期限切れの青春きっぷ花は葉に(布香)
駄菓子屋は十円単位百千鳥(布香)
血圧の限度ぎりぎり春の雷(海峰)
スキップに揺るる名札や風光る(啓子)
幼稚園の椅子の塗りたて春休み(海峰)
屋根越しに巨船の動く立夏かな(清吾)
ホットドッグの辛子がぽとり夏来る(布香)
ラッシュアワーになじまぬ身体四月尽(清吾)
椅子乗せて運ぶ机や百千鳥(秀子)
地下街に鳩迷ひ込む菜種梅雨(秀子)
クロールの息継ぎおぼえ花は葉に(海峰)
囀りの県境越えて届きをり(すずめ)
あるだけで潜り込みたき春炬燵(美雀)
三越に座す獅子の像春うれひ(啓子)
春塵や直立したる警備員(すずめ)
崩し字の「く」の字となりて鳥雲に(啓子)
わが背丈越せば子離れ緑さす(布香)
初燕パーカーの背は風孕み(秀子)
赴任地の坂のきつさよ鳥曇(清吾)
ひとり子の下校も一人麦の秋(美雀)
春の蚊や二度あたためて夫を待つ(洋子)
痛さうに堰を越えたる春の水(秀子)
有明のギロチン越せぬ鯥五郎(美雀)
人を待つ時の長さよ桜冷(莊太)
遠足やつるりとむける茹卵(洋子)
桜にも時宜あるらしく遅れけり(海峰)
待春の長靴好きでありしかな(美雀)
苗札の楷書や夫の定年後(洋子)
夏来る豆腐の角の男前(雄作)
紙風船つく度匂ふナフタリン(典子)