<9月>

<2011年9月~2020年9月>
2021年9月27日
息するもマスク通して九月尽(凡)
会ふ人のみな口にする残暑かな(らてん)
叡山の水をくぐりて新豆腐(らてん)
四次元の世界に入りぬ虫時雨(凡)
秋晴れや湖へ出て行く外輪船(らてん)
秋暑しスパイス香る雑貨店(真弓)
重陽の払ひ続ける利息かな(らてん)

オロナイン切らしてをりぬ星の恋(典子) 
稲妻や脳の血管駆けるごと(凡)
溜め息のやうな風きて一葉落つ(典子)
つるつるの小芋が逃げて子の小箸(典子) 
茹で栗の断面瑪瑙のやうな艶(典子) 
キッチンの掃除完了レモン置く(真弓) 
水澄むや自給自足の昼ごはん(真弓) 
秋高くただ息災でいてください(真弓) 
骨壺に入らぬ骨や秋扇(ふく) 
口数の少なき人と月今宵(らてん)
都会子の田舎体験天の川(凡) 
コスモスに教へてもらふ風の事(らてん)
その指の聾者の歌や金の月(乃々) 
曼殊沙華強き演説の引力(りん) 
身にしみて墨絵の余白の息遣ひ(乃々) 
対岸のビルに満つるや鱗雲(乃々) 
息ほそくほそくつなげて秋のヨガ(ふく)
松ぼこり名誉の負傷の一輪車(乃々) 
ため息は読点となり昼の月(乃々) 
熟れきつて一粒ころぶ葡萄かな(真弓) 
立待や野菜どっさり母の苞(ふく) 
2020年9月27日
◎敬老の日のラジオからAKB(ふく)
 末枯れや小さくなりし力瘤(凡)
 二人ゐて二つの無口林檎食む(らてん)
 越えられぬフェンスの向かふ猫じやらし(ふく)
 落とし物コーナーに団栗のかさ(ふく)
 朝寒の改札へ行く父の背よ(ふく)

◎みみず鳴く埴輪の顔に穴三つ(典子)
 末枯れや小さくなりし力瘤(凡)
 越えられぬフェンスの向かふ猫じやらし(ふく)
 ジェットコースター落ちる手前の秋の空(真弓)
 檸檬にも言ひ分があるティータイム(真弓)
 屈みては子供に戻る草の花(典子)

◎日の落ちて帰り仕度の案山子かな(らてん)
 末枯れや小さくなりし力瘤(凡)
 二人ゐて二つの無口林檎食む(らてん)
 非日常の日常となりしそぞろ寒(凡)
 朝寒の改札へ行く父の背よ(ふく)
 落とし物コーナーに団栗のかさ(ふく)

◎みみず鳴く埴輪の顔に穴三つ(典子)
 ジェットコースター落ちる手前の秋の空(真弓)
 日の落ちて帰り仕度の案山子かな(らてん)
 蜉蝣の目に今生の夕日落つ(らてん)
 秋雲や蔓草絡む三輪車(真弓)
 秋しぐれ椅子を立てたり畳んだり(典子)

◎日の落ちて帰り仕度の案山子かな(らてん)
 蜉蝣の目に今生の夕日落つ(らてん)
 補助輪の取れて坂道風や秋(らてん)
 黄落を了へる大樹に巣のかけら(典子)
 越えられぬフェンスの向かふ猫じやらし(ふく)
 彼岸花小石飼つてる靴のなか(真弓)

◎秋灯の瓶詰め果汁澱踊る(真弓)
 蜉蝣の目に今生の夕日落つ(らてん)
 補助輪の取れて坂道風や秋(らてん)
 黄落を了へる大樹に巣のかけら(典子)
 越えられぬフェンスの向かふ猫じゃらし(ふく)
 彼岸花小石飼つてる靴のなか(真弓)

 本棚を探るどこかに秋の声(ふく)
 彼岸花靴の小石を気にしつつ(真弓)
 病室へも国勢調査草の花(らてん)

2019年9月28日
母送る蜻蛉の渦に巻かれつつ(清吾)(共選)
秋うらら助詞が苦手な漢方医(布香)(共選)
巻き寿司へ開ける大口生身魂(すずめ)
手回しで戻す巻き尺穴惑ひ(莊太)

巻き舌のサンタルチアや秋高し(莊太)
コカ・コーラのくびれ無くなり秋の海(美雀)
陵を取り巻く古墳小鳥くる(清吾)」

稲刈りの合図はチャイム学校田(清吾)
一浪の子の弾くショパン小鳥来る(美雀)
窮屈が猫は大好き野分あと(莊太)
剣道の素振り百回草の花(すずめ)
古酒酌みてかんぺう巻を頼みけり(すずめ)
不器用がネタの手品師秋うらら(莊太)
終電の揺れやはらかな良夜かな(すずめ)
シーツ取り込めば隣の柿すだれ(清吾)
着流しの男現る敬老会(布香)
芭蕉の葉分けて出て来る測量士(清吾)
愛犬が地球へとキス秋晴るる(すずめ)
読破する勢に積む書秋の宵(海峰)
新涼や馬のたてがみ三つ編みに(洋子)
長き夜やどうぞ結末言わないで(布香)

冷やかに陶のタイルの魚の目(雄作)
みどり児のガーゼの寝巻小鳥くる(典子)

2018年9月22日
ヘッドフォン外して虫の闇にゐる(清吾)
妹に身の丈超され休暇果つ(啓子)
生命線残り短く律の風(美雀)
カンバスを覗かれよぎる秋の風(清吾)

敬老の日の親父似の髭を剃る(すずめ)(共選)
オリーブは実にパエリアの具沢山(秀子)
天の川血筋途切るるとふことも(秀子)
コスモスや空から歌が降りさうな(すずめ)」

新涼やインクの匂ふ初句集(啓子)
それぞれに家路月夜の句会あと(秀子)
秋うらら遠回りするバスに乗り(清吾)
昼の虫形見となりし鎌を研ぐ(啓子)
調律はラから始める鰯雲(美雀)
会ひたくて会へば喧嘩や鰯雲(秀子)
平成を全うせむと生身魂(清吾)
秋霖や閂掛ける音のして(布香)
仲秋や背筋の美しき調律師(すずめ)
朝風呂に手桶のひびく敬老日(美雀)
新調のウォーキングシューズ秋澄めり(莊太)
新涼や玉子サンドにカプチーノ(海峰)
草の実やけんけん飛びの烏ゐて(布香)
旋律は右手金木犀かをり(秀子)
山小屋の窓のひとりに天の川(洋子)
茸山律令・法度なしくづし(清吾)
玉葱小屋からつぽにして豊の秋(美雀)
流星や胸の鼓動を確かむる(布香)
戒律の厳しき村や鳥渡る(莊太)

法律書の下にコミック秋灯(雄作)
酢橘搾りゐてロッキーの主旋律(典子)

2017年9月23日
狙撃手の狙ふならここ赤い羽根(清吾)
柚子風呂にぼかり赤子も浮きさうな(美雀)
目を閉ぢて耳かき使ふ秋の暮(布香)
野分あとぎろりとひかる木魚の目(美雀)
付き添ひに犬も加はり地蔵盆(布香)

まな板の隅に魚の絵文化の日(布香)
穴惑ひ公衆電話消ゆる街(啓子)
運動会オッフェンバックに急かされて(莊太)
ほうせんくわ路地裏にくる紙芝居(清吾)
遺跡出て工事止まるや虫の声(布香)

水槽に蛸のはりつく残暑かな(すずめ)
鰯雲肉刺つぶれても逆上がり(洋子)
図書館のページ繰る音秋気澄む(秀子)
鰯雲海に降り立つやうな駅(洋子)
電柱の影ざわざわと稲穂波(美雀)
秋澄むや皮まで美味き焼き魚(すずめ)
校了の月見の宴となりにけり(清吾)
新涼や金を纏ひし対の鴟尾(莊太)
灯火親し額の眼鏡忘れをり(莊太)
命名の軸に読めぬ名星月夜(美雀)
山裾を海に落として大夕焼(啓子)
秋の夜のケーキの生地のしつとりと(すずめ)
秋澄むや浜辺の芥掻き寄せて(清吾)
蜻蛉の高さに風の吹いてきし(美雀)
賽銭の重なり合うて秋の水(啓子)
昼の虫姉とボトルの水わけて(洋子)
秋の夜や音をたてずに本を閉ぢ(秀子)
爽やかや神父は裾をひるがへし(布香)
珈琲好きの義父でありしよ秋彼岸(海峰)

秋澄むや魚籠を上げれば水抜けて(雄作)
心臓の重たさならむ柘榴の実(典子)

2016年9月24日
鶏頭の真下のみづのすぐ乾く(徳将)(共選)
街中の一反の田も水落す(木屋)
水餃子の皮やぶけたる厄日かな(すずめ)
穴まどひ先祖代々へそ曲り(美雀)
魚一匹びちと跳ねたる子規忌かな(栄樹)

母と聴く年寄りの日の雨の音(秀子)
秋風や「店主修行に出る」と紙(すずめ)
コニャックの封を切らうか寝待月(清吾)
金木犀坂の途中にパイプ椅子(洋子)
銀漢や石棺の蓋割れてゐる(秀子)

灯台のやうな自販機地虫鳴く(布香)
夕焼けに染まる障子の中の母(啓子)
龍淵にポストの口の銀の蓋(秀子)
充血の眼柘榴と言ふべきか(徳将)
後ろ髪まできちんと描かれ捨案山子(栄樹)
長風呂の友待ちをりぬ菊膾(清吾)
行く秋や歯科医の抱く頭蓋骨(清吾)
蕎麦ひとり茹づるに慣れて昼の虫(清吾)
秋寒や赤き汁椀買ひ足して(啓子)
前線と芋名月がせめぎあふ(碧)
澄む秋の水に浮かびて美術館(秀子)
漱石の本の塵吹く秋の昼(美雀)
登頂やリュックの梨が背に当たり(徳将)
父の亡きことにも慣れて夕かなかな(秀子)
蔵の街の白き漆喰秋高し(木屋)
堰落ちて走りだしたる秋の水(啓子)
町の子も紅をさされし村芝居(美雀)
煙草屋の媼の「よいしょ」小鳥来る(すずめ)
旅の地図に印を付けて鰯雲(啓子)

栗拾ひ毬の痛みに慣れてきし(雄作)
木の実独楽一人あそびに慣れたらし(典子)

2015年9月26日
穴惑本気で腹囲減らさうか(清吾)
びつしりと咲きて疎らや曼珠沙華(秀子)
太陽の塔をかすめて去ぬ燕(秀子)
登高や防災マップ確かめて(清吾)

エンディングノートが二冊蚯蚓鳴く(美雀)(共選)
ままごとのやうな仏壇菊日和(秀子)
秋風や本屋の匂ひ嗅ぎにゆく(海峰)
秋夕焼あべのハルカス小指ほど(布香)」

酒蔵の段差の多し新走(美雀)
婆さまの手量りたしか豊の秋(啓子)
夜食すと実験ノート欄外に(清吾)
曲る時うしろ確かめ秋の声(布香)
新米を研ぐや十指のきらめいて(洋子)
左から踵すり減る鵙日和(美雀)
デパ地下に骨抜き秋刀魚高騰す(輝代)
落ち蝉に屈む子どもの指臆す(和樹)
須臾の間を番となりて秋の蝶(啓子)
閉店の本屋のドアに秋日さす(海峰)
提灯の揺れさんざめく踊の輪(碧泉改め碧)
釣竿の先に映えたる鰯雲(狐狸庵)
精霊舟父の重さと思ひけり(竜平)
確定のスリーカウント天高し(和樹)

蓮の実の飛んで夕日の大きくて(雄作)
里山は心のひなた小鳥くる(典子)

2014年9月27日
鶏頭のぞぞぞぞわつと種落とす(美雀)(共選)
長き夜の断乳の子の指吸うて(啓子)
千年の柱を伝ふいぼむしり(秀子)

秋澄むや魚拓に眼描き入るる(啓子)(共選)
二百十日蛇口より水迸り(秀子)(共選)
桔梗や弓引く前に正座して(清吾)
曳かれ行く起重機船や鳥渡る(清吾)」

小鳥来る伝言ゲームのやうに来る(美雀)
父母の三人は逝きつづれさせ(秀子)
螻蛄鳴くや伝言板の消えし駅(布香)
白桃の浮いて鏡のやうな水(秀子)
秋澄めり旗の伝へし米相場(清吾)
木犀や郵便受の中の闇(秀子)
星月夜星座オンチの揃ひたる(布香)
露草に光のしづくぶらさがり(洋子)
千屈菜やバックしますとトラックが(布香)
銀漢や子に伝へたき事あまた(木屋)

図書館の一枚ガラス鳥渡る(雄作)
星空の蓋で浅き井水の秋(典子)

2013年9月28日
喉越しのいい水飲んで今朝の秋(秀子)
こんなにも好かれてをりぬ牛膝(啓子)

穴惑ひ父を見送る覚悟なく(美雀)(共選)
検査着をはみ出す手足そぞろ寒(秀子)
横綱の紙垂の白さや宮相撲(清吾)
吾亦紅歩く速さで日が暮れて(秀子)」

跡継ぎの藍のバンダナ新豆腐(清吾)
表札の父の名薄るこぼれ萩(啓子)
ここいらの水が縄張り石たたき(清吾)
点滴の管の垂らりと文化の日(美雀)
十五夜や埴輪の口の「あ」と言へり(美雀)
抜け穴の塀より子供地蔵盆(洋子)
望月や町屋の屋根に番猫(木屋)
開け放つ湯屋の高窓星月夜(啓子)
天高し懸垂の腕太くなれ(海峰)
釣瓶落とし雀群れ来る欅の木(木屋)
手に馴染む志野焼の猪口ちちろ虫(清吾)

仏壇のにほひの林檎剥きにけり(雄作)
宝石のやうな目を持ち穴惑ひ(典子)

2012年9月22日
虫の声今夜は欲しき抱き枕(美雀)
虫籠にうちの泣き虫入れようか(美雀)(共選)
帆船はビンに閉ぢられ星月夜(啓子)
おはしょりをたつぷりと取り秋祭(海峰)
それぞれの杖のカラフル敬老日(海峰)

忘れ物無きか復唱鵙日和(美雀)
神々は恋ばかりして黒ぶだう(秀子)
月の湾フェリーは大き口を開け(啓子)
秋高し輪投げの棒のやうな塔(秀子)
栗の実の真ん中せまきみそつかす(美雀)」

追伸のほのかな本音蚯蚓鳴く(布香)
白粉花うだつの影にひらきをり(清吾)
新しき穴明き包丁水澄めり(布香)
涼新た指揮者は素手で風掴み(秀子)
遠山の四基の風車秋澄めり(清吾)
携帯へ大声入るる秋薊(洋子)
国鉄の踏破マップや鰯雲(西港)

蓄財の才なかりしよ虫集く(雄作)
読み聞かす童話ほほづき真っ赤なり(典子)

2011年9月24日
螻蛄鳴くや期限切れたる非常食(布香)(共選)
月光や畳んだままの車椅子(布香)
掛け稲のまだ青々としてゐたり(秀子)

秋の蝶古きフィルムのごと飛んで(秀子)
天上は常に晴れらし鳥渡る(秀子)
敬老日子に年金の知らせ来て(豊)」

星月夜女冷たき手をもちて(美雀)
台風来緑に光る非常口(木屋)
新涼のシンクに乾く鱗かな(布香)
水澄むや濃淡だけの水墨画(啓子)
年毎に替はる総理に似た案山子(豊)
秋蝉や気付かぬうちの声変り(てるみ)
天高しけふでひとつになりました(啓子)
散歩道ふいに途切れる赤のまま(布香)
常識は物差しとなる糸瓜棚(美雀)
穴惑ひめく同窓の十四人(海峰)
目覚しのことばに返事今朝の秋(洋子)

記憶すつぱし二十世紀みづみづし(雄作)
みどり児は眠るかたまり鳳仙花(典子)


<2006年9月~2010年9月>
2010年9月25日
金色の杭で留めたし秋の虹(布香)
龍淵に夫は中華鍋振つて(秀子)
雨はすぐ上がり案山子の怒り肩(秀子)

蚯蚓鳴く胃カメラひとつ呑み込んで(啓子)
杭打てば秋野に影の散らばつて(秀子)
雨粒を弾き飛ばして曼珠沙華(秀子)」

掃苔や父母のことばの聞こえざる(洋子)
大歩危の渓に浮き立つ月の影(木屋)
吾亦紅ぱらぱらと降る山の雨(和夫)
秋の風犬は背骨をぐと伸ばし(美雀)
水澄むや競歩のやうに歩く人(布香)
新涼やするりと通る絹の糸(布香)
島中の嫗集ひて秋彼岸(啓子)
秋風の谷に架かりし鬘橋(木屋)
拡張の杭打つ音も秋の声(啓子)
名月や家まで遠き立呑み屋(和夫)
風やめばコスモスすいと背伸びする(布香)

亡命の手助けをせよ流れ星(雄作)
濡れたままの杭寝かせある簗じまひ(典子)

2009年9月26日
平日に父ゐて台風圏に入る(共選)(豊)
産声のぱつとはじけて鳳仙花(美雀)
宛先の少しあやふや鳥渡る(秀子)
虫の音の奥の奥なる手術室(豊)

踊子の母の顔して戻りけり(美雀)
病院をそつと出る靴十三夜(西港)
昏れどきの川面は硬し赤蜻蛉(秀子)
段畑は山へ還せり赤とんぼ(豊)」

倒木は苔むしてをり谷の秋(木屋)
秋雲のらくがき美術館出れば(秀子)
先づ旨し新米柚味噌新豆腐(美雀)
コスモスのやうに生きたし更年期(海峰)
看護婦に凡てを任す秋思かな(西港)
稲刈の終わりて元のにきび面(和夫)
秋茄子や亭主の機嫌取るものか(海峰)
秋うらら一日を雲の観察に(啓子)
入院は初めてといふ稲穂波(洋子)

ずりさがりゐる蓑虫の着道楽(雄作)
蓑虫や吾もCTの筒に入る(典子)

2008年9月27日
抽斗に赴任地の鍵ちちろ鳴く(共選)(布香)
月代や産着一枚づつ濯ぎ(サブリナ)
子供にも届く自販機秋うらら(布香)
歯磨きのチューブの最後花カンナ(洋子)

ポスターの色跳ねてゐる運動会(啓子)
調律の音叉の震へ小鳥来る(共選)(啓子)
草の花しゃがめば人を待つ気分(サブリナ)
果実酒の減ること秋の高きこと(サブリナ)」

鳥渡る我に年金特別便(布香)
蕎麦打ってをりエプロンのドラえもん(啓子)
指当てて切れ味を見る秋暑かな(木屋)
日覆を閉ぢて蜜柑の色づいて(美雀)
上棟の七色の旗豊の秋(啓子)
今もなほ仕事のありて案山子立つ(美雀)
絆創膏貼りたがる子や草紅葉(布香)
今日の月地酒の壜は海の色(サブリナ)
残業の窓開け放つ虫の声(てるみ)

色鳥や若き主治医に叱られて(雄作)
澄んでゐるプレパラートの水もまた(典子)

2007年9月22日
箸配る役目の子供小鳥くる(サブリナ)
もうすぐよ松茸ご飯炊けるのは(啓子)
ATMよりきれいな紙幣夕月夜(サブリナ)
台風圏駅に張り付く新聞紙(洋子)

老人と冬の日同じ匂ひせり(サブリナ)(共選)
新涼のタイルの目地の白さかな(海峰)
涌き水の温かくなる秋彼岸(洋子)
杭を打つ音の合間の威銃(啓子)」

イスラムの少年の目に後の月(西港)
手開きの鰯喜ぶ夫がゐて(美雀)
ケント紙の白なほしろき月夜なる(美雀)
工事場のラジオ体操天高し(啓子)
紙芝居はじめは翁竹を伐る(啓子)
豆腐屋のラッパ秋意の四条より(洋子)
ピアスの穴ひとつ余りて秋の風(美雀)
どぜう鍋中途採用仲間なり(西港)
政局の新聞記事や初嵐(海峰)

星飛んで「かぐや」は月へ発ちにけり(雄作)
若き日の父に赤紙種ふくべ(典子)

2006年9月23日
雨粒の飛びついてくる黒葡萄(サブリナ)
色鳥や多目に仕込む加薬飯(布香)(共選)
鶏頭の黒ずむ転居通知かな(雄作)
梨かじり最上階より川見えて(サブリナ)

蛇穴に我は枕にこだはりぬ(サブリナ)(共選)
秋雲をつれて遠距離介護かな(サブリナ)(共選)
水澄むや活字大きな紀行文(布香)」
いなづまに遅れて稲穂動きけり(美雀)
ふるさとは台風圏なり飯を盛る(木屋)
出を待ちし黒子の手足秋の風(美雀)
引越の最後の荷物シクラメン(布香)
空き缶に絵筆を洗ふ鰯雲(悦子)
秋深し我に添ひ来し妻の日々(きよし)
高きに登る靴下のゴムよじれ(洋子)
松茸を数へてよそふひぃふぅみ(悦子)
赤のまま母の病名告げらるる(啓子)
梨剥くや夫婦の顔の似てきたり(雄作)
露の玉こはる朝日を映しすぎ(雄作)
家々の灯を秋風がともしゆく(典子)


<2001年9月~2005年9月>
2001年9月28日
産声を待つ長椅子の夜寒かな(青鵬)
雨雲の消えて照葉や七七日(西港)
能舞のごと菱採りの舟進む(布香)
乗客に紛れて居るぞ青蜜柑(ベアトリス)
畝一本起こして仰ぐ秋の空(青鵬)
月光の椅子悪口の切りもなや(サブリナ)
持ち帰る椅子の軽さや盆の月(美雀)

細い目を細めて喜寿の敬老日(青鵬)
躓きついでの銀杏を拾ひけり(サブリナ)
枕辺を吹く秋風の訪問者(ベアトリス)
名画座の柿落しや今日の月<(西港)
秋蝉の形見に夕日残りけり(美雀)
コスモスの踏み切り番と農夫かな(西港)
一人おきに椅子空いてゐる菊日和(松ちゃん)

2002年9月21日
秋空へするする伸びる高梯子(サブリナ)
サロンパス貼って勤労感謝の日(青鵬)
秋空の澄むまで流す濯ぎ水(サブリナ)
悪役に徹して夏の去りゆけり(布香)
名月やショーウィンドーで髪直す(西港)
ポンと手を打ち合はす草々に露(サブリナ)

背に翼生え出る予感天高し(布香)
天高く片道だけのブーメラン(青鵬)
秋風や卵二個抱く鳩が居て(海峰)
フェルメールの少女と眼が合ふ良夜かな(布香)
秋彼岸何にでも笑む白寿なり(洋子)
待宵の月が見えるか遠き母(海峰)
秋天や鳶の小鉤をきっちりと(青鵬)
秋天やデジタル時計の1並び(西港)
この染みは敬老の日のチリソース(松ちゃん)

2003年9月27日
しくしくの乾く音あり稲架襖(雄作)
身を揉みて着地する猫黍嵐(サブリナ)(共選)
露けさや新潮文庫に栞ひも(雄作)
焼栗を剥く父の手が少し老い(美雀)(共選)
稲光父の座椅子の古りにけり(サブリナ)(共選)
露あした戸毎に牛乳瓶の音(雄作)

秋光の家並鞣して祭笛(きよし)
宴会に遅れてしまう赤い羽根(西港)
後書きも読み了へてをり秋の雨(西港)
ふと見えて胸の谷間の日焼痕(お茶の水博士)
待宵の紫煙つながる思いごと(布香)
「女子十二楽坊」夫と聴く良夜かな(海峰)
羊雲突き抜けてをりタワービル(翔)
鈴虫の音に首廻す露天風呂(平助)
秋光やふれてずしりと黒織部(洋子)
子の声が門へ届いて星月夜(美雀)
今生の仇のごとく柚子絞る(雄作)
カーテンを引いて密室稲びかり(松ちゃん)

2004年9月25日
頼りなき薄型テレビ台風来(雄作)
小鳥来る一年一組体操中(雄作)
積まれたる廃車ゆらゆら雁来紅(サブリナ)
生真面目な朝顔日記出てきたり(サブリナ)
宅配の秋刀魚ずしりと置かれたる(翔)
鉄筋を組むその上の鰯雲(啓子)

居留地に秋の日傘をまはしけり(美雀)
秋彼岸六枚組の皿を買ふ(きよし)
歴史とは男の話ヒズストーリー芋の露(布香)
葡萄狩指先染めて戻りけり(美雀)」
彼岸花あかあか赤児生まれけり(海峰)
はなまるをたくさんもらひ曼珠沙華(布香)
海の家解かれてをりしねこじゃらし(啓子)
鰯雲遺影の老けし彼と会ふ(西港)
コスモスの迷路の中の笑ひ声(洋子)
碁石打つ父の手の皺秋の蠅(海峰)
日焼け止てふ厚化粧してきたり(平助)
失恋や閉店前の月の客(西港)
去ぬ燕もう一巡りして呉るる(雄作)
自転車を組み立ててゐる鰯雲(典子)

2005年9月24日

別れたのくつついたのと秋刀魚食ふ(雄作)
洗礼にぎんもくせいを降らしめよ(雄作)
千年も姫を生さざる竹を伐る(雄作)
利き耳といふもありけり虫の闇(雄作)
耳栓に似たる補聴器秋の声(きよし)(共選)

吹き寄せに犬の毛混じる九月かな(きよし)(共選)
草の実のこぼるゝ旅の鞄干す(啓子)
二百十日ファンデーションを確かめる(美雀)
父母の家を繕ふ草紅葉(洋子)」
煮られては脚を踏んばる蝗かな(美雀)
千の窓その一枚の秋没日(サブリナ)
付け爪のきらめいてゐる衣被(布香)
自転車のギコギコ来るよ曼珠沙華(西港)
見る度に位置の変えある案山子かな(布香)
観覧車の空席てらす今日の月(西港)
葡萄棚大まはりしてゆく柩(啓子)
町なかの遺構層なす月明り(サブリナ)
退職の朝となりたる初紅葉(美雀)
寄り合うて月のしめじの密議かな(典子)

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