<3月>

<2011年3月~2020年3月>

2021年3月27日
◎合格子一気に水を飲み干せり(らてん)
 海へ向くバス停の椅子春夕焼(らてん)
 受け止める海の深さを春の星(真弓)
 長閑さや窓際席のミルクティー(りん)
 麦踏むや利休鼠の作務衣着て(らてん)
 教科書をもらふ行列春の雲(ふく)
◎受け止める海の深さを春の星(真弓)
 あなたも僕の遺伝子初桜(らてん)
 海へ向くバス停の椅子日永し(ふく)
 家出中だけどたんぽぽはふまない(ふく)
 利己的に生きてみたらと春の風(真弓)
 踏み込めぬ玻璃の海原いぬふぐり(凡)
◎ふうわりと剥がす一枚春キャベツ(らてん)
 海へ向くバス停の椅子春夕焼(らてん)
 ものの芽や何故などいらぬ生きている(真弓)
 シリウスの光増したる猫の恋(典子)
 長閑さや窓際席のミルクティー(りん)
 ジョギングのゴールをどこに風光る(りん)
◎靴紐をぎゆつと結んで春の海(らてん)
 お利口でなくたつて良い日永し(ふく)
 海へ向くバス停の椅子春夕焼(らてん)
 シリウスの光増したる猫の恋(典子)
 体育館裏で卒業歌ををきく子(ふく)
 合格子一気に水を飲み干せり(らてん)
◎せつかちな標本木に花五輪(凡)
 乳おむつ乳春の蚊とおむつ乳(ふく)
 春眠を卵の中の雛のごと(真弓)
 ミルク飲む子猫に右利き左利き(典子)
 強面の口元ゆるむ桜道(真弓)
 花ふぶき空缶入れに自ずから(典子)
◎ミルク飲む子猫に右利き左利き(典子)
 ふうわりと剥がす一枚春キャベツ(らてん)
 ものの芽や何故などいらぬ生きている(真弓)
 合格子一気に水を飲み干せり(らてん)
 ジョギングのゴールをどこに風光る(りん)
 利己的に生きてみたらと春の風(真弓)

2019年3月23日
膝当ての二匹の小熊山笑ふ(莊太)
龍天にアボカドの種ぽこと取れ(秀子)
米軍基地の違ふ匂の夏近し(布香)
店先の魚に水打つ桜まじ(清吾)

うららかやお相撲さんの乗る電車(海峰)
教室の時計リセット新学期(美雀)
菜の花の背丈となりて卒園す(啓子)
冴返るカメオの顎のしやくれたる(清吾)」


とれさうでとれぬ瘡蓋四月馬鹿(すずめ)
パレードの末尾あやふや春闌けて(秀子)
ベーグルはいつも売り切れ蝶の昼(啓子)
春闌けて卵の自動販売機(秀子)
蜷の道たどれば母に会へさうな(秀子)
「玉筋魚は完売です」と金釘流(美雀)
イチローは元イチローへ春一番(海峰)
春愁や呟くやうに落つる雨(すずめ)
春泥や無人売場に小さき箱(布香)
紅梅や昭和の駄菓子売るテント(清吾)
薬売りの去年と同じ紙風船(莊太)
春炬燵当てずつぽうに返事して(秀子)
表情筋エクササイズ山笑ふ(啓子)
馬蛤貝の穴の点点有明海(恒義)
杖突かで歩む楽しさ桜咲く(清吾)
菜の花や馬油石鹸試し買ひ(海峰)
マジシャンの種明かしして万愚節(美雀)
表札に二つの苗字花大根(布香)
七七忌白もくれんの開け初む(啓子)
吊り橋を潜る客船風光る(莊太)

新しき肌着つめたし朝ざくら(雄作)
折りかけの紙雛ナースステーション(典子)

2018年3月24日
白ふどし干して海辺の町に春(すずめ)
口答へされて春の蚊叩きけり(美雀)(共選)
老医師の独逸語カルテ桜冷(美雀)
門々の余寒兵庫県警制服組(海峰)

絵手紙の大きな余白水温む(秀子)(共選)
麗らかや針の重なる花時計(秀子)
海風にカーテン揺るる朝寝かな(秀子)
老犬をカートに乗せて春の雪(秀子)」

あたたかや手術のあとの細き線(洋子)
三月やランチに添へるプチトマト(莊太)
石棺の蓋だけ遺り犬ふぐり(秀子)
朧夜の稲荷にさらの涎掛け(すずめ)
出し入れの車考へ垣繕ふ(布香)
花散るや病院の窓嵌め殺し(秀子)
水温む嘘つき顔の鯉ゆらり(美雀)
ふるさとを離れて長し春彼岸(海峰)
行く春や赴任地ごとの地図増えて(布香)
のどけしや老人ばかり乗る市バス(海峰)
地下街の花屋に春の来たりけり(布香)
瀬戸内や離れ小島にさくら咲く(莊太)
子と夫の声のしてゐる朝寝かな(洋子)
浴室のもれ出す湯気やもどり寒(莊太)
啓蟄やレジに少女の幼な顔(海峰)

首に貼る大きな湿布菜種梅雨(雄作)
春愁の顔移りたるパック剥ぐ(典子)
2017年3月25日
散らかつて落ち着く机春愁(清吾)(共選)
家の灯の消えて梅の香ひろごりぬ(清吾)
包帯のぐづぐづ弛む啄木忌(美雀)
拭きあげし机正して卒業子(美雀)
陽炎をぬける一輌電車かな(洋子)
東風吹くや四十年余の職を辞す(莊太)(共選)
櫻東風見るたび富士は新しく(秀子)
方言に残る音便花曇(莊太)

理科室の机に輪染み鳥曇(莊太)
ちゆうんと啼く砂を吐かせし浅蜊かな(布香)
心棒を抜かれてをりて春の風邪(美雀)
新しき机に春日当たりけり(布香)
ふらここの揺れをさまらず鷹女の忌(清吾)
草餅や娘と二日目の喧嘩(洋子)
初つばめ子に子の出来る夢をみて(美雀)
春昼の「ジャンプ」立ち読みする力士(すずめ)
写生して机上に残る夏みかん(清吾)
ストレッチしなくちや白木蓮どつと(海峰)
夏みかん鈴木しづ子の忌は不明(すずめ)
自転車の前後に子ども春をこぐ(海峰)
言祝ぎの色でありけり桜鯛(啓子)
大仏のなだらかな肩春時雨(美雀)
体操の空に白蓮ありにけり(清吾)
釣堀の魚かからず花曇(洋子)
春風や初志を貫く面構へ(莊太)
地球儀は机の端に鳥帰る(秀子)
草萌に集まつてくる鉋屑(啓子)
地下道を抜け春風の真正面(海峰)

行先のどこでもよくて春日傘(雄作)
春風のちよつと先までゆけば森(典子)

2016年3月27日
三月の傘をみづごと巻きにけり(栄樹)
風呂敷に包む水槽春休(栄樹)(共選)
妻の二の腕に筋肉しやぼん玉(清吾)
咲きいそぐ歌劇の街のさくらかな(清吾)
クロサイの耳はセンサー養花天(布香)

木蓮や鳥の寝息のやうな夜(志保理)
ゆつくりと懐く子供や水温む(秀子)
天文台のドーム押すごと春の雲(清吾)
マグカップに添へて角砂糖と春光(栄樹)

肉噛めば日向のにほひ草青む(秀子)
断捨離の服また戻す春の雪(美雀)
バス停を三つ歩きて春の虹(志保理)
白木蓮夜は空より降りてくる(秀子)
桜咲く浮かぶがごとき天主閣(木屋)
のど飴をガリリと噛んで春は来ぬ(海峰)
もう少し送つてゆくと春の月(啓子)
スケジュールにぽかんと隙間地虫出づ(秀子)
さかあがりくるりと回り卒園す(啓子)
菜の花や君を笑顔にする魔法(洋子)
涅槃西風肉まんにつく指の跡(栄樹)
あの雲は仏のかたち青き踏む(すずめ)
あたたかや腹筋運動五十回(洋子)
玉筋魚に子蟹の混じる目笊かな(美雀)
春光や障子の柄の浮き立ちぬ(志保理)
寒戻るLEDの街路灯(木屋)
狼の檻廻るのみ恋のころ(布香)
春雷や固定電話へ遠き友(清吾)
捨印の朱肉の乾き弥生尽(布香)
鳥かへる空に道標あるらしく(美雀)
春節のランタン見知らぬ町となる(竜平)

手の生えてきさうな春のマヨネーズ(雄作)
きのふ春雨けふ逆さまの柄杓星(典子)
2015年3月28日
ペン胼胝が指から消えて四月馬鹿(美雀)(共選)
ジュラルミンケースに鎖冴返る(布香)
ほろほろとまめだの悔やみ花銀杏(美雀)
採点のおほき花まる鳥帰る(美雀)
うららかや前か後か迷ふ服(美雀)

白梅やきれいな敬語使はれし(清吾)
犬ふぐり空近ければ青濃くて(秀子)
クロッキーの線の躍動春の駒(清吾)
芝桜遺影にしたきよき写真(美雀)」

野遊びやきれいにむけるゆで玉子(洋子)
みづうみに水切競ふ日永かな(輝代)
病む人に付き添ふだけの桜の夜(布香)
食べること遅きひとり子入学す(布香)
春めくや一人帰りし親の家(洋子)
赤ん坊と目があひそらす春うらら(洋子)
生れたての月が弥生の森の上(秀子)
物干の正面に湖鳥帰る(清吾)

傾いてゐてもいいんだ葱坊主(雄作)
一番奥へ喪服をしまふさくら冷(典子)

2014年3月22日
散髪の済みし襟足春日向(清吾)
桜狩我を除きてみな上戸(木屋)
カフェオレの大きなカップ蝶の昼(秀子)
ごみ袋取り合ふからす春彼岸(布香)

いぬふぐり好きという字は女の子(美雀)
霾や運命線はまだ変はる(美雀)」

弁当作り終りて母を卒業す(布香)
百年の後の地球や蘖ゆる(秀子)
ふらここや蹴り上げる雲あるやうに(美雀)
駐車禁止の紙ぺつたりと春の塵(洋子)
チューリップ大あくびして散りにけり(布香)
舫はれしままのヨットや冴え返る(清吾)
のれそれの春を透かしてをりにけり(美雀)
春の霜犬小屋だけが残されて(秀子)
囀りの水のしぶきしごとくなり(美雀)
我が影をふはりと踏みぬ豆の花(秀子)
わが性の浅きところを四月馬鹿(清吾)

散髪に行かう剪定終へてから(雄作)
芽吹よりはじまる森のころもがへ(典子)

2013年3月23日
霾ぐもり木魚を見れば皆たたく(布香)
霾るや積んどく本に指の跡(美雀)
貝寄風や南船北馬あとは徒(美雀)

山焼くや北は玄武が司り(秀子)
ふむふむとうなづく春のらくだかな(清吾)
すきつ歯に春風抜ける枝雀の忌(美雀)
木のベンチ石のベンチや百千鳥(秀子)
お水取り鹿のひとみの濡れてをり(美雀)
春霰や琵琶湖を遠く下に見て(清吾)」

若蘆や大きく開く瀬田の堰(洋子)
風光るドレッシングをよく振つて(秀子)
壜の蓋開かぬ桜はまだかまだか(秀子)
虚子の忌の南北長き街にゐる(布香)
母あやすわが手の無骨さくら冷(清吾)
新学期壁の楽聖一列に(布香)
制服は少しぶかぶか蓮華草(洋子)
花嫁の項の産毛風光る(洋子)

鷹鳩と化して時計の窓ひらく(雄作)
砲丸のひやりと重き木の芽どき(典子)

2012年3月24日
八坪の花菜明りの畑かな(木屋)(共選)
朧夜の窓辺に合はす周波数(啓子)(共選)
蜂は花にもぐりこみまたもぐりこみ(清吾)
メドゥーサに吹かれゐる髪雪柳(清吾)

水吸ひて若布翼を広げけり(布香)
啓蟄や口開けてゐる登窯(啓子)
囀や御所を五周の陸上部(洋子)」

鶯の声のこぼれて七七日(啓子)
五回目でファックス通る養花天(布香)
予備校の寮に発つ日や草萌ゆる(清吾)
一列に田植待つ子の脛白し(美雀)
春寒や生姜のど飴ガリと噛む(海峰)
ぶらんこにこつそり座るおばあさん(洋子)
天井に節穴ひとつ春の風邪(美雀)
刈り時の羊ダスキンモップに似(布香)
隊列の進む砂漠や蜃気楼(清吾)
春めくや改札口に人溜り(木屋)

鷹鳩と化して豆鉄砲喰らふ(雄作)
断捨離ができずひばりを聞きにゆく(典子)

2011年3月26日
体内に白き骨あり春の雷(美雀)
春うららアインシュタイン舌出して(秀子)
菜の花や姉のほしがる離乳食(洋子)
天窓に糞の乾きて鳥の恋(秀子)

集落の春ごと呑みて大津波(啓子)
花冷えやリュックの中に位牌詰め(布香)
すかすかの軽石の孔あたたかし(秀子)
数字多き電光ニュース彼岸寒(布香)」

蒲公英の絮一斉に村を出る(布香)
早春の鼻に抜けたるバジルの香(木屋)
春愁ひ子に使はれしマグカップ(西港)
津波去りて残る一本桜の芽(西港)
燕には津波は大き波の事(木屋)
初恋のひとりに一つ桜の芽(海峰)
離乳進みてほくほくの桜鯛(啓子)
宣誓のすみずみ春の甲子園(英二)
もうすこし寄せておこうか内裏雛(てるみ)

うららかに眠りをるらし我が海馬(雄作)
春愁も毒掃丸で直さうか(典子)


<2006年3月~2010年3月>
2010年3月27日
化粧品売場抜ければ春一番(布香)
霾やふるさと知らぬ駱駝生れ(啓子)
囀りの絶ゆる間のなき駅舎かな(啓子)
その昔都でありし朧月(秀子)
都路の春のスカーフ逃げたがる(布香)

産みたての卵のぬくみ花曇(啓子)
発条の切れて眠る子苜宿(秀子)
曇天や花となる芽の粒立つて(秀子)
囀りや日照雨一粒づつ光り(秀子)」

イーゼルの脚しつかりとつくしんぼ(豊)
ふらここや都会の風を蹴り上ぐる(美雀)
襟元の赤き社章や風光る(布香)
六十の手習ひ難し黄砂降る(木屋)
春風にお国なまりの甲子園(和夫)
語尾上げるバスの車掌や春の海(西港)
霾や息を潜めて訃報聞く(美雀)
大阪を都にと力説杉の花(洋子)

抜け落ちし眼張のまなこ嵌めてやる(雄作)
龍天にわすれ形見は文鎮に(典子)

2009年3月28日
卒業の裏山にあの時の球(豊)
ぶらんこを漕いで夜空を軽くせり(秀子)
和室洋室それぞれの花の冷(布香)
いかなごを送ると金釘流の文字(美雀)
同姓の表札ばかり畦青む(布香)

力むこと覚えし赤子春の山(啓子)
うららかや終着駅の車止め(木屋)
キャラメルの箱にエンジェル日の永し(秀子)
花冷えや都市は灯りを消さぬまま(啓子)」

春の土匂ふトランポリン日和(秀子)
木の芽風犬にひかれて老婦人(木屋)
大袈裟に包帯亀の鳴きにけり(啓子)
お母さん彼岸過ぎても寒いです(海峰)
春一番外れ馬券をポケットに(西港)
母逝くやたんすの奥の春袷(洋子)
雲海を下に帰心の濃くなりぬ(和夫)
一夜漬にて候確定申告書(J)

霾るや木馬は脚を上げしまま(雄作)
弥生尽雲呑スープに灯がゆれて(典子)

2008年3月22日
太陽の塔春眠の子に似たり(サブリナ)(共選)
噛みつぶす目玉のうれし蛍烏賊(木屋)
指先で探るチベット春疾風(啓子)
花冷や「きぼう」の中でブーメラン(木屋)
春の風邪癒えはじめなる妻の愚痴(西港)

つちふるや定年式に向かふ夫(布香)
桜鯛両目に海の青残し(美雀)
囀りの森は大きな集音器(サブリナ)
老犬の一日一日やはこべ草(サブリナ)」

雛人形欠伸こらへてゐるやうな(サブリナ)
四月馬鹿伸縮自在の落しぶた(布香)
分かつ事できぬ霾る空があり(啓子)
春惜しむ土ほくほくの竹林(洋子)
診察券ゴム一束に春の風(洋子)
初舞台種蒔くやうに見てをりぬ(海峰)
骨拾ふ箸の長さや春の宵(西港)
時刻表の厚さ一寸霾れり(美雀)

百年後もこの星に添へ春の月(雄作)
たんぽぽや空手初段の嫁がきて(典子)

2007年3月24日
春泥の轍の中を通勤す(木屋)
啓蟄の小学校は避難場所(海峰)
いにしえの絵師にときめく玉椿(悦子)

囀りや五十音図を壁に貼り(サブリナ)
ふらここの空に足跡残しけり(豊)
私にははえないしつぽ東風 あゆのかぜ(サブリナ)
大型車進入禁止白子干す(豊)
愛犬の高額医療四月馬鹿(啓子)」
球春や蛇口四つに無数の手(西港)
生前も死後も雛罌粟風に揺れ(サブリナ)
黒牛に花菜の色の耳印(啓子)
父の春眠こぶしふたつが赤子めく(美雀)
終電の窓にわが顔菜の花忌(洋子)
マストより答礼ひびく春の雲(美雀)
ヒヤシンス飾る新聞休刊日(豊)
罪人に似てたばこ吸ふ花菫(洋子)
気が付けばものの芽溢れ通勤路(海峰)
春泥や膝に油を差さうかと(雄作)
ひと間よりはじまる暮し桜冷(典子)

2006年3月24日
切株に立てば燈台鳥帰る(雄作)
卒業す代打出塁率胸に(サブリナ)
初蝶来こんな胡麻塩あたまにも(雄作)
水門の花の筏のつかれやう(サブリナ)
鳥雲に入る末つ子は反抗期(啓子)
善き人の顔のそのまま桜守(美雀)

うつすらとお粥に鹹気あさざくら(サブリナ)
山焼の空に動かぬ雲ひとつ(啓子)
胎の子の蹴り足強し初燕(美雀)」
飼ひ犬の友は野良猫うまごやし(布香)
鳥帰る森の図鑑の分厚くて(洋子)
遠足の薬包みのお塩かな(布香)
菜の花の横で起重機はたらけり(海峰)
花の昼父の法会に老いし伯父(木屋)
小豆煮て塩一つまみ春彼岸(洋子)
稽古笛間遠に聞こゆ春の昼(きよし)
ムツゴロウ潟色に出てうごめけり(悦子)
戒名に慈の文字ありて鳥雲に(海峰)
春眠や李白と酒を酌み交はし(雄作)
膝曲げて歩くロボット春の空(典子)


<2002年3月~2005年3月>
2002年3月23日
蝶の屍の鱗粉泛かぶ潦(雄作)
ボート部の練習終わる花筏(西港)
ゴリラ春愁前の世を考へて(雄作)
父母の家は霞のその中に(サブリナ)
かくれんぼの鬼遁げてゆく春の山(雄作)
囀りや切手シートにミシンの目>(雄作)
(大島雄作選、その他の佳句)
大川の菜の花分けて洗堰>(美雀)
春めくや矯正の歯のきらきらと(布香)
長閑しや水面の顔の動かざり(青鵬)
頸椎をこきりと鳴らす春の昼(サブリナ)
遠足の子の群れ並ぶ朝の駅(海峰)
銀輪のくるりくるりと春隣(北勇)
木目込みの雛見る妻や吾子に似て(北勇)
縁側に本伏せてある桃の花(松ちゃん)
辛夷咲く山の祭のはじまりぬ(雄作)
2003年3月22日
三日見ぬ湖岸に青き芽吹きかな(美雀)
ゴム長を逆さに干して春の雪(サブリナ)
胎の児に両手両足草青む(豊)
アーモンドの花十歳の留学生(サブリナ)
伝言は何も残さず鳥雲に(布香)
入れ墨を湯船に沈め寒昴(西港)

ふらここのスカート地球を孕みけり(美雀)
春寒の木魚拭く事一心に(海峰)
息とめて接写の先の牡丹雪(翔)
春うららマンタが腹を見せてをり(布香)
道なりに鞍馬を辿る木の芽風(西港)
子の春やカーテン越しに掌をふって(きよし)
蹴上がりのできて掌の肉刺あたたかし(豊)
春薊ファザコン直しようもなく(海峰)
鍵さしたままの引き出し春の月(典子)

2004年3月27日
研修の始めはお辞儀ミモザ咲く(布香)(共選)
芽吹く夜の口裏をどう合はせよと(としこ)
霾やかつて火星も水の星(サブリナ)
連翹へ君が起こしてゆける風(としこ)
赤楊の花王昭君へ垂れにけり(としこ)
芽吹急展望三百六十度(としこ)
(ふけとしこ選、その他の佳句)
陶片の埋められし径鳥の恋(雄作)
鶯の鳴くや背中がほっこりと(美雀)
春風や少年の買ふ脂取り(布香)」
春朧無防備な耳朶包まるる(西港)
板台の魚の眼濡れて春隣(きよし)
恋文の時代がかりて涅槃西風(海峰)
さくら草回覧板と立ち話(洋子)
つくしんぼ寒暖計を架けかへて(翔)
吠ゆる犬ゐて横向きの風車(狐狸庵)
銅像の指先は天初桜(西港)
淀君の墓石の肌理黄沙降る(雄作)
年寄の明朗会計春蚊出づ(典子)
2005年3月26日
玄室のすっからかんの桜かな(雄作)
二瘤の駱駝のことに春愁ひ(雄作)
春闌けて柱に下がる置薬(きよし)(共)
春霖やホチキスの針切れてをり(西港)(共)
ネガフィルム僕のマフラー巻いている(西港)(共)
ドラエもんの声が変はりぬ木の芽時(雄作)

いかなごや他郷に年を重ねしと(サブリナ)
花筏の際に置かれる襁褓かな(布香)
春の雪仁王の太き脹脛(美雀)
朝桜グラスに真水あふれさせ(サブリナ)
万愚節道に置かれし聖母の絵(布香)
墓所湿りてをりぬ桜山(サブリナ)
見取図に彼岸桜を加へけり(布香)
鳥声の鋭し野を焼く空の下(きよし)」
棟札の四月吉日楷書文字(啓子)
葉桜や赤い雨傘すぼめたる(洋子)
通勤の首がスースー春の雪(木屋)
茎立ちや風なき時は風を待ち(サブリナ)
窓際の机が好きでクロッカス(雄作)
ぶらんこや通天閣を足蹴にす(雄作)
木の国に肌着干されて燕くる(典子)

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