<6月>

<2011年6月~2020年6月>

2021年6月19日
 転がってゐる蚊の脚のまだふるへ(ふく)
 ともかくも金魚の水は替えにけり(らてん)
 赤ん坊のひざにはゑくぼさくらんぼ(ふく)
 何もない一日だつた鰻食ふ(真弓)
 嬰児のとくと見上ぐる樟若葉(ふく)
 縁側の蜘蛛は閑かに山の寺(乃々)
 日常は水のごとしや胡瓜もみ(典子) 
 七曜のない暮らしあり仏桑花(らてん)
 珈琲を正しく淹れる梅雨の朝(真弓)
 廃炉水すれすれに翔ぶ夏つばめ(典子)
 お守りの金糸のほつれ夏の雲(典子)
 子の臍のへこみつつあり夏の夕(ふく)
 花火果て闇の匂の弥増せり(典子)
 白薔薇や女性ホルモン微増の夜(真弓)
 空白の増えし手帳や髪洗ふ(乃々)
 髪洗ふ捨てられぬものひとつ増え(らてん)
 しなやかな骨格包み夏の朊(真弓)
 風呂ふたのふち欠けてをり夏至の夜(真弓)
 里帰りするかしないか冷素麺(ふく)
 少年の傾いで眠る夏電車(乃々)
 あまやかな雨に古りゆく梅酒かな(らてん)
 紫陽花や花の数だけ刻の渦(りん)
 ひあわひを白雨叩く鯵フライ(らてん)
 夏安吾や虫刺されのみ増えてゐて(ふく)
 一人飲む麦酒の苦き泡の肌理(りん)

2020年6月29日
 犬よりも雲を飼いたい夏休み(真弓)
 ふくらみし注射の跡や熱帯夜(ふく)
 グッピーや面会時間すぐ過ぎて(典子)
 雹降って魚の目玉のやうなもの(典子)
 手加減のなき父の球夏の雲(典子)《

◎濃紺に染まりし夏の宵の雲(ふく)
 京に来て昼餉夕餉に祭鱧(らてん)
 生類をあわれみつつも初松魚(らてん)
 歩行器に預くるおもみ五月晴(ふく)
 まんまるの紫陽花空に放り投げ(ふく)
 手加減のなき父の球夏の雲(典子)
◎手加減のなき父の球夏の雲(典子)
 カルメラのかたき泡立雲の峰(典子)
 側溝をすすむ少年夏ゆふべ(ふく)
 雹降って魚の目玉のやうなもの(典子)
 ひかがみに小さな黒子サンドレス(らてん)
 尾根歩き頭上に迫る雲の峰(凡)
◎手加減のなき父の球夏の雲(典子)
 カルメラのかたき泡立雲の峰(典子)
 側溝をすすむ少年夏ゆふべ(ふく)
 テロメアの残りの長さ合歓の花(真弓)
 梅花藻の揺れる清水を生簀にも(凡)
 雹降って魚の目玉のやうなもの(典子)
◎雹降って魚の目玉のやうなもの(典子)
 犬よりも雲を飼いたい夏休(真弓)
 カルメラのかたき泡立雲の峰(典子)
 テロメアの残りの長さ合歓の花(真弓)
 ひかがみに小さな黒子サンドレス(らてん)
 山滴る傘寿の父の自撮り顔(真弓)《

夏休絵地図にどんと僕の家(すずめ)
白南風や樽転がせば木の香立ち(布香)(共選)
水の漏る樽は薪にはたた神(美雀)

山開き焼き印しるき樽割つて(清吾)
区役所の国旗垂れたり朝曇(すずめ)
夫いつも眼鏡探して熱帯夜(布香)
白南風やジャムに陶器の匙そへて(布香)《

駐車場となりし隣家や月見草(清吾)
ジルバまで終へし講習巴里祭(清吾)
夏の夜のバーから歌が洩れてゐる(すずめ)
翌日は池に放たれくづ金魚(布香)
昼顔や線路工事の音ひびき(洋子)
大海を知らぬ養殖鰻食ぶ(海峰)
はんざきの屁ひとつか泥ぼこり(美雀)
涼やかに時を待ちをるワイン樽(すずめ)
黒南風やホルムズ海峡へとタンカー(洋子)
樽神輿漆喰白き梲かな(清吾)
夏帽子上手に老いてバスの席(海峰)
半額のおにぎり齧る梅雨の底(すずめ)
シスターがパンを抱えて夏木立(美雀)
酒樽に神棲むといふ夏霞(布香)
夕立の過ぎれば妻の愚痴も止む(清吾)

薦樽の銘ひろひ読む夏祓(雄作)
陶枕になまくら頭置きにけり(典子)

2018年6月23日
緑蔭や香具師のトラック窓開けて(清吾)
あら炊きの魚の目玉と梅雨に入る(すずめ)
液晶の一箇所欠けて半夏生(莊太)
夏帽子のまま仏壇へご挨拶(すずめ)
焼なすや液だれしるき醤油さし(美雀)
修正液指につきたる熱帯夜(すずめ)

女子寮に除光液の香夏祭(布香)
初蝉や鉢に一本づつ液肥(秀子)
明易や現像液を取り替へて(清吾)
虹立つて松代濠の手掘あと(清吾)
夏号の付録にかぶとがにの卵(布香)
六月の東京の雨奥に駅(秀子)《

愛猫の骨壺ぬくし栗の花(美雀)
交番の今日も空つぽ朝曇(清吾)
修正液ぽたと食み出す梅雨じめり(莊太)
ポケットに蝉の抜け殻らしきもの(美雀)
白南風や自動改札ピピと鳴る(莊太)
梅雨寒や検査衣の紐とけやすし(布香)
ベランダに要石欲し半夏雨(莊太)
まくなぎを払ひ言はれし事忘る(美雀)
悲しみは液化しやすく夜光虫(秀子)
口笛の音の外れて梅雨晴間(布香)
見せらるる猫の土産の青蜥蜴(洋子)
診断書かくして今日の油照(美雀)

血液さらさら玉葱をたんと食べ(雄作)
干草に米粒大の白い花(典子)

2017年6月24日
蛍狩闇育つまでひとまはり(啓子)(共選)
潜望鏡のごと蛇の泳ぎけり(布香)
スーパーの隣の代田掻きはじむ(海峰)
老シテの運びうるはし薪能(碧)
一法案通過せし夜の牛蛙(すずめ)

カルビ切る鋏おほきく夏旺ん(すずめ)
水撒きの庭木庭石たまに犬(布香)
スカートの襞より蛍零れけり(秀子)
駐車場の「満《の看板西日射す(秀子)
黒南風や灯してみたき絵らふそく(清吾)

炎天を来て聖堂の扉あり(洋子)
突き刺したままのスコップ朝曇り(布香)
言い訳を考えてゐる日の盛(美雀)
生ビール一人称が僕になる(すずめ)
電磁気を脳に浴びたる西日かな(清吾)
ソーダ水紙ナプキンに地図を描く(美雀)
白蛇や百年の家朽ち果てて(洋子)
鳥の吊を誰に尋ねん明易し(清吾)
涼み台満ち来る潮の音聞いて(清吾)
モビールの微かに揺るる夏至夕べ(秀子)
炎昼や満員のバス遅れぎみ(洋子)
二の腕の光る若さや更衣(美雀)
遠泳の海わたりきる重さかな(莊太)
明易や一番風呂の満ち溢れ(清吾)
色あせる家族写真や大西日(洋子)
片蔭の行列とぎれとぎれかな(莊太)
灰となる詩集あるとふ原爆忌(秀子)

水打つてべつぴんさんの石畳(雄作)
空梅雨の抜く隙間なき爪楊枝(典子)

2016年6月25日
夏燕酒屋を出たり入つたり(洋子)
おほぶりに切る杣人の夏料理(啓子)(共選)
孑孑の身の丈ほどの沈みやう(美雀)
勝手口より出でてほとほと実梅落つ(啓子)

オロナインの鉄の看板西日さす(木屋)(共選)
朝曇まづは冷たき水を飲む(布香)
蝉時雨電車のドアの開くたび(秀子)
八つ橋の池わたくしす通し鴨(清吾)
明日への舵輪のごとく時計草(清吾)

相づちも適当になりソーダ水(美雀)
小さき子の願ひに撓む笹飾り(啓子)
裏山に天狗の棲むや床涼し(海峰)
車座の一挙に崩れ大百足(啓子)
新緑や子は片言の二ヶ国語(布香)
稚児車風は前から後ろから(美雀)
背筋びしつと麻朊の男なり(布香)
梅雨出水鰐は大口ぐあと開け(木屋)
黒靴を磨きそろへて原爆忌(洋子)
合歓のはな墓の童女に草さはる(秀子)
いろあせて読めぬ立て札青薄(すずめ)
マニ車回して雨を乞ふ人よ(海峰)
白きものわき上がりては田水沸く(碧)
百物語髪をいぢつてゐるをんな(すずめ)
昼寝覚めやつと帰つてきた心地(秀子)
手術室より父戻る夕焼中(清吾)
折り畳み傘に折り皺つばくらめ(木屋)
噴水の最後は頂だけになり(秀子)
曇る池にも青山として映り(碧)

はたた神コップの水の震へをり(雄作)
おほばこの花に目がゆく気鬱かな(典子)

2015年6月27日
散る事を極めつくして凌霄花(秀子)(共選)
さみだれの横断歩道ピヨと鳴く(一筋)
極秘レポート配り始むる暑さかな(清吾)
通勤に空席のある梅雨の入(輝代)
半夏生土間にかけ置く蓑と笠(啓子)

水母来ぬオーロラのごと身を揺らし(清吾)
白日傘あひるのやうに子を連れて(秀子)
製材の木端とびちる梅雨の晴(啓子)
校長の畦に受け取る余り苗(清吾)《

荒梅雨の車窓のネオン崩れけり(布香)
細く切る緑の付箋夏きざす(美雀)
噴水を芯まで濡らし今日も雨(秀子)
若冲の虎は猫顏戻り梅雨(美雀)
夏至の夜の腹筋少し固くなり(海峰)
指笛の犬呼び戻す夕焼かな(清吾)
青萩や少年の眼の薄かげり(輝代)
ビヤホール背後の人とともに酔ふ(碧泉)

してみたきもの南極のかき氷(雄作)
アンテナのあばら骨めく梅雨の冷(典子)

2014年6月28日
診療所「昼寝《の札の下りをり(秀子)(共選)
夏霧のロープ―ウェーを吐き出せリ(布香)
路地ごとに違ふ風吹く額の花(秀子)

遠雷やゆつくり開く紅茶の葉(秀子)(共選)
舟虫や吾はゴジラのごと歩み(清吾)
緑陰に記憶一かけ忘れきし(秀子)
泰山木咲きぬ呪縛の解けしごと(秀子)
夕涼し抽斗一つ空にして(秀子)《

攩網持てと子を呼ぶ声や雲の峰(清吾)
真中に頭の窪み籠枕(美雀)
夜濯や明日は定年退職日(布香)
思ひ切り辛きカレーや田水沸く(清吾)
句を詠みて十年を過ぎし端居かな(啓子)
頂上はまだまだですかチングルマ(洋子)
茶封筒持ちし一群暑の盛り(布香)
地球にはかろき重力蛇泳ぐ(美雀)
籐筵ひざを崩せば籐の痕(美雀)

クレヨンの茶色も虹になりたしと(雄作)
太宰忌の網戸の金気にほひけり(典子)

2013年6月22日
代掻の水をいやがる神の牛(洋子)(共選)
今日からは姉となる子の金魚玉(啓子)

団塊に生れし我らよジギタリス(清吾)
鳥小屋に無口な鸚鵡梅雨湿り(秀子)
背泳ぎや雲と交信するやうな(清吾)
喪の真珠はづす窓辺の柚子の花(啓子)《

人影の無き造船所枇杷をもぐ(清吾)
三伏やスープとるなら強火から(美雀)
夏至の日のポスターに浮く畳み皺(秀子)
ホース折れ水のつまづく晩夏かな(布香)
滝落つる明るき空の中あたり(木屋)
背表紙に通し番号曝しをり(啓子)
まくなぎを払ふふりして夫を打つ(美雀)
すぐ終はる一人の昼餉貝風鈴(秀子)
緑雨してジョギングコース静かなり(布香)
背面でバーを跳び越す麦の秋(木屋)
西日中壁の時計はおくれぎみ(洋子)

白靴やもう落ち着いていい齢(雄作)
動かねば消えてしまひぬ糸とんぼ(典子)

2012年6月23日
風渡るもぢずり草の穂先まで(美雀)
緑陰や水を忘れし船屋形(布香)
帰省子に大きく弾む渡り板(秀子)
捩花を贔屓にしたる庭師かな(秀子)

東屋に涼しき音のあつまりぬ(秀子)
水古るや浮草少し重なりて(布香)
草笛や渡船の床の磨かれて(西港)
電球を替へる園丁梅雨晴間(秀子)
大甕に浮草殖ゆる骨董屋(啓子)
御者台のフェルトの毛玉梅雨曇り(秀子)《

鎧戸も灯籠もみな青葉風(清吾)
傘させばひとりの世界花菖蒲(布香)
群生のどこか恐ろし花蘇鉄(美雀)
朴の花市長の馬車を見下ろせり(海峰)
懸樋から水の出てゐる梅雨晴間(木屋)
石橋を渡る足音梅雨の晴(洋子)
しゃぼん玉白松にふれ割れにけり(海峰)

神戸薄暑フランスパンが落ちてゐる(雄作)
木には木の寂しさ梅雨の中休み(典子)

2011年6月26日
うすものを着てふつつりと母の逝く(布香)
その穴は盆提灯を立てる穴(洋子)(共選)

打水や借りたままなる母の数珠(洋子)
紫陽花の色濃くなりて床上げす(美雀)《

まだ人になりたての頃今年竹(秀子)
金魚鉢中から吾をながめる目(美雀)
伸びるだけ伸びて夏草砦跡(啓子)
人影の途切れる時間夾竹桃(秀子)
内定の知らせ燕の帰る頃(海峰)
蛍火や幽かに音がしたやうな(木屋)
染めあぐる藍を衣桁に夏座敷(啓子)
緋目高や好きといふ時はにかんで(秀子)
蛍火をかこひ両手が青くなる(和夫)
胸奥に水打つごとし青葉木莵(秀子)
製材の音うなりだす麦の秋(啓子)
夏帯をきりりと締めて親離れ(美雀)
気に入りの内ポケットの黴びてをり(狐狸庵)
部屋中を匂はすらっきょう届きけり(英二)

頭の内に小鬼の棲めり氷水(雄作)
せつけんの減るやすけさを麦の秋(典子)


<2006年6月~2010年6月>
2010年6月26日
空つぽの牛舎となりて冷し汁(啓子)
袋より出す朝刊の梅雨湿り(布香)
二十才過ぎの息子も連れて蛍狩(木屋)
家を頼みし弟と新茶汲む(洋子)
薫風や正座のできぬひとりつ子(美雀)

ハンカチも我も皺くちや夕間暮れ(秀子)
夏野菜ごろごろ入れてカレーかな(布香)
花茣蓙のはや花の色褪せはじむ(秀子)《

もう一度観覧車から遠花火(西港)
肺活量試されている浮袋(美雀)
犬曳いて犬と会ひけり月見草(啓子)
軽鳧の子の発条仕掛の歩みやう(木屋)
太宰忌や深夜テレビをなんとなく(西港)
紫陽花の色を違えて路地ぐらし(海峰)
まだ迷いつつ衣替え何回も(和夫)
打水をして京風に暮しけり(海峰)
手をつなぐ坂の途中の桜冷(てるみ)

盆路のごとく点々湾の浮標(雄作)
あじさゐといふ雨の香のひと束ね(典子)

2009年6月27日
白玉や同じ話を聞いてゐる(布香)
薔薇の香の少し眠たき叔母の家(秀子)(共選)
歯の治療半分残し梅雨に入る(木屋)
椊木屋の昼寝や雲の動かざる(美雀)

梅雨寒や眼鏡に結露つきしまま(木屋)
梅雨寒や雑穀粥をひと掬ひ(美雀)
蛞蝓に好かれてをりぬ椊木鉢(布香)
掃除機の袋まんぱい梅雨の明け(洋子)《

帰省子の沈没したるごと眠る(秀子)
知らぬ子にしがみつかれし蛍狩(啓子)
どの青梅も浮きたがる瓶の中(啓子)
冷麦や夫のエプロンかた結び(洋子)
歯切れ良き車夫の案内夏燕(西港)
腰痛が無しと見えけり蝸牛(美雀)
梅雨晴れや衣装合わせに来いといふ(和夫)
桜桃忌「走れメロス《しか知らず(海峰)
シャンペンを目の高さまで梅雨の月(西港)

熟れすぎてをらぬか仏壇のメロン(雄作)
たましひの相場ビールの泡ほどに(典子)

2008年6月28日
夏燕今年も白い糞落し(木屋)
今様の吊前つけられかき氷(海峰)
クロールの抜き手を切つて蚊帳の海(美雀)

初恋やキャベツは水の玉を抱き(サブリナ)
翡翠や朝は血の澄むものを食べ(サブリナ)
森一つ濡らして夕立遠ざかる(サブリナ)
ペダルから両足浮かせ夏休み(西港)
梅雨晴やダム放流の赤き文字(布香)《

手秤の塩や砂糖や夏はじめ(サブリナ)
窓ふきの揺れるゴンドラ夏来たる(海峰)
修正のうえに修正梅雨に入る(西港)
野球部の飯は大盛アマリリス(洋子)
棺桶に上中下あり六月尽(美雀)
語り継がれる戦争知らず今年竹(啓子)
長梅雨や期待外れの三作目(西港)
夏の灯や生前葬の案内状(布香)
花殻を採る手休めて夏に入る(美雀)

定年にならば木の根に昼寝せむ(雄作)
雨音のたまる山女のうきぶくろ(典子)

2007年6月23日
白靴や若葉マークの車椅子(布香)(共選)
帰省子に雲の次つぎ生れくる(サブリナ)
花うつぎ魚籠より滴こぼしつつ(サブリナ)
青梅をもぐ頤の白きこと(啓子)
膝抱けば濤の音する鑑真忌(サブリナ)

緑陰を出でて糖蜜色の空(サブリナ)
初めての母のおかつぱ花蜜柑(布香)
富士山を泛べ水木の花の空(サブリナ)
夏めくやバランスボールに乗る反り身(布香)
打ち水や生家に張らるくぢら幕(啓子)《
両の手をつぼみの形蛍狩(美雀)
沖合にサーファーの待つ次の波(啓子)
一八や次の村までバスに揺れ(美雀)
布引や滝にもあらむ倦怠期(布香)
つゆ晴間ひこうき雲のくつきりと(海峰)
遠泳の倭寇太鼓は鳴りやまず(啓子)
噴水や父となる日をかぞへをり(美雀)
この次は入院覚悟梅雨に入る(木屋)
父の部屋の匂ひを探す半夏生(洋子)
取柄なけれど枇杷種の吐きつぷり(雄作)
四万六千日の箸といふ棒二本(典子)

2006年6月24日
森林浴とは樹のことば聴くことか(雄作)
北斎の濤をあしらひ氷旗(雄作)
父の日や夕立が来て虹が出て(雄作)
夕凪や時計回りにわさび擦る(布香)(共選)
炎天やぶら下がりたる電話帳(布香)
直伝の紙飛行機や雲の峰(美雀)

熟睡子やぽかんと泰山木開き(サブリナ)
雷や下ろし金の目きつちりと(布香)
糸底のざらつく朝や梅雨最中(美雀)
くず糸で刺したる布巾夏祭(布香)《
蜘蛛の巣をつけてはずんで子の帰る(木屋)
初蛍闇の糸口かもしれぬ(サブリナ)
蛇衣を脱ぐや硬貨の裏表(啓子)
土用干父の背広のほつれ糸(洋子)
草笛を吹いて川原のミュージシャン(悦子)
緑蔭や子に贈られし万歩計(豊)
公園の鳩を一べつ夏至の空(海峰)
蜘蛛の糸ちぎれて飛べり梅雨晴間(きよし)
林間学校一人持ちきし針と糸(雄作)
海女小屋に転がつてゐるカタン糸(典子)


<2002年6月~2005年6月>
2002年6月22日
蝉時雨サプリ十個を放り込む(青鵬)
打水をして古家を明け渡す(海峰)
食堂で8ミリ映画梅雨晴間(西港)
緑蔭や映画の友とカルピスと(布香)
何もかも捨てて来たらしなめくじら(布香)
母の忌のモノクロ映画白日傘(青鵬)

ほろ酔ひのその後還らぬ蛍闇(サブリナ)
ひかがみの時おり零す 朝の涼(サブリナ)
売る家の守宮に会ひておどろきぬ>(海峰)
雷鳴に鉛筆の芯折れにけり(西港)
かき氷きのうキスした唇に(西港)
初めての句会に梅雨の傘忘れ(洋子)
窓の外にあじさいの花犬洗ふ(サブリナ)
短か夜の健脳丸とカップ麺(松ちゃん)

2003年6月29日
約束のあるごと蟻の走りけり(布香)
居住まひを正す女の素趺かな(美雀)
草蛍しんとゐる空深きかな(サブリナ)
夏至の日や港に稚魚のきらきらと(翔)
麦焦がし祖母の背中の丸さかな(海峰)
端居して大阪弁の女達(布香)

庭師来て六月の空開かれる(きよし)
鱧料理歯にしゃきしゃきと谺せり(海鋒)
梅雨冷の座るところに求人誌(西港)
花楝帷の奥に人消ゆる(きよし)
海埋めて都会現はる夏霞(美雀)
日盛やアジアホテルは朽ちゆくまま(サブリナ)
気配だけ残し確かに水馬(布香)
老犬のスフィンクスめく夏の月(松ちゃん)

2004年6月26日
飛び込の子ども羽音をいまも持ち(雄作)
三伏の水を掛けあふ象の鼻(雄作)
深酒の朝の歯みがき夏燕(西港)
どぜう鍋手形は増位山なりし(雄作)
城址の地吊のみなる著莪の花(海峰)
洗はれて赤子ああああ雲の峰(雄作)

熱帯魚のカタログ厚し日の盛り(布香)
草笛や学校跡を見下ろして(サブリナ)
噴水に突き落とされて役者なり(西港)《
遠雷やとぎれとぎれに家ならび(サブリナ)
整体師の声やさしくて夾竹桃(布香)
どくだみの地にしつかりと意地をはる(啓子)
台風一過くれなゐの雲うかべたる(木谷)
水まろしと思ひ込んだる金魚かも(布香)
布引の滝に雌雄と分かち書き(海峰)
味見して辛口ワイン夏兆す(翔)
号令をかけ舟虫をうごかせり(啓子)
蟻んこに氷菓の棒の贈りもの(雄作)
電線がつながり合ひて南風の村(典子)

2005年6月24日
はんざきの湿舌連れて来たらしく(サブリナ)(共選)
緑蔭や胴まだ熱きオートバイ(雄作)
日焼子に一の子分といふがあり(雄作)
黴の香のゴールド免許更新す(豊)(共選)
ほんとうは水が怖いかあめんぼう(啓子)
白シャツの揃ひ父親参観日(豊)

青梅雨や巣箱のやうな映写室(サブリナ)
若竹や手術の痕の盛り上がり(豊)《
三伏のぐるぐる回る竹輪かな(布香)
風見鶏に腰掛けいるは夏の月(西港)
歯科医師の顔の近づく金魚玉(海峰)
「売物件《の札の傾き梅雨明ける(美雀)
只管な青葉の夜を目覚めおる(きよし)
ここまでと早苗椊ゑける夕陽かな(美雀)
青柿のいま喉仏ほどかたし(啓子)
蛙田や筆箱のなるランドセル(洋子)
三伏や出して戻らぬ犬の舌(雄作)
冷房や昆虫館に死が充ちて(雄作)
上着折つてカレー屋に入る走り梅雨(典子)

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