<4月>

<2011年4月~2021年4月>

2021年4月25日
 ふらここの錆びて中也の遠くなり(乃々)
 一斉に風となりけり山桜(らてん)
 遊ぶ声消えて空き地のいぬふぐり(らてん)
 遠足の列の膨らんでは戻る(真弓)
 改札の外へぽぽんと春日傘(ふく)
 半地下の窓から春の暮れてゆく(乃々)
 風光るバイト募集のきんつば屋(真弓)

 パーゴラに八百屋ごつこの春の声(乃々)
 春陰にぶつぶつうちの炊飯器(乃々)
 人の世の滞空時間柳絮とぶ(典子)
 春昼のベビーカステラひと袋(ふく)
 悔いなしや桜蕊ふる定年日(凡)
 コーヒーに浮かぶ照明春惜しむ(真弓)
 逝く春の傾き直す掛鏡(典子)
 跳び箱を飛びて青空夏近し(りん)
 病棟は白衣の白さ夏つばめ(典子)
 下草の刈られ聖火の待ったなし(典子)
 シールド越しにデージーを買ふ現かな(典子)
 ひとつぶの雨ひとひらの散る桜(らてん)
 細腕の袖をまくつて夏隣(真弓)
 満開の桜の下の憂ひかな(らてん)
 鳥さかる満中陰志のお茶届き(乃々)


   
2020年4月25日
 結社誌同人A氏に選を依頼
新しいスポンジのあわ夜半の春(ふく)
バズーカのごとく海市に向くレンズ(典子)
山笑ふはちきれさうなペンケース(らてん)
雲梯に遊ぶ子のゐぬ名草の芽(典子)」

叱られてゐて目の端の草団子(典子)
鳥曇りやがて一人になるふたり(典子)
喉飴をレジ横で買ふ春の雷(典子)
山笑ふはちきれさうなペンケース(らてん)
囀りやこのひともとに鳥幾羽(らてん)
雲梯に遊ぶ子のゐぬ名草の芽(典子)

先生はコンパスがへた春の雲(ふく)
シーソーの真中に立つ飛花落花(ふく)
バズーカのごとく海市に向くレンズ(典子)
叱られてゐて目の端の草団子(典子)
雲梯に遊ぶ子のゐぬ名草の芽(典子)
早瀬すぎてまた組み変わる花筏(典子)

春昼や黒板消しをはたく音(らてん)
今日着たい服が乾かないメーデー(ふく)
百千鳥発つ日本の空残し(平介)

2019年4月27日
採血の長き前置き花蘇芳(啓子)
花は葉に竿いつぱいに干すシーツ(秀子)(共選)
赤毛のアンがジャンプしさうな夏野かな(すずめ)(共選)
花は葉に風疹痕のうすくなる(布香)
花は葉に文通相手に会ひにゆく(秀子)

退院のさくらの中の車椅子(啓子)(共選)
桜まじ鳩の柔らかさうな尻(すずめ)
夏みかん主張の強き粒ひとつ(すずめ)
大粒のパールのピアス夏に入る(布香)」

子の髪の短く揃ふ立夏かな(啓子)
白玉やぢいちやんの井戸今は涸れ(洋子)
春眠し風呂の天井から滴(すずめ)
飯粒の束子に残る若葉冷(布香)
東屋に一人の時間蝶生る(美雀)
おつとりと廻る水車よ猫柳(清吾)
馬刀獲りのもぐらたたきに似てゐたり(布香)
空を翔ぶ鯨のオブジェ新樹光(秀子)
鯉のぼり昔々の空探し(秀子)
教会の椅子に座蒲団緑立つ(洋子)
修司の忌独り穂麦の中通る(清吾)
蜷の道クラス変はれば恋をして(清吾)
八重桜かはたれ時を散り続く(清吾)
もう一度母にだきつく入学児(啓子)
キャンプ村バーナーの火と薪の火と(布香)
木蓮やけんかの後の傷深し(あかり)
緑陰に光の粒といえるもの(美雀)
極上のアイスクリーム妻の留守(莊太)
襟の黄ばみ黙認したる更衣(莊太)

オブラートを零れし顆粒春の風邪(雄作)
待針のやうに散らばる桜蕊(典子)

2018年4月28日
広辞苑に言葉の増えて鳥の恋(美雀)
大仏の鼻梁くつきり夏はじめ(秀子)(共選)
傘立ての半分は杖花祭(海峰)
引き潮に鳥居のあらは風光る(莊太)
補助輪を外す若葉の光かな(清吾)

風光るキャッチボールは恋に似て(清吾)(共選)
田水張る古墳は船のごと浮かぶ(秀子)
恋文は二五グラム風薫る(布香)
草矢打つ一人芝居のやうな恋(秀子)」

散髪の途中の尿意放哉忌(すずめ)
囀やゴンドラうごくビルの窓(洋子)
街薄暑持ち重りする恋をして(清吾)
軽々と忘れる恋や豆の花(美雀)
袋ごと羊羹切るや走り梅雨(布香)
夏きざす蝶番から捩子ぬけて(洋子)
新緑やパンに恋して半世紀(布香)
レース糸転がってゐる日永かな(海峰)
糞受けの板の新し燕来よ(莊太)
茎立や杭の打たるる造成地(洋子)
父の恋文見つけてしまふ春彼岸(海峰)
桜餅恋はむかしの話です(すずめ)
お揃ひの通学帽や燕くる(莊太)
ドロップの薄荷ころがる夏座敷(美雀)
恋人は骨折の杖揚げ雲雀(清吾)
カリヨンの「家路」流れて春の暮(莊太)

強き尾が雲を払うて鯉幟(雄作)
癒ゆるとは上を向くこと桜の実(典子)

2017年4月22日
期限切れの青春きっぷ花は葉に(布香)
駄菓子屋は十円単位百千鳥(布香)
血圧の限度ぎりぎり春の雷(海峰)
スキップに揺るる名札や風光る(啓子)
幼稚園の椅子の塗りたて春休み(海峰)

屋根越しに巨船の動く立夏かな(清吾)
ホットドッグの辛子がぽとり夏来る(布香)
ラッシュアワーになじまぬ身体四月尽(清吾)
椅子乗せて運ぶ机や百千鳥(秀子)
地下街に鳩迷ひ込む菜種梅雨(秀子)

クロールの息継ぎおぼえ花は葉に(海峰)
囀りの県境越えて届きをり(すずめ)
あるだけで潜り込みたき春炬燵(美雀)
三越に座す獅子の像春うれひ(啓子)
春塵や直立したる警備員(すずめ)
崩し字の「く」の字となりて鳥雲に(啓子)
わが背丈越せば子離れ緑さす(布香)
初燕パーカーの背は風孕み(秀子)
赴任地の坂のきつさよ鳥曇(清吾)
ひとり子の下校も一人麦の秋(美雀)
春の蚊や二度あたためて夫を待つ(洋子)
痛さうに堰を越えたる春の水(秀子)
有明のギロチン越せぬ鯥五郎(美雀)
人を待つ時の長さよ桜冷(莊太)
遠足やつるりとむける茹卵(洋子)
桜にも時宜あるらしく遅れけり(海峰)
待春の長靴好きでありしかな(美雀)
苗札の楷書や夫の定年後(洋子)

夏来る豆腐の角の男前(雄作)
紙風船つく度匂ふナフタリン(典子)

2016年4月23日
春陰やお薬手帳ふくらんで(布香)(共選)
全身の影になるまで耕せリ(啓子)

ボランティアに出勤簿ある四月馬鹿(美雀)
百までは生きると言うて耕せリ(啓子)
自転車で来て春風を撮りにけり(秀子)
朝桜こぢんまりした城浮かべ(秀子)

白南風や出番少なき置薬(布香)
放流のサイレン響く芽吹き山(秀子)
パレットに絵の具盛り上げ夏来たる(秀子)
胎に子をふたり宿して春日傘<(啓子)
薬局に象の置物初つばめ(清吾)
指されてもまた見失ふ揚げ雲雀(啓子)
葺き石の光る古墳や春の潮(清吾)
草若葉記憶の糸をたぐりては(木屋)
竹秋や石段に陽のまばらなる(栄樹)
スクリューの音に割られて花筏(清吾)
初夏やデッキブラシの水を切る(布香)
ジーンズの膝剥き出して木の芽時(木屋)
線路より雨の匂へる四月かな(栄樹)
キスのあと薬のにほふ春の闇(すずめ)
蠛蠓の無遠慮なるを叩かうか(美雀)
日だまりにゆるる猫の尾桜散る(一筋)
薬屋の軒から落ちて燕の子(清吾)
シーツ干す君の背伸びや風光る(一筋)
薬苦くてかの失恋を思ひ出す(一馬)

清明や水切り籠に皿伏せて(雄作)
たんぽぽは大地の言葉絮まんまる(典子)

2015年4月25日
真夜中の尿のせせらぐ夏はじめ(秀子)
バックトスの空に花びら流れをり(清吾)
新緑や水の重さの手漉き紙(秀子)
犬一匹売れ残りたる春の雷(海峰)

点描の絵にゐるごとし芝桜(清吾)(共選)
風薫る丸太の椅子の肌理細か(布香)
こでまりや単身寮に昼濯ぐ(清吾)」

春うらら消防署員は草むしり(海峰)
初夏や犬連れの人鵜飼に似(布香)
杉玉の色濃くなれりつばくらめ(清吾)
一鍬が入り筍かをりけり(美雀)
花は葉にベンチで食べるカツサンド(秀子)
ログハウス藤の花ごと売られあり(清吾)
目借時ことんことりと句読点(輝代)
筆圧の若き力や緑さす(美雀)
花守のつぶれ煙草を取り出せり(洋子)
ビルの灯の高層部ほど朧濃し(一筋)

夏めくや黒板消しを百叩き(雄作)
たんぽぽの張りつく土地の売られたる(典子)

2014年4月26日
花びらを窓にはりつけ消防車(海峰)
長男と浮子を見てゐる日永かな(清吾)
桜鯛料る無口な男かな(秀子)

覚悟して笑みし遺影や鳥雲に(美雀)
抱卵期ポストは手紙呑みこみて(秀子)
桜蘂降る繰返し読む手紙(秀子)
子等の来てながき一日豆の花(美雀)
ぶらんこに揺られてをりぬ宴あと(秀子)
鳥帰る島に一つの船泊(清吾)」

葉桜やコロッケを待つ人の列(布香)
春昼やコンテナ列車の長きこと(海峰)
五月闇資料増殖してをりぬ(布香)
物干にミニ鯉のぼり少し風(布香)
少年の足泥まみれ畦青む(洋子)
雲雀鳴く我が音域の遥か上(秀子)
麦青む理科のノートの一枚目(洋子)
青き踏む我等団塊肉食系(美雀)

春愁とは消しゴムのにほひほど(雄作)
男湯に石鹸とどく春の月(典子)

2013年4月27日
ぷつくりと肥るトマトも赤ん坊も(秀子)
レジの列読み間違へて四月尽(西港)

花韮や毎日母に朝が来て(秀子)
花冷えやずらしてつつむ薬包紙(木屋)
折り畳み自転車抱へ薄暑かな(布香)
行く春のためらひて押す消去キー(木屋)
パイ生地で包む求肥や春うらら(木屋)
海よりの風に抱かれて朝寝かな(西港)」

万愚節紙一枚の辞令受く(美雀)
山車蔵の錠解く音や龍天に(清吾)
摘草の爪の中まで緑色(美雀)
目薬の一滴はねるはたた神(洋子)
菜の花や鳥居に小石載せようか(西港)
回転扉からの微風と春日傘(西港)
スーさんの「釣りバカ日誌」春最中(清吾)
一人二粒とて廻り来る苺かな(布香)
初蝶や青き中央分離帯(洋子)

次男坊のやうに育ちて今年竹(雄作)
若葉光兄となる児を抱きにけり(典子)

2012年4月28日
耕人に空のがらんとしてゐたり(秀子)(共選)
清明や水を飛ばして河馬の耳(清吾)
古ひひな父の作りし笏を持ち(洋子)
老人に読む社説欄梅雨きざす(布香)
受験子に門まで父のついて来し(和夫)

海市ゆらゆらセンサーの微調整(秀子)(共選)
起き抜けに一杯の水霾積もる(木屋)
海鳥か光の粒か夕永し(秀子)」

風薫る箸の袋に一行詩(布香)
遺されし父の臍の緒亀鳴けり(啓子)
花の名を聞いては忘れ春惜しむ(秀子)
チノパンを返し縫ひして子供の日(美雀)
さくら咲くひざに大きな湿布薬(洋子)
春風や服に合はせるダイエット(美雀)
春宵の頭でくぐる縄のれん(和夫)
花吹雪工場の屋根の傾きに(海峰)
凧揚がる漁師の町に途中下車(西港)

花種を蒔くや指先よろこびて(雄作)
春灯の集積回路めく渋谷(典子)

2011年4月23日
原発に使ふ大鋸屑花の冷え(布香)(共選)
少年は老い堅香子は揺れてゐし(秀子)
雪柳子供仕様の木のベンチ(美雀)

野菜屑土に還して抱卵期(布香)
春泥の中にあれかし希望の芽(海峰)」

大鋸屑のほのと匂へり春の雨(美雀)
桜蕊降る呼び鈴の鳴りつづけ(秀子)
被災地へ空のつながる青葉風(美雀)
京町屋奥の奥へと初つばめ(西港)
パスポートの顏の十年花は葉に(布香)
血圧の折れ線グラフ花は葉に(海峰)
花まつり電子仕掛けの釈迦の声(洋子)
風になりたし藤房の丈そろひ(秀子)
さくら咲く億千万の星の数(木屋)
有刺鉄線錆びしむかうの苜蓿(啓子)
さくら咲き鹿児島行きの新幹線(英二)
孫の去りたる春宵のお菓子屑(博紀)

板前は笑はぬがよし初松魚(雄作)
みちのくに余震余寒のあまたたび(典子)


<2006年4月~2010年4月>
2010年4月24日
立夏はや言葉の遅き子を抱きて(美雀)
声かけて人を追ひ越す春の昼(布香)
「大極殿」落慶の日の草若葉(海峰)
花筏ペットボトルを取り囲む(布香)

てふてふや期限の切れしパスポート(秀子)(共選)
背伸びして電球換へる修司の忌(西港)
石割れば太古の魚夏初め(秀子)
車椅子の轍乾きて花は葉に(布香)」

もともとは六人家族柏餅(啓子)
藤に風こころ時々揺らしたき(秀子)
蜃気楼天から母の声がして(海峰)
春光や体温計が筆立てに(布香)
八重桜ふくれし餅のごときかな(木屋)
土筆のぶ洗ひざらしのスニーカー(洋子)
生家いま解体さるる立夏かな(啓子)
タクシーの中は禁煙修司の忌(西港)
貸しボート裏返されて花は葉に(美雀)

歯ブラシの色みな違ふ木の芽時(雄作)
大空に雲のシェルター鳥の恋(典子)

2009年4月25日
蕨にも隣近所のありにけり(美雀)
朝礼の社訓の唱和薄暑くる(海峰)
兄弟で九九をいい合ふ花の旅(海峰)

校舎てふ巣箱の中の入学児(木屋)
花散るや湖底に石を積みし跡(秀子)
横すべりさせる事務椅子夏きざす(布香)
巣籠の青鷺の木の揺れどほし(秀子)
初夏やオムレツの皿白にする(美雀)
一斉に帆を張る船や松の芯(啓子)」

焚口に陶の神様花の塵(秀子)
我儘も勝気もありし子猫かな(美雀)
捨印のわずかにぶれて花は葉に(布香)
白黒の木版となる鯉のぼり(啓子)
走り茶やひそかに聞きし父の恋(美雀)
電気屋の高き梯子や燕来る(啓子)
想い出を妻と語らう花桟敷(和夫)
中空を漂ふごとく桜散る(木屋)

さらさらとはゆかぬ血液ころもがへ(雄作)
六月のセロリ水より水の味(典子)

2008年4月26日
白雲の美しき国初燕(美雀)
改札の切符ぴょこんと立夏かな(布香)
掌にのせる地球儀鳥曇(サブリナ)
花過ぎや母と別れの握手して(布香)
緑さす禁煙の日々つづきけり(洋子)
葉桜の乱調とどく湖底まで(布香)

卯の花腐し二進法は苦手なり(布香)
シャガールの馬に翼や春の月(サブリナ)
麦星はノンちゃんの星桃子逝く(美雀)
第三種船舶試験燕くる(西港)
雲雀野や水とふ水の乱反射(サブリナ)」
万緑や王の古墳の暴かるる(啓子)
春愁や背のあからさま菩薩像(啓子)
薔薇一輪脈の乱れの始めなり(美雀)
花曇パソコンの字の誤変換(海峰)
月曜の朝の葉桜葉桜よ(西港)
ほほ紅を足して桜の下へかな(海峰)

古巣箱六年一組作なりし(雄作)
生ハムのスライスすけて花は葉に(典子)

2007年4月28日
花びらを浮かべて消火用バケツ(海峰)(共選)
父の日のベルト残れる父の部屋(洋子)

父母の対の位牌も朧なり(海峰)(共選)
げんげ田の大き看板サロンパス(布香)
初夏や土の器は水吸ひて(サブリナ)
全快のことさら青き豆の飯(啓子)
鳥の恋平和の像は掌を開く(サブリナ)」
少年の諍ひ夏の入日中(美雀)
夕凪や対馬山猫とふ気配(サブリナ)
逆上がり出来る子出来ぬ子春の暮(西港)
一斉につつじのつぼみ天狙ふ(木屋)
父の日や踵擦れたる靴ばかり(美雀)
花の下つま先立つて歩く犬(海峰)
春潮や卑弥呼の死者は対馬灘(木屋)
命名の読みのわからず月朧(西港)
東山魁夷の青や青葉風(布香)
老犬の愛想笑ひや杉花粉(美雀)
初夏や犬のしつぽの細き骨(布香)

鶏のけろつと産んであたたかし(雄作)
ががんぼのゆらり場末の蓄音機(典子)

2006年4月22日
ロッカーに置き傘二本春の宵(雄作)
蒔いたことなし銀行の花の種(雄作)
草餅や胡座に猫のどつしりと(豊)(共選)
芍薬の三日がかりの開花かな(海峰)
息吸へば手足の透ける木の芽雨(サブリナ)
折り返し電話ください花の冷(雄作)

石室の口開いている蝶の昼(サブリナ)
初蝶や補聴器の感度いっぱいに(豊)
自転車のペダルの重し霾ぐもり(サブリナ)
図鑑手に木々とかたらふ蝶の昼(悦子)
花冷や鉄羅漢てふ茶の香り(啓子)」
百円きりの路面電車と若葉風(布香)
スケッチの4B鉛筆白牡丹(西港)
船尾には妻の火振りや鮎を追ふ(美雀)
春疾風電話のベルの鳴りわたり(木屋)
帆船の集ふ街なり夏隣(布香)
風光る弘法市の青き壷(きよし)
制服の児がちりぢりに春の雷(啓子)
夏めくやサンドイッチの芥子効き(雄作)
心臓に四つの小部屋花水木(雄作)



<2002年4月~2005年4月>
2002年4月27日
通天閣遠足の列呑みきれず(雄作)
象舎へと朧そろそろ還るころ(雄作)
ここまでが春の川なり毛馬の堰(布香)
娶らざる彼奴に仔猫なつきをり(雄作)
春風が絵馬鳴らしをり奥の院(西港)
恋を知りそめし匂ひの捕虫網(雄作)

(大島雄作選、その他の佳句)
木の瘤になりきる野鳩春うらら(美雀)
春風や座席のへこみに掌を当てる(西港)
揚げ雲雀電話半日鳴らぬ日の(サブリナ)
残雪や夜行列車の通過音(西港)
ランドセル二頭身なり入学児(青鵬)
春昼の血流少しとどこほり(サブリナ)
雷明けの木々の緑が列をなす(北勇)
朝市や三尺四方の鹿尾菜売り(青鵬)
晴れた日の風船の舞ふ甲子園(海峰)
雑念の水に集まる花筏(悦子)
葉桜や膝を机にメモを取る(松ちゃん)

2003年4月26日
がうがうと暗渠流るる夜の桜(サブリナ)
連翹に見えかくれするランドセル(洋子)
花疲れ相合傘を強ひらるる(西港)
青饅や水に流せぬことひとつ(豊)
新緑の屋根裏部屋に少女ゐて(サブリナ)
花冷やボトルシップの傾きて(布香)

ひと流れしてまた止まる花筏(布香)
流水に新玉葱の白きりり(海峰)
行く春の雨とおぼえし睫毛かな(美雀)
ジーンズを干す春の空ひろげけり(海鋒)
麦の秋島の天辺まで畑(豊)
押し通す春の茶会の自分流(平助)
春惜しむ流れに静かなる芥(きよし)
山鳩の巣を作りゐる日和かな(翔)
若葉待つ樹々の向かうの花三分(木谷)
二の腕にパッチテストの桜冷(松ちゃん)

2004年4月24日
雨ののち晴の一気に巣立鳥(雄作)
白つつじ香具師ことごとく消えにけり(西港)
公園の女子と男子と花李(サブリナ)
水音のする方角に夏燕(西港)
紙魚走るコミック本を動かせば(布香)
飛花落花一生分の反古の嵩(サブリナ)

トンネルへ落花巻き込むオートバイ(サブリナ)
カーテンを真白く洗ひ木の芽風(海峰)
聖五月十穀味噌の届く頃(布香)
魚跳ねる音に目の行く朧かな(西港)
モノクロの写真に家族花大根(サブリナ)」
万華鏡明日の春が見えるはず(きよし)
川風を腹一杯に布の鯉(美雀)
はるかなる櫻へ試歩の一歩づつ(きよし)
葉桜やヨガの呼吸の口あけて(翔)
水音の明るき朝や巣立鳥(雄作)
汐まねき振るたび鋏太くなる(雄作)
てふてふや連絡網に一人増え(雄作)
つかみゐし蝶がだんだん恐くなる(典子)

2005年4月23日
八咫烏となりて海市を見にゆかむ(雄作)
四万十の川風旨し鯉のぼり(雄作)
すかんぽや輪中の外を知らぬ犬(雄作)
ごみ箱の中は空っぽ花は葉に(布香)(共選)
うで卵つるんとむけて山笑ふ(啓子)(共選)
花虻の複眼エンピツの芯ばかり(海峰)

三輪車こぐ踝の春の泥(啓子)
生家いま看取りの家や豆の花(サブリナ)
果実酒にコルク片うく薄暑かな(布香)」
悉く吹く風呑めり鯉幟(きよし)
輪の中はイカサマ将棋花三分(西港)
愛ひとつ花の中より毛虫出づ(サブリナ)
たんぽぽとなる竹コプターが根をはやし(洋子)
楽聖の肖絵のならぶ青葉冷(雄作)
ラディッシュの輪切を散らす暮春かな(典子)
スリッパを戻して歯科の風信子(典子)

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