夏燕酒屋を出たり入つたり(洋子)
おほぶりに切る杣人の夏料理(啓子)(共選)
孑孑の身の丈ほどの沈みやう(美雀)
勝手口より出でてほとほと実梅落つ(啓子)
オロナインの鉄の看板西日さす(木屋)(共選)
朝曇まづは冷たき水を飲む(布香)
蝉時雨電車のドアの開くたび(秀子)
八つ橋の池わたくしす通し鴨(清吾)
明日への舵輪のごとく時計草(清吾)
相づちも適当になりソーダ水(美雀)
小さき子の願ひに撓む笹飾り(啓子)
裏山に天狗の棲むや床涼し(海峰)
車座の一挙に崩れ大百足(啓子)
新緑や子は片言の二ヶ国語(布香)
稚児車風は前から後ろから(美雀)
背筋びしつと麻朊の男なり(布香)
梅雨出水鰐は大口ぐあと開け(木屋)
黒靴を磨きそろへて原爆忌(洋子)
合歓のはな墓の童女に草さはる(秀子)
いろあせて読めぬ立て札青薄(すずめ)
マニ車回して雨を乞ふ人よ(海峰)
白きものわき上がりては田水沸く(碧)
百物語髪をいぢつてゐるをんな(すずめ)
昼寝覚めやつと帰つてきた心地(秀子)
手術室より父戻る夕焼中(清吾)
折り畳み傘に折り皺つばくらめ(木屋)
噴水の最後は頂だけになり(秀子)
曇る池にも青山として映り(碧)
はたた神コップの水の震へをり(雄作)
おほばこの花に目がゆく気鬱かな(典子)