かな(啓子)
風も良か亀山社中の凧合戦(清吾)
女子高生うふふくすくす柳の芽(洋子)

蛇穴を出でてエデンの園なりし(雄作)
ぶつからず行く大小のしゃぼん玉(典子)

2011年2月26日
婆さんは二時間ドラマ日向ぼこ(西港)
建て替へて春日あふるる母の家(啓子)
押入れに五年寝てゐるお雛様(洋子)

根分けしてあの日の母と同じ齢(秀子)
猫の恋ポップコーンの散らかりて(布香)
梅咲くや父の戒名うろ覚え(海峰)
葦牙や色紙に教師の固き文字(美雀)」

戸締りは兄の役目や鬼やらひ(啓子)
梅の香の角をまがりて躙り口(洋子)
春光やきらり赤子の口の泡(啓子)
保育所の窓は全開百千鳥(秀子)
体重計にらみながらの桜餅(海峰)
押入れに残る手紙や朧月(西港)
裸木の中の杉の木真直ぐなり(木屋)
踏切のバー重たげに目借時(布香)
春めくと言葉の角は立たせずに(美雀)
夕暮れて椿の紅の深みゆく(木屋)

春愁と角館にて別れけり(雄作)
地虫出づ地名返してくれないか(典子)


<2006年2月~2010年2月>
2010年2月27日
料峭の未だ色のなき桃畑(共選)(秀子)
糠床のにほひする手や遍路杖(共選)(洋子)
人の名を未だ覚えず鳥雲に(木屋)
入学の子に一列の貝ボタン(啓子)
一秒もいらぬ春日を纏うには(秀子)

日本の赤はこの色島椿(啓子)
未熟でも弟子は楽しみ松の芯(美雀)
全員で未知に向うて卒業歌(啓子)」

和平わっぺい の栃木訛や春の雷(美雀)
れんげ田や「帰ってこんね」と母の声(洋子)
梅咲いて絵馬にずらりと生徒の名(西港)
ふんはりと柚子のかをれる風呂上り(和夫)
啓蟄や猫背のままに立ち上がる(木屋)
親不知をほめられてゐる四月馬鹿(美雀)
その奥を人の横切る春の雪(秀子)
麗かや未処理の書類うづたかし(西港)
新年を義理の息子と祝ふかな(和夫)

糅飯に奥歯はたらく寒九かな(雄作)
初蝶がゐて幌たたむ乳母車(典子)

2009年2月28日
ゴム長も地下足袋もあり石蓴摘み(美雀)
貝寄風や散らかつてゐる作業台(サブリナ改め秀子)
落ちてゐし付箋いちまい春寒し(布香)
建国日屋根の上より人の声(サブリナ改め秀子)
春風のゆきさき追へば三味の会(J)
三寒の残りしメリーゴーランド(美雀)

チューリップひと筆書きの旅に出る(布香)
水槽の水の替へ頃黄砂降る(サブリナ改め秀子)
双子にも力の差ありつくしんぼ(豊)
赤ん坊を仏のやうに抱いて春(美雀)」

つちふるや電子ゲームの電子音(木屋)
悴んでトチチリチレが弾けぬわい(J)
亀鳴くや付録目当てに本を買ひ(啓子)
春立つて定時退社の日となれり(木屋)
桜まじマスクごしなる女声(洋子)
クレーンの数多とまりぬ菜種梅雨(海峰)
一日のマスク汚るる雨水かな(和夫)

啓蟄や折れてブーツのなまなまし(雄作)
どちらかと言へば洋画派目刺焼く(典子)

2008年2月23日
啓蟄や糸の通らぬ針の穴(啓子)
新築の家を歪めて焚火かな(木屋)(共選)

生れ日を捺されし卵山笑ふ(啓子)
白粥に梅干滲む余寒かな(サブリナ)
セーターの拾得の文字うすれたり(美雀)」

この星の水を引き寄す春の月(啓子)
春寒し肉に擦り込む塩胡椒(サブリナ)
眠さうに唄ふボサノバ花曇り(サブリナ)
水温む藩士の門は開かれて(美雀)
得度終へたる細き手に雛あられ(海峰)
小春日やヘルパーの押す車椅子(海峰)
春立つや三十年目の主婦がゐて(洋子)
春の月シャッターだけの店仕舞ひ(木屋)
カーテンの折り襞深し春の昼(サブリナ)
啓蟄やふと吾が裡の怠け虫(美雀)
赤ちゃんはお尻からこけ春の風(海峰)
菜の花を分け一服の道普請(啓子)

猫脚の椅子動きさう春の闇(雄作)
おぼろ夜の人近づけば点くランプ(典子)

2007年2月24日
絵屏風や鴨居に頭コンと打つ(西港)
愛用の耳かき失せて四月馬鹿(海峰)(共選)
摘草の指でホックを外しけり(サブリナ)
欄干に春節の龍ひと休み(豊)
大島雄作選」その他
熊笹の効能書きや山笑ふ(啓子)
父が父に叱られてゐる竹の秋(サブリナ)(共選)
春風や首に値札のバーコード(豊)(共選)
クレソンの水に始まる春の川(布香)
揚雲雀ガット強めに張りにけり(布香)」
恋猫の金の目をして帰りきし(サブリナ)
蕗味噌や妻に三つのピルケース(豊)
ラーメンの替え玉飛んで山笑う(木屋)
荒炊きの鯛の目玉や春一番(美雀)
点滴の一滴ごとに梅の咲く(海峰)
菜の花を浮かべて病院食の椀(きよし)
れんげ草歯医者の壁の空と雲(洋子)
修造のひろき本堂冴え返る(悦子)
雪吊をほどくならこの青き空(雄作)
一瞬で巻尺戻る竜天に(典子)
2006年2月25日
初蝶に母をゆだねて帰り来し(サブリナ)
卒業の傘閉ぢるとき大人顔(美雀)
つちふるや社務所にもらふ靴袋(布香)
春の家柱揺らして時計鳴る(雄作)
きんぽうげ寝起きのよさを誉められて(サブリナ)
春の鴨浮きて外堀かがやけり(啓子)
大島雄作選」その他
川岸に木椅子がひとつ初燕(サブリナ)
山笑ふ地卵の糞半乾き(布香)
対岸のビルに騙し絵鳥雲に(布香)
普段着の母の遺影や桃の花(海峰)
帽子より白髪ふはふは鳥の恋(サブリナ)」
春暁や孟宗竹の伸びる音(西港)
四月馬鹿廊下の隅の綿埃(洋子)
節分の今夜は独り鬼も来ず(木屋)
雨戸しめ終はりたる手の余寒かな(悦子)
胸張りし雄犬バレンタインの日(西港)
この年も妻が豆撒く一の闇(きよし)
たんぽぽやまづは始めるスクワット(布香)
マンホールの蓋のお城を跳んで春(雄作)
岸といふ海ののりしろ春動く(雄作)
啓蟄の茶筒のふたのあまきかな(典子)

<2002年2月~2005年2月>
2002年2月23日
鳥帰る腋の力をたしかめて(雄作)
死者は皆素顔となりて石蕗の花(美雀)
住人は爺さま一人猫の恋(西港)
寒凪や最後の炭鉱やまの男去り(布香)
山独活を腰高に摘むけもの径(北勇)
人真似に倦みたる鳥や春のくれ(雄作)
(大島雄作選、その他の佳句)
両脇にマネキン持てば風邪ごこち(西港)
泣き虫は男なりけり蕪蒸(布香)
春眠や大猫一ぴき住みついて(サブリナ)
奴の事初期化してやる春炬燵(布香)
凍る夜のマニキュアの赤ひとを恋う(海峰)
温度差を寒の戻りでさましをり(青鵬)
住職の大声ひびく郁子の花(松ちゃん)
野良猫の分際にして恋や恋(雄作)
2003年2月15日
踊場に紙飛行機の下りて春(雄作)
冴え返るプラスチックの櫛のひび(サブリナ)
春立つや等身大の鏡買ふ(布香)
失恋はわが家の慣ひなあ猫よ(雄作)
摘み草の一日を姉でゐたりしよ(サブリナ)
あのあたり溝ありそうで犬ふぐり(布香)
(雄作選、その他)
良寛の手になるような雪兎(洋子)
春浅しボート部の声遠退いて(西港)
春雷にフローリングの埃泛く(海峰)
前身頃あてて鏡に春のいろ(豊)
軒先のつららの牙の下通る(平助)
水温む伊万里の皿の厚みかな(美雀)
鍼を打つ身も立春のひかりかな(きよし)
紅梅や母が父押す車椅子(ようこ)
万作の花咲く庭の日向かな(きよし)
シャンプーのポンプ二度押す春の雪(典子)
2004年2月28日
はらわたの出でしベースや草萌ゆる(雄作)
燕来る有給休暇使はねば(雄作)
追伸の後の続かぬ目借時(布香)
日時計の影の重なる余寒かな(サブリナ)
海鳥を整列させて海苔いかだ(美雀)
摘草や籠に帽子と腕時計(雄作)
(雄作選、その他)
うまごやし犬の蹠の柔らかく(サブリナ)
耳つきのコーヒーフィルター百千鳥(布香)
囀りや学校前にカフェテリア(サブリナ)」
小面の憂ひなき顔春立ちぬ(きよし)
立春の風が背を押す曲り角(美雀)
冬の蝿ゐてガヤガヤと夕餉時(洋子)
盆梅のわっと咲きたるふすまかな(翔)
愛犬の毛の生え変はり春動く(狐狸庵)
アイロンの舳先二月の白布航く(雄作)
逆立ちの掌を押し返す春の草(雄作)
東風吹いて魚百匹の同じ顔(典子)
地虫出てこの世の誰に逢ひにゆく(典子)
2005年2月26日
福助のつむりを去らず春の蠅(雄作)
啓蟄の地べたに置かれ拡声器(雄作)
墨絵にも菜の花色の欲しき頃(啓子)
垂らしたる足より睡気水の春(サブリナ)
ざぶざぶと野菜を洗ひ鳥雲に(布香)
春の夜の人魚顔出す汽水かな(布香)
大島雄作選」その他
トンネルの先半円の海に春(啓子)
読む気なき本の字面や春しぐれ(西港)
低気圧通り恋猫鳴きにゆく(啓子)
白秋の手紙は古りて水草生ふ(布香)」
水仙を花束にしてバスの席(美雀)
いつしんに箸を使へり蜆汁(啓子)
寒の明け円空仏の深目蓋(きよし)
探梅のしんがりにゐて車椅子(洋子)
カバン持ちかへて片方温めむ(木屋)
快気祝梅の便りと届きけり(美雀)
たてよこに流るる空気山葵沢(雄作)
寒気団納豆をよくかきまぜて(典子)
戻る