<5月>

<2011年5月~2021年5月>
2021年5月24日
◎母の日やすこし大きな玉結び(ふく)
 青葉風サイクリストのふくらはぎ(真弓)
 家並みの途切れて青田また青田(らてん)
 一人寝の夜おそろしき牛蛙(凡)
 五月雨のラジオ玄米茶はぬるめ(乃々)
 二限目の音楽室を若葉風(らてん)

 ビー玉を夏の引き出しからふたつ(真弓)
 カンカン石鳴れば身じろぐ夏の月(典子) 
 人を恨めばはらはらと楝散る(典子) 
 あめんぼのあめんぼなりの水輪かな(らてん) 
 花茣蓙にひかりのあたるひとところ(らてん) 
 梅雨晴や缶詰パンを買つてみる(ふく)
 待針の玉のつめたき青葉雨(典子)
 無人駅となる月見草ゆれて(典子)
 昨日とは違ふ風向き夏が来る(真弓)
 月涼し開けてしまほか玉手箱(らてん) 
 はつ夏ヤ予防接種の針長し(ふく) 
 当たり前に咲く鳶尾や母老いて(乃々) 
 新緑や鬼三人の鬼ごつこ(りん) 
 島の朝ここそこあそこと時鳥(凡) 
 三脚を浅瀬にぬらし赤しようびん(典子)
 小満の雨音川の字の姉妹(ふく)
 背伸びして頭が触れる夏の空(真弓)
 立話横目に過ぎて額の花(真弓)
 起きねばとうとうと外は夏兆す(乃々)
 街灯のてつぺんに鳩走り梅雨(真弓)
 夕焼空たぶんはじめて笑つた日(ふく)
 原爆忌家路を急ぐ父の事(凡)
 亀鳴くや少年Aといふ無言(乃々)
 二個でいいコロッケ並び買ふ薄暑(りん)
 かいつぶり水玉踊る背に子供(凡)
 太陽の熱を吸込み蟻の列(ふく)

2020年5月26日
切り傷は深くて潔くて夏(ふく)
朝涼や目の奥のもの映る空(真弓)
紫陽花の縁より晴れてゆくこころ(ふく)
まだ少し他人行儀で額の花(真弓)
休園のキリンの首が青葉ごし(典子)
ハンカチの木の花面会は謝絶(らてん)」

枇杷の種うはさ脚色されてをり(典子)
シャッターの裾の錆色夏に入る(典子)
初夏の二の腕やはらかく伸びる(ふく)
この川の今をいただく鮎の膳(らてん)
ハンカチの木の花面会は謝絶(らてん)
婆ちやんに少しぬるめにして新茶(らてん)

疫病の長引く松の芯立てり(典子)
朝涼や目の奥のもの映る空(真弓)
まだ少し他人行儀で額の花(真弓)
休園のキリンの首が青葉ごし(典子)
陸橋の手摺つめたき青葉の夜(典子)
枇杷の種うはさ脚色されてをり(典子)

休園のキリンの首が青葉ごし(典子)
初夏の二の腕やはらかく伸びる(ふく)
まだ少し他人行儀で額の花(真弓)
金魚金魚水のかたちを変へてゆけ(ふく)
枇杷の種うはさ脚色されてをり(典子)
切り傷は深くて潔くて夏(ふく)

陸続と子亀の群れて春の潮(恒義)
水たまりに閉じ込められて新樹かな(真弓)
一村の一日にして大代田(らてん)

2019年5月25日
マタニティマーク揺らして茅の輪かな(美雀)
軽鳧の子を川へ導く警備員(清吾)
八朔むく指に力の戻りけり(布香)
太宰忌の首なき豚の吊られけり(すずめ)
若者の肋の浮いて川遊び(洋子)
入梅や海苔工場に線路跡(布香)
金も名も残さず烏瓜の花(清吾)
若夏や酢味噌で和ふる豚の耳(清吾)
黒揚羽入場待ちの列揺るぶ(啓子)」
鞴にも神宿りをり木下闇(莊太)
高校の恩師はシスター海芋咲く(美雀)
口縄に譬へる坂や油照(莊太)
折り紙に山や谷あり武者兜(美雀)
大学に手押しのポンプ若葉風(洋子)
水準器買つてやらうか蜘蛛の糸(美雀)
額の花御朱印帳の太き文字(啓子)
足跡が園にいつぱい夏の蝶(すずめ)
雲の峰蛇口の水をがばがばと(啓子)
アトピーの子の首冷やす岩清水(清吾)
桜の実ほとほとこぼれ天主堂(啓子)
蚊遣豚父子の相似のうつぶせ寝(布香)
小満や意外に大き豚の耳(莊太)
目覚ましの前に覚めゐる夏暁(海峰)
坂のぼり切つたる喉ソーダ水(すずめ)
メイストーム子供は母にはりついて(海峰)
雨戸引くこつが分からぬ実梅どき(布香)
豚の貯金箱一杯になり夏休(洋子)
豚汁や夏合宿の一日目(雄作)
父の日の缶チューハイと豚キムチ(典子)
2018年5月26日
父の日のすることもなく父とゐる(美雀)
門柱に表札の跡南風吹く(布香)(共選)
家系図は五代前まで麦の秋(莊太)
葉桜や我は我はとまた言へり(洋子)


昨日より今日は良き日や胡瓜揉む(美雀)
この家もいつか空つぽ蝸牛(美雀)(共選)
雲の峰夫にも捨てし夢あらむ(布香)」


どくだみの束で干さるる勝手口(布香)
十薬や仏壇のない家に住み(海峰)
構ふなと言つてゐるのか蟇(莊太)
宇治川の黒々流れ梅雨に入る(秀子)
傾きたるままのシーソー春惜しむ(すずめ)
半地下の店のジャズ洩れ走り梅雨(布香)
木の匂ひ押し寄せてくる立夏かな(海峰)
梅雨寒や天井板に輪染み浮く(莊太)
母と祖母の背中よく似て夕端居(秀子)
男の鎖骨くつきり浮いて荒神輿(秀子)
ギンガムの卓布ふはりと夏の朝(布香)
梅雨寒し無人運転電車行く(莊太)
梨咲いて家の裏側やや暗し(秀子)
麻服ばりり片手に文庫本(海峰)
ちょこまかと動く幹事や生ビール(すずめ)
無人駅の鏡横切る瑠璃蜥蜴(秀子)
青々と夜の芍薬発光す(秀子)

家苞のはずの地麦酒取り出せり(雄作)
雑談で終はる往診麦の秋(典子)
2017年5月27日
薫風やあんこ形ゐる紙相撲(莊太)(共選)
女車夫西日を髪に束ねたる(茂)
代書屋に廃業の紙夏来る(美雀)

籐椅子の父の形の上に座す(美雀)(共選)
朝涼や和紙に草の葉漉き込まれ(秀子)
リール巻く傍に青鷺従へて(清吾)
夏めくやなにはともあれ腕まくり(啓子)
パスタより獰猛な湯気五月祭(すずめ)

まるめたる紙のほどけて梅雨湿り(秀子)
開け放つ書店の扉薄暑光(莊太)
狛犬へ会釈をしたる日傘かな(すずめ)
雑巾を握りしままに三尺寝(茂)
紙芝居思ひ思ひに夏帽子(莊太)
水替へて赤の鋭き金魚鉢(啓子)
包み紙ほどく楽しさ若葉風(秀子)
憲法記念日フランスパンを丸かじり(すずめ)
夏めくやまづ型紙を布にのせ(秀子)
荒野めく畳しづかに紙魚のゆく(すずめ)
うす紙のつつむ真紅の薔薇一輪(秀子)
実梅入るアラビア文字の紙袋(茂)
蟇昨日も今日もそこにゐて(洋子)
裏表紙に残るメモ書き遠花火(莊太)
たて笛の指の運びやアマリリス(啓子)
足袋小鉤七枚留むる祭かな(清吾)
蜜豆や男先生女子高に(美雀)
朝曇がりと殻噛む卵めし(莊太)
砂浜に書かれし絵文字日の盛り(布香)
新聞の夏の星座の切り抜かる(啓子)

かき氷斜塔のごとく運ばるる(雄作)
宅配の台車が通る柿若葉(典子)

2016年5月28日
掛軸の鯉の目をむく夏座敷(清吾)
明け渡す家に残して袋蜘蛛(啓子)(共選)
鵜の貌の険しくなりし川開き(美雀)
鳰の海遠くにのぞみ麦の秋(碧)

大陸は父の青春夏の空(海峰)
卯の花腐し鍵を三つも掛ける家(美雀)
初夏の手製チャーハンひよこ色(すずめ)

淡竹の子皮がわづかに湿りたり(碧)
夏に入るシェフの帽子のまつすぐに(啓子)
父母の齢も超えて蚊遣香(啓子)
南風やコントラバスの音は黒(木屋)
敷石の形浮かぶや走り梅雨(布香)
緑さす足湯ことりと寝てしまふ(秀子)
あぶらとり使ふ少年夏来たる(布香)
夏霧の海より湧きて上陸す(啓子)
透きとほるうぶげの少女花蜜柑(美雀)
朝ごとの陽は生まれたて夏怒濤(秀子)
陸上のトラックに犬走り梅雨(布香)
ライトアツプの城が正面ビール干す(清吾)
鳴りひびく下校の鐘や麦の秋(洋子)
夏痩せにそなへてチョコをひとかじり(碧)
子の髪を一つにたばぬ夏はじめ(洋子)
乗る時は裸足となりて丸木舟(秀子)
嫁がぬと決めるは早し桐の花(美雀)
胸に毛の生えし子と風呂端午の日(すずめ)
踏切に待たされてゐる夕薄暑(洋子)
日盛りや地を引き剥がすごと離陸(秀子)
ラジカセの落語を聴きしまま昼寝(すずめ)
大陸からちぎれた日本星涼し(美雀)

弱冷房車タイガース負けたらし(雄作)
棕櫚の木は村の日時計みなみ風(典子)

2015年5月23日
涼風や粋といふ字に米のあり(布香)
舟虫の砂鉄のやうに動きけり(布香)(共選)
豆絞り粋に巻けずよ祭笛(清吾)
粋であれ酔狂であれこの夏野(輝代)
蛇泳ぐ動く歩道に乗りしごと(布香)

夕虹に音符をのせてみたきかな(布香)(共選)
先生の最後に拭ふ泥植田(清吾)
湖の空ひろびろと衣更(秀子)
夕凪や波を鎮めてゐる鷗(秀子)
花桐や廃墟ホテルの消火栓(輝代)」

生粋の船場言葉や祭鱧(秀子)
バス停のちと面映ゆき帰省かな(清吾)
雨靴の枝に干されて麦の秋(美雀)
小児科の壁にシャガール西日さす(清吾)
菖蒲園不粋なほどに空晴れて(秀子)
粋な背は外国人や鮨を食む(一筋)
海開き同時に僕の趣味開き(竜平)

一八や生家の畳ざつと拭き(雄作)
巣つばめが留守ばん村の何でも屋(典子)

2014年5月24日
汗ばみて三部複写の報告書(布香)
父の日の今日は迷子の心持(美雀)
籐椅子に透明人間寝てゐさう(布香)
梅雨闇や鼻から入るる内視鏡(清吾)
木曽檜駅につまれて麦熟るる(洋子)
内緒ならなほ聞きたくて九輪草(美雀)

稜線を越え来たる風夏料理(清吾)
本日の血圧上々若葉風(海峰)
白樺に掛けてみたしよ薄衣(秀子)
青梅を拾ひつくして内気な子(秀子)
これはあの鬱でありし日の香水(秀子)
スプーンの花の線刻みどりの夜(秀子)」

内示出て地図買ひにゆく夏日影(布香)
好きなだけ遊ぶ空あり夏つばめ(美雀)
蜜豆や残り時間をまた減らし(秀子)
陸続と闇より生るる灯虫かな(清吾)
石落とし確かむる井戸薄暑くる(布香)

焼けぼつくひにまたしても螢の火(雄作)
葉桜やそろそろ切れる歯の麻酔(典子)

2013年5月25日
ランドセル置いておほばこ相撲かな(清吾)
夕薄暑のぞいて帰るそうざい屋(洋子)
もたもたと改札通る走り梅雨(洋子)

うつ伏せに寝る癖今も蚊遣豚(布香)(共選)
向日葵や己が体の傾ぎ癖(秀子)
新聞に包む花屑原爆忌(布香)
夏めくや水を積み込む消防車(秀子)」

毛刈りすむ羊大きな臍をもつ(美雀)
分母より分子重たき罌粟坊主(茂)
少し反る刀の峰や夏兆す(木屋)
閉店の貼紙ふるぶ大西日(清吾)
工場に線路跡あり夏日影(布香)
薔薇一輪辺りの赤を吸ひ尽し(木屋)
この坂は海のにほひや夏の月(美雀)
飛び魚を次の波にて待つこころ(茂)
妹の父似の癖字さくらんぼ(美雀)
立つきつかけは夏みかん放り投げ(茂)

若竹の少しく右に曲る癖(雄作)
遠蛙田をしめらせてゆくごとし(典子)

2012年5月26日
これつつじ萎れず散つてはくれまいか(清吾)
不器量の順に出目金売れにけり(布香)
ゆすらうめ遠回りして訪ふ母校(啓子)
幾重にも風折りたたむ青田かな(秀子)

鉄橋の日差刻んで夏に入る(布香)
麦秋や舌に儚き砂糖菓子(秀子)」

黒牛の尾骨とがりて麦の秋(啓子)
絵具の尻巻いて描きつぐ麦の秋(美雀)
夕暮は書き入れ時と夏燕(木屋)
踏みしだく夏草匂ふ轍かな(美雀)
岩にかへりつつある羅漢草茂る(洋子)
青年の脇腹昏し夏薊(秀子)
紫陽花は水の器と思ひけり(布香)
器楽部にも夏の夢ある甲子園(清吾)
緑陰に家庭画報を持つたまま(洋子)
夏人参並べる今朝の新聞紙(美雀)
ジェット機の合間のセスナ夏に入る(木屋)

手のひらはかしこき器泉汲む(雄作)
十薬の花裏道の匂ひせり(典子)

2011年5月28日
朝ぐもり檻のゴリラの呼吸音(秀子)(共選)
梅雨寒し母の呼吸に付き添ひて(布香)
安曇野へ乗りかへ二分そばの花(洋子)

夕端居身体が老いに馴染むまで(秀子)(共選)
万緑や横隔膜を押し上げて(秀子)
射干や日差にとける天主堂(洋子)」

万緑や吸ふ吸ふ吐くのラマーズ法(美雀)
梅雨に入る還暦記念写真なり(海峰)
ノラ猫をどくだみの野へ追っ払ふ(布香)
笙の音を風に合はせる竹落葉(秀子)
家の鍵なくし卯の花腐しかな(美雀)
吸い殻にのこる口紅蛇の衣(木屋)
射干や舞踊の足袋に穴あいて(洋子)
猫の尾の直角に立つ梅雨晴れ間(海峰)
ドーナツ屋の幟はためく五月かな(木屋)
かつて海なりし空港梅雨に入る(布香)
人波の暑さよ新装梅田駅(英二)

吸殻のくの字ばかりや梅雨の底(雄作)
吸呑みのけふは新茶のうすみどり(典子)


<2006年5月~2010年5月>
2010年5月22日
前にしか行かぬ生き方蝸牛(美雀)
夕涼みコウノトリにも家族ゐて(西港)
母の日のカーネーションの白となる(海峰)

日日草咲かせ全き母の老い(秀子)
新緑や認知症父の笑ひ声(海峰)
夕立を弾いてゼブラゾーンの白(秀子)」

花空木ほどよき距離をコウノトリ(布香)
満目の緑胃袋健やかに(秀子)
初夏の売切れボタン点滅す(木屋)
絵扇や誰も喋らぬ四人席(西港)
百年の切株朽ちて花あざみ(洋子)
陶工の丸きめがねや泥鰌汁(美雀)
田植花いらかに鷺のみはり番(洋子)
青鷺に縄張りのあり田植花(美雀)
こうのとりのクラッタリングや夏来る(布香)
青鷺の衛兵のごと並びけり(木屋)
著莪の花紅さす時の笑ひ口(啓子)

水音のころころ蜻蛉つながれる(雄作)
空木咲き鳥のもやうのマンホール(典子)

2009年5月23日
黒揚羽ゆるく空気を掻きまぜて(秀子)(共選)
定位置に工具戻らぬ五月闇(布香)(共選)
島に啼く夏うぐひすの正統派(啓子)

透かしては破る封筒薄暑かな(布香)(共選)
海桐咲く湾に一つの定置網(啓子)(共選)
梅花藻や催眠術にかかりさう(布香)
七月のサプリメントはしづく形(布香)」

病みし肺薫風の中一休み(木屋)
工作はいつも一番麦こがし(美雀)
新樹光旅行鞄にころ付いて(秀子)
鯉のぼりタンスの上で休みけり(和夫)
カーネーション母の遺影の見えぬ程(海峰)
夏来る駅のベンチに文庫本(西港)
語ること何も無き日の薔薇茶かな(美雀)
マスクしてマスク買ふ列夏木立(洋子)
聞き逃す父母の馴初め落し文(洋子)
遠雷に足湯の足を庇ひけり(西港)

外寝して尾崎豊が聞こえくる(雄作)
蚊柱の立つ看板に由美かおる(典子)

2008年5月24日
夕凪やがつぷり四つの紙ずもう(布香)
三伏や足場かけられ聖母像(啓子)(共選)
木橋の名うすれてをりぬ著莪の花(啓子)
兄の鵜が先に潜りし鵜飼かな(美雀)

森の毒吐き出してゐる蝮草(美雀)
枇杷の種大きな夢のありし頃(布香)
朝礼の三分スピーチ麦の秋(西港)
雑然として故郷の涼しさよ(サブリナ)」
茄子苗のすでに紫紺の強さかな(啓子)
海酸漿鳴らして海の遠ざかる(サブリナ)
走り梅雨くせ毛の髪の踊り出す(布香)
空模様映して広き代田かな(木屋)
葭切の鳴く方へ寄る手漕ぎ舟(美雀)
携帯をはなさず歩く夏ブーツ(洋子)
人声の絶えて鈴なりさくらんぼ(サブリナ)
礼拝の型より入る祭足袋(美雀)
何もない広間ぽつんと夏帽子(西港)

泰山木咲くや大志はもう抱かぬ(雄作)
緑陰に寄るや高島屋の袋(典子)

2007年5月26日
道場の雑巾がけや夏燕(西港)(共選)
みどり児の睡蓮のごと目覚めけり(美雀)
白南風やしゃりしゃりと鳴るブラインド(布香)
遙かなる山へ一歩の山法師(洋子)

八月や脚立は影の上に立ち(サブリナ)
指で押す目蓋の疲れみどりの夜(サブリナ)
団扇古りへなへなの風私生活(サブリナ)
水を打つ大漁旗の活魚店(啓子)」
短夜や運針習ふ膝小僧(美雀)
薔薇園をふためぐりして薔薇を見ず(西港)
五月雨や地下の深みに活断層(木屋)
言い訳は断じてせぬと夏薊(啓子)
双の眼を逸さぬ蛇の真昼かな(美雀)
桟橋にロープを飛ばす立夏かな(啓子)
海棠やかくしゃくとして下足番(布香)
代掻きの田に加はりぬ鷺の白(啓子)
満天星やゆっくり回るオルゴール(布香)
雨蛙ひとみの先の閻魔堂(木屋)
青林檎投げ合ひ日活映画かな(雄作)
接岸のロープを固く梅雨に入る(典子)

2006年5月27日
にっぽんの臍をくすぐる田植かな(雄作)
豆飯を好きと言ふひと信じけり(雄作)
軽鴨の田に働くはあそぶこと(雄作)
砂時計の安息角や驟雨来る(布香)
よく喋る床屋のおやじ梅雨の晴(西港)
美術館出て敷石の夕立痕(啓子)

野良猫のゆるりと過る夏座敷(豊)
葉桜の葉のみつしりと更年期(サブリナ)
撫でさせてもらふ丸刈り柿若葉(サブリナ)」
蕎麦猪口の並ぶ窓辺や夏燕(布香)
蕎麦枕涼しき音のつまりたる(サブリナ)
故郷の粽ひとりで食べ余し(木屋)
夕風や窓に張り付く雨蛙(洋子)
白黒のテレビ来し日のアマリリス(豊)
紙魚喰ひし父の遺愛の軸かけて(悦子)
緑蔭や古式どほりに弓を射る(美雀)
藤の花命ふたつを照らしけり(きよし)
噴水や待ち人の来ぬ貌ばかり(雄作)
梅雨に入る駅の柱の非常ベル(典子)


<2002年5月~2005年5月>
2002年5月25日
青梅雨の机の上にもの溢れ(サブリナ)
まだ残る机のキズや麦酒飲む(西港)
金魚玉返事しにくいこと訊いて(サブリナ)
亡き父の机の染みに春日さす(海峰)
どこまでも妹送る寒い梅雨(サブリナ)
母の日にうなずくだけの電話する(西港)

葵祭り官女役
白塗りを落して初夏の吾子となる(美雀)
宿便の大群出でて昼寝かな>(西港)
青嵐真只中に少年A>(布香)
馬鈴薯は競うでもなく花一面(美雀)
給湯の温度を下げた日の燕(海峰)
枕木にうすれし数字走り梅雨>(布香)
足十本一人前に蛍烏賊(海峰)
片足で首掻くインコ走り梅雨(松ちゃん)

2003年5月24日
飛魚のよく飛ぶ海の祭かな(雄作)
美術館も昼餉のにほひ額の花(サブリナ)
大空へポンと吐き出す枇杷の種(豊)
新緑や私を振った人の街(西港)
けんけんぱのスカートひらり樟若葉(美雀)
取り出して鳥類図鑑黴臭し(サブリナ)

裸子の声はりあげて名告るなり(サブリナ)
梅雨晴のほっぺたサクマドロップス(豊)
燕来て雨空厚くなりゆけり(きよし)
メイストーム忽ち暗き美術館(海鋒)
回廊に黒き犬ゐて走り梅雨(布香)
むくげ咲くまだ見ぬ慶州仏国寺(きよし)
水無月や太郎次郎は水車の名(翔)
このデモは何の日のため百日紅(西港)
田水張りマグカップなど供え物(洋子)
蝸牛弔旗の角を立ててをり(雄作)
あかときの星に力や青葉木菟(雄作)
傘を干すあひまあひまの祭笛(松ちゃん)

2004年5月22日
年輪にかすかな起伏蟻の列(雄作)
でで虫の後退せぬと決めてをり(布香)(共選)
父母のほとりにありて藍浴衣(サブリナ)(共選)
両膝を両手で撫でて梅雨に入る(西港)(共選)
遠郭公足のかたちに靴なじみ(雄作)
白牡丹ぐづぐづとまだ畢らざる(雄作)

影踏みの影くつきりと麦の秋(美雀)
ハイビスカス舳先は海へ向いてをり(西港)」
椎の花気ままに山をふくらませ(きよし)
一つずつ粽まく手の皺深し(洋子)
紅茶の葉沈むまで待つ合歓の花(海峰)
俯瞰せし万緑はみな力瘤(布香)
内海の白き航跡夏近し(木谷)
如何にせむ馬のあばるる夏祭(翔)
くつずれやもみじ若葉が目にしみて(悦子)
沙羅の花ふつとよぎりぬ母の顔(海峰)
残雪の立山が今目の前に(狐狸庵)
背伸びして人を待つらし夏椿(美雀)
泰山木白し昨日の空割りて(サブリナ)
ががんぼの一人遊びを放つておく(典子)

2005年5月28日
新聞紙の湿る筍渡さるる(サブリナ)(共選)
保健室からの若葉がおいしそう(雄作)
跳ね橋のはじめぴくんと夏燕(雄作)
親指で腹割く鰯半夏生(布香)
苗売りの車通りし授業中(美雀)
かき氷夕焼け色の溶けやすし(雄作)

葉桜の空に渡して足場板(サブリナ)
まな板に青き菜のあと立夏かな(サブリナ)
マンモスの今もどこかに花氷(布香)
宙に浮く渡り廊下や若葉冷(布香)
天の川すいと渡れる水の嵩(サブリナ)」
初夏や複々線に陽のあたる(西港)
幼子の疲れて眠る夏帽子(木屋)
糸とんぼついついついと橋渡る(美雀)
初夏の風の諫早静雄の碑(きよし)
汐風の女神大橋夏きざす(啓子)
夕立の渡り切つたる天満橋(雄作)
萍や鯉の青空なくなりぬ(雄作)
代掻くやひかりを鎮めゆくやうに(典子)

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