<7月>

<2011年7月~2020年7月>
2020年7月25日
◎ 道の駅のびのび曲がりたる胡瓜(真弓)
 水着もう見る物となり昼ごはん(乃々)
 人類に残る体毛熱帯夜(らてん)
 初めてのおつかひ蟻に気をとられ(らてん)
 紫陽花の乾きはじめし集会所(ふく)
 夕立の記憶の残るアスファルト(乃々)

◎兜虫たたかふまへの低姿勢(らてん)
 手折られし紫陽花の空白へ雨(乃々)
 哀しみを呑むたび蛇は長くなる(らてん)
◎風の萍難民のごと動く(典子)
◎天平と同じ夏空二月堂(真弓)
 大口をあけて歯のなき真夏の子(ふく)
◎スヌーピーの寝姿に似る夏の雲(典子) 
◎淡く濃くレースの影や風の波(りん) 
 かき氷並ぶ無言の同士たち(りん)
 打水や姿は消えて下駄の音(乃々)
 日常に一石投じる夏落葉(凡)
 老いて二人音なく暮す水中花(典子)
 蝉の殻拾ふ右手の丸みかな(らてん)
 朝涼の玄関前にレンタカー(真弓)
 犬穴を掘る炎天がさみしくて(典子)
 炎天へ出てゆく前の水一杯(典子)
 老境に入る葛切に箸透かし(典子)
 父と子の同じ姿勢で西瓜吸ふ(ふく)
 蜜豆や怒るのやめにしてあげる(らてん)

 テーブルをしっかり拭いて祭鱧(典子)
 結局のところイチゴのかき氷(ふく)
 水中花あぶくをひとつはきて咲く(ふく)
 大人にも宿題ありて雲の峰(真弓)」

◎校庭の鉄棒熱し夾竹桃(凡)
 見習ひの読経のごとし油蝉(典子)
 避暑地より山の匂の葉書くる(典子)
 扇形にピザを切り分け終戦日(典子)
 大人にも宿題ありて雲の峰(真弓)
 山麓の森はスポンジ梅雨明ける(典子)
◎山麓の森はスポンジ梅雨明ける(典子)
 独り居の朝食とせむ一夜酒(ふく)
 夏旅や眼科に森の広がりぬ(ふく)
 結局のところイチゴのかき氷(ふく)
 校庭の鉄棒熱し夾竹桃(凡)
 避暑地より山の匂の葉書くる(典子)
◎風涼し森に生まるる一雫(真弓)
 独り居の朝食とせむ一夜酒(ふく)
 見習ひの読経のごとし油蝉(典子)
 水中花あぶくをひとつはきて咲く(ふく)
 三人で八等分のメロンかな(らてん)
 山麓の森はスポンジ梅雨明ける(典子)
◎校庭の鉄棒熱し夾竹桃(凡)
 テーブルをしつかり拭いて祭鱧(典子)
 三人で八等分のメロンかな(らてん)
 扇形にピザを切り分け終戦日(典子)
 八階のこんなところに蟻の列(らてん)
 大人にも宿題ありて雲の峰(真弓)

 身体ごと午睡の沼の底にいる(真弓)


2019年7月27日
無職とはひたすら無職草いきれ(すずめ)(共選)
耳鳴りの類か朝の蝉の声(莊太)
梅雨寒や筆の穂先の墨の色(洋子)
水筒の氷ガラガラ陸上部(海峰)

糊代を糊のはみ出すはたた神(美雀)
藩学のままの校名雲の峰(布香)(共選)
にんにくを足して男の夏料理(清吾)
持ち来たる薬見せ合ふ夏期講座(清吾)」

夕端居わが肩を揉む低周波(清吾)
ユニフォームのままの自転車夏旺ん(すずめ)
夕凪や部屋にちらばる書き損じ(洋子)
畑仕事の御礼の馳走洗ひ鯉(莊太)
夏の宵塩にこだはる立飲屋(すずめ)
初蝉や点滴静かに時刻む(美雀)
人類はサル目ヒト科蚯蚓鳴く(美雀)
柴犬を自転車に乗せ大暑なり(海峰)
梅雨寒やシールはがすに爪を立て(洋子)
冷ゆるのを待つ素麺の白さかな(莊太)
滅びたる人類悼むごきかぶり(清吾)
夏座敷無骨な肩のかしこまる(清吾)
人類をやめてみやうか心太(すずめ)
これもまた老いの兆しか水中り(清吾)
そのうちに諸法無我なる蝉しぐれ(莊太)
人類はサル目ヒト科銀河澄む(布香)
弓道の袴をぴしと夏の風(洋子)
朝礼の若き校長夏に入る(美雀)

身体にメス入りて晩年吊忍(雄作)
付箋紙を間引きしてゐる暑さかな(典子)

2018年7月28日
大阪の真夏小瓶が割れてゐる(すずめ)
行く夏や椀の模様の松に傷(美雀)
夕涼みてふ語懐かし二人住み(海峰)
妻に小言もらひてよりの三尺寝(美雀)

影のごと楽器ケースを負ひて夏(秀子)
赤福の箱にひつつく暑さかな(すずめ)(共選)
線香花火闇にひつかき傷作り(秀子)
旱天や真鯉の胴に傷数多(清吾)」

擦傷を誇る子供らキャンプの夜(すずめ)
切ることも叶わぬ電話熱帯夜(美雀)
税金の督促届く大暑かな(海峰)
すこやかな背骨並べて夕端居(秀子)
女子寮に今も門限黄金虫(美雀)
拾ひたき片陰もなく出水後(秀子)
新涼や足の縫ひ傷白くなり(洋子)
脛の傷子と同じ箇所生身魂(布香)
新涼や泡に剃りたる髭まじる(すずめ)
リンゴ酢をぐびと飲み干す熱帯夜(海峰)
初秋や指さす先の槍ヶ岳(洋子)
海水の頬傷に沁む夏の果(清吾)
復刻のターシャの絵本涼新た(布香)
白桃の傷みはじめのエロスかな(清吾)
見開きは紅色の和紙涼新た(洋子)
鍵先で除くボンネットの毛虫(布香)
旧きよき映画のやうな白日傘(布香)
肌脱ぎの傷のイエスに似たるかな(清吾)
冷麦や居据る高気圧ふたつ(莊太)

定年後買ひし白靴まだ履かず(雄作)
肋骨の奥に心臓熱帯夜(典子)

2017年7月22日
犬小屋の小屋だけとなる百日紅(美雀)(共選)
土つけしまま空蝉となりにけり(秀子)
夏夕べ土管を出ればママの顔(布香)
早苗饗や乾杯前のストレッチ(清吾)

歯ブラシを更にしてみる熱帯夜(海峰)
音たてて水を吸ふ土百日紅(秀子)(共選)
脳髄のしんとしてゐる暑さかな(清吾)
昼寝覚造花の茎の伸びたるか(すずめ)
貝殻の縁取る海の日の花壇(秀子)

かはほりや土にまみれしユニフォーム(清吾)
ペコちゃんの足元に落ち蝉ひとつ(すずめ)
お互ひにうるさくないか蝉時雨(莊太)
生きてゐるそれが仕事と生身魂(啓子)
好物は羊羹父のをがら焚く(洋子)
炎昼や猫がぽたりと落ちてゐる(秀子)
緑陰のそこは私の席なのに(秀子)
土の色に溶けてまぎれて雨蛙(清吾)
たつぷりの薬味を添へて夏料理(啓子)
夾竹桃母の輸血の承諾書(美雀)
プールより引き抜く男の子ふたり(布香)
納骨の読経遠のく溽暑かな(海峰)
まだ咲かぬ朝顔日記待たせたる(啓子)
掛けてはづしてちょい悪風サングラス(美雀)
青茅の輪三代続く女系なり(美雀)
秋めくや昔の土間に醤油甕(布香)

子どもの頃の土の匂ひや夕立後(雄作)
行く末や風がころがす蝉の殻(典子)

2016年7月23日
空蝉のすでに土色濃くなりぬ(布香)(共選)
八月やもんじや食ふとき無言なる(栄樹)
三伏やボディーブラシのへたりたる(布香)
コンビニと空き家の増ゆる帰省かな(布香)
猿之助贔屓の妻と祭鱧(清吾)

梅雨明けや芝は足裏押し返し(清吾)
風鈴や一人の時の少し増え(秀子)
天牛の触覚星空を触る(秀子)」

夕焼けに向かひて走るローカル線(健)
婆様の病気自慢と冷やし麦(すずめ)
磔刑の像は宙吊り南風吹く(躍志朗)
増刊号の付録たつぷり夏休み(清吾)
緑陰や持ち重りせる哲学書(清吾)
ポンポンダリア落日に音あれば斯く(秀子)
窓の絵に鳥を増やせる梅雨晴れ間(栄樹)
くまモンの脱ぎ置かれある片かげり(木屋)
子は大き湯船の船長北斎忌(徳将)
炎天や人のごとくに座る猫(躍志朗)
万緑の光を連れて子の帰国(美雀)
トランプを引く出目金を見遣りつつ(徳将)
洗ひ熊の罠に鳥ゐる大暑かな(海峰)
紋服の祖父の遺影へごきかぶり(すずめ)
子とろ子とろ鬼の笑ひし青葉闇(洋子)
海の日や画面の海を見て閉ぢる(竜平)
審判の声高らかに大南風(健)
朝まだき突き上げてくる蝉の声(海峰)
玉の汗胸の鎖の銀へ来よ(徳将)
ビル群に灯の瞬いてソーダ水(洋子)
虫干や理系データは捨てられず(清吾)
形代の臍のあたりに数へ年(美雀)
OBのボール探せる草いきれ(木屋)
ドリカムの歌声拡ぐ青き芝(一筋)

増位山の手形の朱や土用干(雄作)
蝉しぐれサドルが熱くなつてゐる(典子)

2015年7月25日
ビリケンの座りしサマージャンボかな(美雀)
新聞の切り抜きたまり大暑かな(海峰)
DNA鑑定櫛を出す暑さ(清吾)
軍艦島前甲板にプール跡(清吾)
鼈甲の櫛の透かしや盆の月(美雀)

一息に剝がすシーツや蝉時雨(秀子)
蜻蛉生る島の真中の米どころ(啓子)(共選)
非常口の青き光や花氷(美雀)
鼈甲の櫛の歯の欠けはたた神(啓子)」

やもりは屋根いもりは池と覚えけり(布香)
祖母よりの羅広ぐまた仕舞ふ(輝代)
夕焼へ捨てられにゆく鏡なり(秀子)
職退くと添書ありし夏見舞(啓子)
同窓会の誘ひ胡瓜の版画あり(海峰)
齣送りするごと梅雨の蝶飛んで(秀子)
洗濯機にて洗ひたし章魚五匹(布香)
蝉声もしばし静まる二胡ライブ(碧泉)

ほつといてくれと昼顔咲いてをり(雄作)
短夜の寸胴鍋に酵母菌(典子)

2014年7月26日
稲妻や大阪城の空に罅(秀子)
雲の峰やまなみ低き島に生れ(啓子)(共選)
静かなる父の一日原爆忌(布香)
生家とは母の匂の蚊遣香(啓子)

箱眼鏡水よりかろき足の先(美雀)
我が影の我に収まる油照(啓子)(共選)
人の背にかすも空蝉にスリット(秀子)(共選)」

西瓜割踵にバンドエイドあり(美雀)
フットサルのゴール過ぎりぬ夏燕(清吾)
白百日紅しいんと真昼間の都会(秀子)
電動ハブラシ藪蚊襲来かと思ふ(布香)
打水や明日の入居を心待ち(洋子)
逃げ水を踏んで神輿の走りけり(美雀)
彼病むと人伝てに聞く遠花火(海峰)
若かりし父の写真やパナマ帽(洋子)
くもの巣の照波に消え蜘蛛の浮く(清吾)
夕凪や石段昔へと続き(布香)

保健室のベッドの白し休暇明(雄作)
三日ほど梯子かけある李の木(典子)

2013年7月27日
髪洗ふ悲しい時はなほの事(布香)
藍色に鎮もる空や花火待つ(秀子)
ブレーキの軋りに目覚む熱帯夜(清吾)
消火用バケツが真つ赤炎天下(秀子)
宿浴衣手にへらへらのカードキー(啓子)

八月を重ねて生家遠くなり(布香)
滝音も入れて家族の写真かな(茂)
羽の無い扇風機とはハモれない(布香)
蝉時雨幾重にも波押し寄せて(木屋)
涼風や路地を曲りて叔父の来る(洋子)」

まひまひや眼鏡そろそろ作らうか(清吾)
彦山に登る少年雲の峰(洋子)
健さんのはにかみのよきサングラス(美雀)
籠目籠目かべに西日の照り返し(木屋)
すこやかに身籠りし影夾竹桃(茂)
猛暑日や奥歯の生えし子が泣いて(海峰)
梅雨明けの白を基調のワンピース(てるみ)

風鈴の媚びざる音を買ひにけり(雄作)
花火ひらく刺繍の裏に似てまつ赤(典子)

2012年7月28日
涼新た森を見晴らすための塔(秀子)(共選)
流星雨受くる器をさがさうか(布香)
塀越しに秘密の洩るる凌霄花(清吾)
ひもすがらよき風のふく青田かな(啓子)

子を産まぬ選択もあり蘇鉄の実(美雀)
同窓の逝きし報せや遠花火(海峰)
蚊遣火や日のあるうちに夕餉終へ(秀子)」

ここよりは砂利道続く終戦日(布香)
棒高跳利き足で蹴る雲の峰(美雀)
あまがへる置いて蓮の葉しづまれり(木屋)
梅雨晴間まことこの星緑なり(清吾)
浴衣着て昨日と違ふ目元かな(美雀)
幼な子のべたとはりつく暑さかな(布香)
葉桜や白き木綿のワンピース(洋子)
校門に海抜しかと大南風(啓子)
茹で玉子つるんと剥いて夏惜しむ(秀子)
遠泳の帽子しづかに桜島(清吾)

箱庭にぼちぼち雨を降らさむか(雄作)
蠅叩たたく蠅などどこにゐる(典子)

2011年7月23日
三伏や見知らぬ人に会釈され(啓子)
絵の中の人年取らず夜の秋(秀子)
イパネマの娘夏帽かぶせたし(木屋)
忘れ潮のぞく子はなし夏の海(和夫)

青銅の馬の嘶く喜雨の空(秀子)
思ひ出はちらばりやすし貝風鈴(秀子)」

夏服のポリスには道聞きやすし(美雀)
打ち下す鶴嘴の腕夾竹桃(洋子)
日盛りや除染の土の黒々と(海峰)
夏草に埋もれさうなる石仏(啓子)
黒々と森を置きたる夏の月(木屋)
時差呆けや夏野の軸は傾けり(美雀)
深水の襟足白し遠花火(洋子)
世界一のなでしこジャパン梅雨明ける(木屋)
昼寝したままポンペイの犬石に(美雀)
磨き上げたる風鈴の涼しげに(和夫)
島原のさうめんたんと湯がきけり(英二)

星合の夜を上司と付き合へり(雄作)
頭の奥にひゞく心経あぶら蝉(典子)


<2006年7月~2010年7月>
2010年7月24日
片蔭やまだ温かき遺骨抱く(布香)(共選)
うづ状指紋ゆみ状指紋梅雨深む(秀子)(共選)
短夜の線香の灰落ちやすし(布香)
「久」の文字だらりとのびる大暑かな(美雀)
カーナビに翻弄されて終戦日(秀子)

永久歯生えてきてゐる夏休み(啓子)
岩牡蠣の海のはらわた食べにけり(美雀)
故郷や線香花火みな湿気て(秀子)
夏草や機関車に水たつぷりと(美雀)」

河童忌や鉢のトマトのたわわなり(海峰)
餌をあさる鴉の群れて梅雨深し(木屋)
松の木の戯けた形海開き(啓子)
噴水の天辺のびて雨上る(西港)
豆腐屋の大きなバケツ糸蜻蛉(西港)
持久走は周回遅れ雲の峰(木屋)
ぐづる子の手をひつぱつて日傘かな(洋子)
七夕や今年も同じ願ひ書く(和夫)

田能久の鍋を突つつく暑気払ひ(雄作)
幇間のぬるき一献どぢやう鍋(典子)

2009年7月25日
帰省子に小さくなりし秘密基地(西港)(共選)
夕凪やテトラポッドのこぽと鳴る(啓子)
緑蔭を独り占めしてゐる男(布香)

宇治驟雨水面のお堂かき消して(木屋)
十一面の十面をさな若楓(秀子)」

青鷺の夢とうつつを往き来せり(美雀)
蓮の実を少し覗かせ夏の雨(布香)
青梅雨や「浮舟」の川今渡る(秀子)
川上へ音のぼりゆく草刈機(啓子)
驟雨来るせめて下品にと願ひ(海峰)
長梅雨の音の狂ひし信号機(洋子)
梵鐘に池と草あり梅雨晴れ間(秀子)
蝉鳴いてガイドブックにお茶処(西港)
見つめあふ青き鳳凰日雷(秀子)
藤青葉烏合の衆の手のごとし(木屋)
リズムとる雲中菩薩の跣かな(美雀)
平等院飛天楽師に雷ひとつ(秀子)

驟雨来る鳳凰堂は翼張り(雄作)
雨音にさとき休み鵜寄りあへる(典子)

2008年7月26日
蟻の世界も増便のあるらしき(布香)
打水や路地の奥にも路地のあり(洋子)
二人には広きテーブル夜の秋(サブリナ)
箱庭の隅に座つてみたき石(サブリナ)
箱庭に右手上げたるウルトラマン(布香)

校庭に大きな時計油照(啓子)
銀漢やダム湖の水の嵩増えて(サブリナ)
パトカーに背番号あり台風圏(布香)」

いちごミルク母の愚痴など聞きながら(洋子)
炎帝を最敬礼でやり過ごす(布香)
虫図鑑抱く少年の夏休み(啓子)
背の汗の三すぢ四すぢと落ちにけり(木屋)
蛇の衣にうねりし痕のありありと(サブリナ)
撒水栓石を噛みたる大暑かな(美雀)
銀ヤンマに付いてゆきたる家路かな(海峰)
青柿や花嫁支度急がれて(美雀)
夏めくや創作寿司のコック帽(洋子)

呉れるものならファーブルの夏帽子(雄作)
夕空をすくひて捕虫網帰る(典子)

2007年7月28日

耳底に蚊の羽音ため老いゆくか(サブリナ)
糸瓜棚より吉相のおぢいさん(サブリナ)
夏めくや吉祥天のうすごろも(美雀)
白服の少女ひとりの車椅子(啓子)

戦争を知らぬぢぢばば冷し麦(布香)(共選)
子の指にきょとんと止まる蛍かな(西港)
昼寝覚め美しき馬消えにけり(布香)」

はんざきや作り話に聞き惚るる(サブリナ)
青田風答案用紙配りをり(西港)
夏の野や若きホルンの音合わせ(美雀)
組み替へる足の長さや宿浴衣(西港)
白玉の歯ごたへ雨のあがりけり(木屋)
エキナカの七夕の文字幼かり(美雀)
梅雨あがる雲のひとつの男前(洋子)
ビー玉の缶の錆びたる赤とんぼ(洋子)
ベルト穴ふたつ緩めて鰻喰ふ(美雀)

かち割りや色くすみたる大漁旗(雄作)
いなびかりザラ紙色の街となる(典子)

2006年7月22日
ぎしぎしやご用の方はこのベルを(布香)
西瓜番ゆつくりと知恵すすむ子よ(雄作)
子供らのその円心の蝉の穴(サブリナ)
遮断機に並ぶ小さき夏帽子(啓子)
問診の矢継早なり茄子の花(啓子)

はたた神勝手に出来る氷かな(布香)(共選)
空蝉を秘密さし出すごとくれぬ(サブリナ)
鹿ヶ谷の水を張りやる冷豆腐(悦子)
大梁の確り吊られ雲の峰(豊)」
長梅雨の女性専用車輛かな(西港)
三時には猫と午睡す問屋街(美雀)
軽鴨が顔出してゐる田んぼかな(木屋)
水中花詰問されてゐるらしく(サブリナ)
別棟に続く小道やスベリヒユ(布香)
夏椿安否尋ねる仲なりし(きよし)
梅雨晴や日曜大工のニスの艶(豊)
夕立の言問橋をまつしぐら(雄作)
裸おとろふ父の血と母の血と(雄作)
宵山や京都タワーを簪に(典子)


<2001年7月~2005年7月>
2001年7月28日
森深く吸い込まれゆく黒日傘(サブリナ)
夏の陽を千六本に竹すだれ(布香)
三十年振りの履歴書汗拭い(青鵬)
銭湯に先客のある夏帽子(ベアトリス)
端居して土の匂ひをしんと聞く(サブリナ)

逆さ地図じっと見ている大暑かな(布香)
ごった煮の故郷ありし父母の夏(美雀)
夏空の一点となる航空機(西港)
冷しゃぶに敷かれたレタス俺主役(山佐)
地図にピン刺して白南風とめにけり(松ちゃん)

2002年7月27日
学校は玻璃戸千枚日の盛り(サブリナ)
片耳で返事する犬油照(布香)
老鶯の声聞きながら母と居る(海峰)
内股は父親に似て藍浴衣(青鵬)
蝉採りの先の冥へと兄が消ゆ(サブリナ)
塩素の香先立てプール帰りの子(布香)

菩薩像そろりと歩く五月闇(美雀)
中年の恋もすすみぬ舟祭(西港)
人も木も同じ息して溽暑かな(海峰)
振り向けば波を峙て子鯵刺(青鵬)
毛虫が蛾になると知りたるより大人(洋子)
朱夏といふ言葉覚えて主婦のまま(悦子)
梅雨明けや赤子の声の頭上より(サブリナ)
鳩の尾が地を擦ってゐる暑さかな(松ちゃん)

2003年7月26日
蟾蜍月の麻酔に射たれけり(雄作)
少年の茅の輪くぐりし後の貌(きよし)(共選)
欄干の熱くて天神祭かな(雄作)
梅雨明の空にシーツをピンと干す(海峰)
中年も花火のシャワー浴びてをり(西港)
夕景や鉄風鈴のありてこそ(雄作)

宇宙酔ひにて全山の蝉時雨(サブリナ)
太陽の色は真っ白夏来たる(布香)
愛犬も車に酔ひし帰省かな(布香)
試歩百歩朝顔棚に目見えたり(きよし)
人形にわが息吹いて寒い夏(美雀)
天神祭舟といふ舟ぶちまけて(西港)
隧道を通って帰る蛍の夜(サブリナ)
埋立ての街一斉に蝉時雨(美雀)
煙草屋の日除信号待っていて(豊)
丑三つにピタリ鳴き止む蟇の声(海峰)
殺人のニュースが村に濃紫陽花(洋子)
たたむときあたたか夕焼見しめがね(松ちゃん)

2004年7月24日
産み月の三人並ぶ涼み台(サブリナ)(共選)
藺ざぶとん紙ヒコーキの載りしまま(雄作)
遠泳の頭何度も数へけり(雄作)
芝居跳ね人と冷気を吐きにけり(布香)
三伏の頭上よりくる父の声(海峰)
板前の板前らしく水を打つ(雄作)

頭数並べ燕の暇乞ひ(美雀)
生きている星の涼しき尾戸岬(きよし)」
コロン水に指先洗ふ夜の秋(サブリナ)
虹立つや中途採用試験場(西港)
雲の峰槌音のして棟上がる(啓子)
花は葉にひとりの布団引きにけり(洋子)
若竹の碧さが徐々に明けはじむ(美雀)
黒ぶだう息苦しきほどつまりたる(啓子)
敗北の後のコーラを少女より(西港)
水無月や日本ラインの奇岩列(翔)
自転車の脱兎のごとし蝉時雨(布香)
蝉の声一斉解雇の辞表出す(木屋)
蝉鳴いて一七音は素数なり(典子)

2005年7月23日
石けんに美女の浮彫夏の月(雄作)
熱帯夜辣油を落しすぎたるよ(雄作)
シーサー一対今朝の涼しさ言ひ合うて(サブリナ)
中国盆見合いの席となりにけり(布香)
保父の脚掴まれてゐる昼寝かな(雄作)
埋立地校歌に夏の浜残り(豊)

滝音に苔の時間のゆつくりと(サブリナ)
蛇笛の伸びて戻らぬ大暑かな(豊)
新人を連れ歩く日やアイスティ(美雀)
空梅雨や湖底に人の住みし跡(豊)
昨日に今日の積もりて凌霄花(サブリナ)」
賽子の一は朱の色原爆忌(布香)
玉砂利を八分音符に夕立来る(西港)
咲ちゃんの朝顔咲いて登校日(美雀)
冷奴好一対の夫婦なり(海峰)
片陰や溝にはまらぬようにゆく(西港)
夏菊や車窓に雨の張りついて(木屋)
夏烏賊の刺身ぶあつき対馬かな(きよし)
木下闇深し大蛇の棲むといふ(啓子)
男梅雨土俵の広さありにけり(典子)

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